騙す人・騙される人〜金融詐欺は永久不滅か           

戦争と詐欺をこの世から無くすことは不可能なのでしょうか。
オレオレ詐欺、振り込め詐欺、フィッシング詐欺、インチキ先端技術への投資(なんとかボイラー)詐欺グループや、最近では全国規模の悪徳リフォーム業者の逮捕と続きました。

オレオレ詐欺流行当初に「毎日のように報道されているのにどうして騙されるのか」という素朴な疑問が巷で話題になり、リフォーム詐欺についても、何故、何度も何度も契約を繰り返してしまうかと取りざたされています。
認知症のお年寄りを狙った詐欺に限らず、詐欺を仕掛ける側はその道のプロであり、人間が本来持っている心の弱み、心のスキマを突いて来るからやられるのです。
「人が良すぎるんだ」では済まされない人間心理の不思議な面の存在が背景にあるのでしょう。

最近観た映画で詐欺師が主人公のものが3本ありましたが、いづれの映画にも「詐欺のプロ自身が騙されるシーン」が出てきます。(題名は伏せます)
推理小説の世界でも探偵が犯人だったり、書いている本人が犯人だったり、登場人物全員が犯人だったり、と全く思いも寄らぬ騙しネタが隠れていて、まんまと騙されます。
推理小説の場合などは騙されなかった場合にはガッカリしたりするのですが、これは手品やお化け屋敷同様に互いの了解のうえで成り立つエンターテインメントだから許されます。

さて、過去の詐欺事件の分析研究をした訳ではありませんが、多くの詐欺事件には数多くの金融詐欺が含まれているのではと想像します。
有りもしない開発計画話しをちらつかせて未開の原野に多額の投資をさせる原野商法や、新開発商品の販売システムと称して次々と会員を増やしてゆく所謂マルチ商法(旧、ネズミ講)、インサイダー情報と見せかけて高収益を約束する投資ファンド、バカ高い日本の保険業界に挑戦すると言ってはただお金を集めるだけのいんちき無認可ニセ共済商法、等々、金融詐欺には様々なやり口があり、被害額は巨額です。

様々な切り口の金融詐欺に共通して言えるのは「苦労なくして儲かる」という誘いしょう。
「世の中うまい話はない」ということを理屈では知っていても、イザ目の前に宝の山らしき情報を並べられればそれも一時ついつい忘れてしまいます。
また少し手の込んだ詐欺であれば、「ある程度の努力」とか「ひとのやっていないちょっとした苦労」が必要だというストーリー展開で騙しに掛かるでしょう。

さて、金融業界には詐欺行為として摘発されるわけではないものの(適法であっても)、私達FPの目から見ればほとんど詐欺に近いと言いたくなるようなことが現実に行われています。
そのような金融商品販売の実例を列挙するためには、よほどの確証ある証拠とともに発表するのでなければ誹謗中傷のそしりを覚悟せねばならず、下手をすれば業界から抹殺されかねませんので、あくまで一般論として消費者が錯誤しやすい留意点をのべるに止めておきます。
もちろん、特定の会社の特定の商品を批判する意図は全くありません。
金融商品の甘い罠 という独立コーナーとしましたのでお読み下さい。


おりしも、『 金融広告を読め〜どれが当たりでどれがハズレか 』(吉本佳生著、光文社新書)と言う本が出版されたので読みましたが、これでもかというほどに沢山の危ない金融広告が登場します。 詳しく知りたい方はとうぞ。・・・・・というか、必読かもしれません。


     目次へ