FREE WAY 栄養学教室
ビタミンA 編
bP 【世界で最初に発見されたビタミンAの歴史背景】 |
bQ 【ビタミンAは目との大きな関係がある】 (ビタミンAと夜盲症との関係) |
bR 【消化器を保護している粘液とビタミンAとの関係】 |
bS 【皮膚および粘膜とビタミンAとの関係】 |
bT 【ビタミンAの摂取量】 (ビタミンAの過剰摂取について) (ビタミンAを多く含む食品) |
ビタミンA編 NO1
【世界で最初に発見されたビタミンAの歴史背景】
ビタミンは発見された順序にA・B・Cと番号が付けられていったのはすでにお話ししましたね!
そういう意味でビタミンAは最初に発見されたビタミンというわけです。
1881年にスイス人のニコラス・ルーニンが、糖と脂肪、蛋白質でネズミを育てると、
ネズミがあまり育たず死んでしまうが、そこへ牛乳を与えると、成長もするし育つと
いうことを発表したのです。(※1881年は明治14年で日銀がスタートした年です)
いわゆる三大栄養素以外にも何かあるのではないか?というわけです。
1912年になると、今度はイギリスの生化学者ホプキンスが三大栄養素にミネラルを沢山入れ、
さらにカリウム、カルシウムを加えてみたところ、やはりネズミは育ちませんでした。
そこへ牛乳を少々加えたところ、育ったという事を発表したのです。
ニコラス・ルーニンが言ったことを再現したわけです。
ホプキンスも、三大栄養素以外に何かあるに違いない!と問題にし始め、
それをアクセサリーフードファクターと名付けたのです。
1912年にその結論として、アメリカ人のマッカラムが、その中に少なくても
2つの大切なものがあると発表!!
油に溶けるもの、いわゆる脂溶性のものをA因子、水に溶けるものをB因子と名付けたのです。
これがビタミンに対する概念の最初なのでした。
1919年にイギリス人ドルモンテがA因子をビタミンA、B因子をビタミンBとしたのです。
当時壊血病に効果のあるビタミンCが発見されて反響を呼び、
ビタミンB1の発見によって脚気が治っていました。
ところが夜盲症に効果のあるビタミンAは放っておくと死んでしまう壊血病や脚気に比べて
さほど重用視されてはいなかったのが実情でした。
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ビタミンA編 NO2
【ビタミンAは目との大きな関係がある】
目にはまずレンズがあり、その奥に光を感じる器官、網膜があるわけですが、
その網膜の中に棒状細胞があります。棒状細胞に光が当たると
「視紅」という物質ができて、その物質が光を感じると同時に視神経に伝達することで
物の判別ができるわけです。
「視紅」は一種の色素蛋白質で、主にビタミンAと蛋白質が結合した物なのです。
そして、光を感じるたびに視紅はできるのですが、光を感じたとたんに、その場で
すぐに分解してしまいます。
そのたびにビタミンAは消費されてしまうので、常にビタミンAを補っていかなければなりません。
たとえ蛋白質が充分あったとしても、ビタミンAがなければ、「視紅」はできません。
「視紅」ができなければ、光を感じることができないわけですから、目にとっていかに
ビタミンAが大切かお分かり頂けましたでしょうか?
しかしいくら文献を読んでみても、夜盲症で苦しんだとか、Aを補って助かったということは、
あまり記録されてはいないのです。
ビタミンAは緑黄野菜、レバー、ウナギ等に入っているので、昔の人は結構補給していた可能性が
高かったかも??
それから日本では夜になってからも字を読むようになったのは、明治以降のの電気が普及してからのことです。
それまでロウソクの生活では、夜に字を読んだりする事がなかったので、
ビタミンA不足が、それほど大きな問題にはならなかったのです。
【ビタミンAと夜盲症との関係】
ビタミンAの歴史の中で、夜盲症に大きな効果があることは、どうしても
ふれておかなければなりません。
光を感じとる「視紅」を作るためには、ビタミンAと蛋白質が必要なことはお話ししました。
それ以外にもビタミンB1・B2・パンテトン酸・ビタミンCなどが必要です。
夜盲症は必ずしもビタミンAの欠乏だけが原因ではないのですが、非常に大きな影響を
及ぼしているのは事実です。
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ビタミンA編 NO3
【消化器を保護している粘液とビタミンAとの関係】
ビタミンAの最も大切な役割は、粘膜や皮膚の働きを正常に保つことです。
我々の体を覆っているのは、大きく分けると皮膚と粘膜になります。
ご存知のように顔や体は皮膚で覆われていますが、鼻の中や眼の表面には
粘膜があります。それ以外にも食道、胃、小腸、大腸などの消化器官も
表面は全て粘膜で覆われています。
粘膜はデリケートで外敵に対して弱く、その働きも非常にデリケートです。
ものを見たり、味を感じるのも全て粘膜によって行われているのです。
そしてその粘膜のデリケートさを守るためにその回りを覆っているのが「粘液」です。
粘液は粘膜にべったり付いたままになっているのではなく、常に代謝しながら
粘膜を良い状態に保っています。
粘液が蒸発したり感想によって無くなると、鼻は炎症を起こして、つまったりしてしまいます。
眼もトラブルを起こす原因となるわけです。いつも粘膜をよい状態に保つには、充分な粘液が
必要なのです。
粘液は粘度があるため、多少ネバネバしていますが、その主成分は
「コンドロイチン硫酸塩」です。
そのコンドロイチン硫酸塩を作るために、絶対欠かせないのがビタミンAなのです。
私たちの体の大切な部分の殆どは粘膜で保護されており、
その粘膜は粘液で覆われているわけですから、
ビタミンAはとても大切なビタミンと言えます。
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ビタミンA編 NO4
【皮膚および粘膜とビタミンAとの関係】
女性にとっても関心の高い皮膚にもビタミンAは、影響を及ぼしています。
皮膚は粘液ほどデリケートではありませんが、常にしっとりとしていないと
綺麗な肌とは言えません。
そのしっとりさを保つために、皮膚を覆っているのが、汗や脂などの物質です。
ところがこの物質を作るのにもコンドロイチン硫酸塩が必要なのです。
ビタミンAが減ると、粘液だけではなく、皮膚を覆っている粘液に近い分泌物の量も
減ってしまうのです。
粘液が減ると、目や鼻が乾燥してしまいトラブルの原因になるわけですが、
皮膚も乾燥してしまうのです。
皮膚が乾燥してしまうということは、カサカサになってサメ肌になる、あるいはトリ肌、
ヘビ肌となり、お世辞にも綺麗な肌とはいえない肌になってしまいます。
皮膚のビタミンAが欠乏すると、皮脂腺や汗腺の機能が低下して肌が乾燥し、
毛根角化症になってしまいます。
毛穴の部分がはっきりしてしまう、いわゆるトリ肌のような状態になるのです。
また、肌が乾燥して角質化するとガサガサになり、それがひどくなると、かかとのようになってしまうわけです
化粧品のCMでは「肌にうるおいを与えましょう」とよく言っていますが、
これはそうしたことを意味しているのです。
最近では、コンドロイチン硫酸塩を含んだ化粧品も、かなり出回っているようです。
粘液は体のデリケートな部分を保護するのが主な役目ですが、
もう一つバイ菌の感染からも守ってくれています。
空気中には無数の細菌が浮かんでいて、空気を吸ったり、あくびをしたりすると、
鼻や喉から、何百万、何千万という数の細菌が入ってきます。
そうした細菌をが粘膜について繁殖し、それが原因で色々な病気になることは少なくありません。
そしてそのバイ菌を粘膜につけないように守っているのが粘液なのです。
細菌が粘液の部分に付着している間に白血球が殺してくれると、
それがタンになって出てくるのです
次回は「ビタミンAの摂取量」について!乞うご期待!!
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ビタミンA編 NO5 最終回
【ビタミンAの摂取量】
ビタミンAには成長を助ける因子も含まれています。
以前小学校の先生が、下校時に肝油をくれたことがあり、
これは小学生にビタミンAを食べさせれば成長するであろうということで
食べさせたのでしょうね!しかしいくら肝油だけ与えられても、蛋白質が少なければ
成長はしないのですが?・・・・
ちなみにビタミンAの1日の所要量は成人男子で約2,000IU、女子で1,800IUとなっています。
1日の摂取量が1,000〜1,500程度では欠乏症になってしまいます。
又カロチンとして摂る場合は3分の1か半分程度しか吸収されないことも考えて、
3倍は摂らないと、ビタミンAとして働きはありません。
カロチンが含まれている緑黄野菜から摂る場合は、多めに摂るように心掛けて下さい。
【ビタミンAの過剰摂取について】
ビタミンAは過剰に摂ると、副作用が起きる可能性があります。
これは他のビタミンと違い、摂りすぎた分を尿で排出するということがないからです。
体内に蓄積するために、過剰症を起こしてしまうのです。
過剰に摂ると、食欲不振、頭痛、吐き気、脱毛、唇の荒れ、神経過敏などの症状が出てきます。
しかしこの過剰症は、1度に2〜3倍の所要量を摂ったくらいでは出てきません。
約30万IU〜40万IUを1度に摂ったといえば、1日の所要量ノ150倍、あるいは200倍の量です。
それを何ヶ月も摂った時に過剰症の症状が出てきます。
摂りすぎに注意するよりも、むしろ不足しないように気をつけることの方が大切です。
ビタミンAもCやE同様に、今日摂ったから明日効果がでるというものではありません。
毎日バランスよく摂ることが健康につながるのです。
(ビタミンAを多く含む食品)
うなぎ・鶏肝臓・豚肝臓・牛肝臓・パセリ・人参・春菊・ニラ・ほうれん草・大根の葉・
プロセスチーズ
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