ゆっくり走ろう 疲れたら歩いていいよ 他人と競争しなくていいよ 


『自分の中の可能性』

NPO法人 Futures Running Club 副理事長 小野道章

「なんで走ってるんですか?」よく人に聞かれました。健康のため?ダイエットのため?走りたいから?いや違うなあ…。その結果「ムムム……」と唸ってしまう毎日でした。
 考えてみると、なんやかんやもう10年近くも走っている。本人なりに努力もどきはしているつもりだが、ちっとも速くならない。いわゆる亀の歩みであり、鈍足ランナーの筆頭に属するであろう。「なんでだ…」「なんでだ…」「なんで俺は走っているのだ…」悶々とした日々が続く。しかし生来のこの空気頭で必死に考えても、簡単に答えが出る方がおかしい。いや、こりゃマイッタな!
 だが、ある日、とても長い道のりを走る大会に出た時、「あっ、これだ!」と思う瞬間に遭遇した。ふだんの自分は優柔不断的朝令暮改的口先人間。まあ、代表的なテキトー人間である。それがどうした事か。足、うで、腰、首、その他全身のパーツ全ての激痛に耐え、半ベソをかき、ヨタヨタヨレヨレヘロヘロになりながらも、一心にゴールを目指して一歩でも半歩でも前に進もうと、渾身の力を込め、全精神力を集中してガンバッテいるではないか。
 「俺って、こんな一面もあったんだなあ……」と、かろうじて残っている意識の中で、ぼんやり思った時に、「ああ、そうだ!これなんだ」と答えが出ました。俺は、この瞬間の『自分の中の可能性』に出会いたいから走っているのだと!日常生活では見えることのない、感じることのない、自分の可能性。それに出会って、ニタッとしたい。だから俺は、周りの人に何を思われどう見られようとランニングを続けているのだ、と答えが出たのです。
 さて、ランニングはとても単純な動作を繰り返すスポーツです。また、それは老いも若きも誰にでも出来るスポーツです。そしてその中にはきっと、何かを発見できる可能性がたくさん隠れているスポーツです。きっかけは何でもいいんです。健康、美容、ダイエット、自己鍛錬などなど…、各々違うと思います。でも、走ることによって、今までの人生で気がつかなかった新しい自分にも会えるスポーツです。
 さあ、もう春です。『自分の中の可能性に出会う』旅に一緒にスタートしましょう!!

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