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歌舞伎を観たことがありますか 歌舞伎を初めて観たのは多分平成2年頃でした。ある事情があって無料でいいから観てほしいと頼まれたのです。まったく知識も経験も無かった私は、まあこれも勉強だというくらいの気持ちで単なるお付き合いで歌舞伎座に行きました。ところがこれが大当り。 市川猿之助さんとその一門を中心とした舞台でしたが、なんとも実に最高に楽しかったのです。(早く快復して欲しいですね) びっくりしました。歌舞伎というのは日本を代表する伝統芸能であって様式美とか格調の高さだとかいうイメージで捉らえていて、観たいと思った事など無かった別世界のものだったのですが、私の既成概念はすべてひっくり返されてしまいました。 歌舞伎は基本的に庶民のエンターテインメントである。歌舞伎は時代に合わせた解釈や表現も取入れていて、時には時代時代の流行語などアドリブが入ることもある。歌舞伎は能、狂言、舞踊、人形浄瑠璃、清元、義太夫、長唄、小唄、落語等々との相互乗り入れがあったり影響しあったりしていて、またそれぞれの世界への入口にもなっている。歌舞伎役者は本当のプロフェッショナルである。、ということを知ることが出来ました。 それ以来、平均すると年に1回程度ですが時々見に行くようになりました。映画と違いいつでも最寄りの劇場で、という訳にいかないのが残念ですが、日本に住んでいるからには一度は経験してみて欲しいと思います。初めて観る場合は、なるべく親しみやすい方がいいですから演目の内容もさることながら、テレビなどで顔をよく知っている役者さん(例えば市川猿之助、市川團十朗、中村勘三郎(勘九郎改め)、松本幸四郎、中村吉右衛門)のを観るのもいいと思います。(ちょっと渋過ぎかも・・最近は若手もどんどん成長していますね) ほんの少しですが私が観て感動した舞台で、初心者でも分かりやすいと思われる演目をご紹介すると、、、 中村勘三郎 「俊寛」(しゅんかん、平家女護島)(2005年に勘九郎さんが襲名) 絶海の孤島鬼界ケ島に流罪となっている俊寛達に舞込んだ運命。ラストシーンでの俊寛の絶望の表情の凄じさ。しばらく涙が止らなかった。私はこの人と歳がちかく子供の頃からテレビで知っていたので、なんだか天才の幼なじみの友人を持っているように錯覚してしまうのです。 中村吉右衛門 「籠釣瓶花街酔醒」(かごつるべさとのえいざめ) お人好しの素朴な人間が花魁に恋をして、裏切られ、徹底的に侮辱された。その恨み、怒りがだんだんと表に現れてくる。その変化が名刀篭釣瓶に投影されてすごい迫力。吉右衛門さんの名演技にぐーっと惹き込まれました。 市川猿之助 「黒塚」 舞踏劇です。芸術です。 すごいです。 同 「雙生隅田川」(ふたごすみだがわ) これは実に面白い娯楽劇。ただ楽しかった。この話は冒険活劇というか質の高いアクションものという感じです猿之助さんは静と動、陰と陽、笑いと涙、すべてをその卓越した技量で見せつけてくれます。 市川團十朗「助六由縁江戸桜」(すけろくゆかりのえどざくら) いわゆる「すけろく」です。実にカッコイイ、粋、江戸の絢爛豪華さ、團十朗さんぴったりだと思います。 歌舞伎は人間の喜怒哀楽、心の深さと浅さ、美しさと醜さ、運命の不思議といった人間の普遍のテーマを扱います。人間の姿を、恋愛やお金がらみの出来事や犯罪や歴史的出来事、小さなエピソード、大きなドラマを通じて見せてくれる、奥の深いすばらしいお芝居です。 同時に歌舞伎役者さん達の鍛えられた技量、感性に触れることができます。なにか研ぎ澄まされた緊張感を奥に隠して、人間の限界に挑戦している非常に高いレベルのプロフェッショナルの世界を知ることができてとても幸せに思います。 そして全ての場面がまるで天然色大パノラマといった感じの色彩的美しさに溢れています。歌舞伎の舞台で第一幕の幕が上がった瞬間をはじめてみた人はおそらく「うわあっっ」と息を呑むでしょう。本当にきれいですよ。 料金が高いのが玉に瑕ですがそれなりに安く見られる席もあって、アリーナに相当する一等席は1万5千円くらいですが、外野席やジャンボ相当の3階席は2、3千円でも観る事が出来ます。でも多分めったに見に行かないでしょうから、奮発して1等か2等で見て欲しいと思います。 それから、歌舞伎座等の場合に同時解説の館内放送を聞くためのイアホン付レシーバーを借りることが出来ます。これがあると、慣れていない人でも台詞の意味が分かったり、ドラマの背景が分かったりして、楽しめるようになっています。またこの解説そのものが趣があって楽しかったりするのです。とにかく一度おためしを。くどいですが、なんとか機会をつくって一度は観てほしいです。
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