ライフプラン総合案内ライフプラン工房 > 金融商品の甘い罠
金融商品の甘い罠 この業界には悪魔が潜んでいる…かも
---
外貨定期預金 キャンペーン金利
セット商品 投資信託

 金融商品関連のブログ
売れ続ける投信 不動産投信バブル

 

すべて金融商品にはリスクがあります。 それは金融商品の購入がある意味では未来の可能性を購入することであるが故の宿命です。将来得をするか損をするかが分からないというリスクです。しかし、この業界にはもうひとつの非常に影響の大きなリスクが存在します。
それは商品選択時に提供される情報が、一方的に売る側から提供されるものが殆どであることに起因するリスクです。  

すべての会社の全ての商品の説明書、契約約款をつぶさに読み込み、且つ過去の実績、未来の可能性を冷静に見極めて商品を選択することなどは現実には不可能でしょう。 プロであるはずのFPの先生ですら間違った認識をしていることがままあるのです。 
試食できるわけではなく、手にとって眺めたり感触を確かめることのできない金融商品の特性から、利用者は広告、パンフレット、セールストークに頼るしかありません。

金融商品販売法が施行され各業界の販売に関してコンプライアンスが声高に謳われていても、現実の情報を見る限りでは商品選択時の情報に関するリスクは消費者にとって非常に大きいものと思われます。 広告や販売話法の要点、盲点を知る事でこのリスクを回避しましょう。 なお、この記事は特定の会社や特定の商品について批評する意図はありませんが、実際の広告・宣伝・パンフレットを参考にしています。

外貨定期預金

はじめに、超低金利時代に大変魅力的な高利回り商品から・・・
外貨定期預金は米ドル、豪州ドル、ニュージーランドドル、ユーロ他の外貨の預金として一定期間預け入れる預金で、日本の定期預金に比べて圧倒的に高金利であり且つ確定金利です。

しかし、確定なのはあくまで外貨としての金利です。運用収益を実際に手にしようとするときは外貨を円に換算することになり、当然ながらその時点の為替水準によって手取り額が決まります。従って金利は確定であっても実際の利回り(円として見た場合)は不確定な変動商品です。

また、この預金を開始する時には円を外貨にする為替手数料がかかり、満期時などに円に戻す時にも為替手数料がかかります。片道1ドル当たり1円〜2円などが一般的ですので、1ドル=100円と仮定すればここで往復合計約2%が手数料で取られる訳ですね。

ところで金利というのは通常1年間の金利で表します。外貨定期預金の満期が3ヶ月であっても金利は年換算金利が表記されています。
仮に年利6%としても3ヶ月もの定期なのであれば実際にプラスされる金利は1.5%です。
しかも金利には20%の源泉分離課税が掛かるのですから、実質金利は1.2%です。
そこで為替手数料の往復約2%を差し引けば、それだけでもうマイナスです。

さらに、たったの3ヶ月とはいえ為替変動がどのくらいあるかは全く不確定。最近のレートの動きを見ても3ヶ月で5%くらいの上げ下げは少しも珍しい事ではありません。つまり、「確定高金利」が売りのこの商品で短期間に大きく損をする可能性があるというわけです。
100万円がたった3ヶ月で93万円になってしまうこともあり得るのです。

また定期預金では満期まで解約できないというものが多いので、為替変動を察知した場合に影響を最小限に食い止めようとしても逃げる事もできない、と言う場面もありえるのです。
外貨預金が危ないと言いたいのではありません、「確定金利」という売り文句に捉われて、確定金融商品であるように誤解すること、「高金利」だけにつられてしまうことが危ないのです。

外貨建て年金、外貨建て投資信託、外貨建て保険等々、全てについて為替リスクの理解と換算手数料の存在を知る事が不可欠なのです。
外貨建ての金融商品は、たとえば毎年海外旅行に行っているとか、お子さんが留学しているとか、海外で外貨を利用する機会があることが確実なご家庭であれば、外貨で持っている限りは為替差損の影響を受けないのですから有効といえるでしょう。
そうでない方は、手数料のこと為替リスクのことを充分に検討する必要があります。

整理するとこうなります。
  ◎短期の定期では年換算表記の金利と実際に受け取る利息とのギャップがある
  ◎円から外貨に換えるとき、外貨を円に戻す時に往復で手数料がかかる
  ◎満期時の為替レートによって大きく損をすることがある




特別金利(キャンペーン金利)の定期預金


世界的に低金利のこの時代でも外貨預金なら3%とか5%がまだあるようですが、国内の預金ではどこを探しても小数点以下のミクロの世界です。
2005年7月現在で都市銀行1年定期預金の金利は大口定期の高いものでも年0.05%です。

まったくふざけているのではと言いたくなる恐ろしく低〜い金利が長い期間続いています。
我々がお借りする時には5%や10%、中には20%とか30%とかもあるというのに、この世界は一体どうなっているんでしょうか。

さすがにあきれ返った人たちの中には預貯金以外の商品を探す人も増えてきているようです。
そこで銀行離れを食い止めようと、銀行が銀行以外で発売された金融商品を売るようになってきて、投資信託や年金、保険商品の販売権を次々と獲得しています。

そうした預貯金以外の商品を販売する際に、全くの新規契約の獲得に走り回るだけでは効率も悪く、もともとの銀行業務を行う行員がいなくなってしまいます。
そこで、まずその銀行口座の契約者に対してこれらを販売するのが最も効率的と考えるのは普通でしょう。

投資信託や年金商品の見込み客になってもらうためにも、まずは定期でも普通預金でもなんでもよいから新規口座の獲得がまず必要なのでしょう。
そこで、金利を上乗せするキャンペーン商品の登場です。

その1)新規預け入れキャンペーン金利

約2ヶ月ほどの期間限定で新規口座開設についてキャンペーン金利2%の定期預金。
ある雑誌の広告で見たところ、「2%」の大きな文字がドカンと真ん中にあります。
その広告をよく見ると、その横に非常に小さな字で(1ヶ月もの)とあります。

下のほうのさらに非常にものすごく小さな文字で書かれた諸条件を読んでみれば、このキャンペーン金利は所定の満期にのみ適用されること、満期時以降に定期を継続しても普段の金利にしかならない事が書かれています。

2%といえば通常の1年もの定期預金の100倍ちかい高金利(?)ですが、適用されるのは1ヶ月のみなので、実際の金利は約0.17%であり、税引き後では0.133%です。100万円を預け入れた場合で通常よりも得をするのは約千円程度です。

文字の大きさを測ってみたところ、2%は55ミリ角、1ヶ月が4ミリ角で条件の説明文は2ミリ角でした。 消費者にとって重要なことは小さな文字で書かれているという非常に真っ正直な広告ではあります。


その2)好金利の定期預金登場!

なにやら横文字の商品名がついているその新登場の定期預金は、年1%です。
あれ、こっちは2%に比べて控えめだなあと思いながらよく見れば、満期は4年または8年となっています。満期でまたは、ってのはなんでしょう。

実はこの定期預金の満期は8年なのです。なのですが、「満期の8年を当行の判断により4年に繰り上げることができる」のだそうです。商品名は「満期日繰上げ特約付き定期預金」です。

年1%という現状ではあり得ないほどの「好金利」で8年契約をするけれども、4年後に市中金利が今より好転せず、相変らず低金利であった場合には、銀行はこの契約をこれ以上は続けませんと言えることになっている。・・・・のです。
初めから4年の定期だと思っておけば、少なくとも今ある定期の10倍以上の金利が付いてくるお約束なのだから、まあいいか。と思うかどうかです。

しかし、もうひとつ重要な条件を我々は確認すべきです。
「この定期預金は中途解約はできません。例外的に中途解約に応じる場合には元本を下回ることがあります」・・・となっている点です。
例えば2年後になって、金利2%の確定商品がどんどん登場したとしても、指をくわえて1%に甘んじるしかないということです。 その後6年間も低金利で塩漬けになるかもしれません。

4年後に銀行側は不利な状況から脱出可能ですが、預金者側にはそういう権利はないのです。
今後8年くらいはインフレにはなるはずが無いと確信を持てる人ならいいのかもしれませんね。ただし、最低金額300万円からとなっていました。もともと私には関係ありませんでした。

それにしても「高金利」といわず「好金利」と表現しているところに妙につつましさを感じてしまったのでした。

さて、あのテ、このテで新規口座を獲得し、見込み客名簿を増やして行き、次の展開は銀行以外の商品の販売ですが、これらについては近日中にアップいたします。


・・・・・・以下、随時追加します・・・・・


★ このコーナーの原稿を書き始めたところ、ある本に出会いました。
その本では架空広告とその解説という形で、多くの金融商品広告のウラにあるリスクについて細かく説明しています。
このおかげで私もより詳しく金融商品を見ることができましたし、見方、考え方の参考ににさせて頂きました。

   吉本佳生 : 著 光文社新書 「金融広告を読め」 1200円+税 です。
   マネー雑誌を買う前に読むべき本だと思います。
  



セット商品・組み合わせ商品
(生保だけではなかった〜抱き合わせ販売)

セット商品、パック商品の購入は慎重にすべきです。セット販売の商品をパッキングするのは我々利用者ではなく供給側なのです。
よく売れる商品のパッケージにあまり売れない商品を混ぜてついでに売ってしまおうと考える不届きな売り手が存在しない保証はありません。

それぞれは普通の商品であっても、いくつかを組み合わせる事によっていくつもメリットがある商品に変身するでしょう。しかし、それぞれの商品にはデメリットも存在するのですから、組み合わせればデメリット(金融商品の場合はマイナスになるリスク)も増幅するかもしれません。

さて、雑誌広告や金融機関の店頭などで最近良く見かけるパック商品があります。
定期預金と外貨預金と投資信託の組み合わせ商品で、『○○△△プラン』などと命名されています。要するに投資信託などを買ってくれたら定期預金の金利を優遇しちゃいますということのようです。

例えば100万円の資金のうち投資信託を30万円以上買ってくれれば残りの70万円の定期預金金利を2%にします、あるいは投資信託と外貨預金合わせて50万円以上にしてくれれば金利は3%にします、という感じです。
何故優遇金利にできるかといえば、投資信託の契約に際しては販売手数料が銀行の収入となり、外貨預金では為替手数料などの収入があるからなのでしょう。
投資信託の手数料として2〜3%取られ、為替手数料もドルあたり2円程度取られ、場合によっては為替変動で損失を蒙る可能性があります。そして優遇されている好金利の年利 3%というのは例によって当初3ヶ月間だけの適用金利であったりします。(実際は0・75%引く税)

銀行や信金など各金融機関で盛んにPRしているようですが、この商品のメリットは一体どこにあるのでしょうか。
外貨預金や投資信託を始めたいと思いつつも勉強するのは面倒くさいし、下手に手を出して損したくないし、かと言ってこのままの小数点以下の定期預金だけというのもしゃくにさわる・・・銀行ならある程度安心できそうな気がするから、ひとつやってみっか・・というような大変ものぐさな小金持ちさんにとっては便利な商品なのでしょうか。

投資信託を買うのならある程度は投資の勉強をし、リスクとその分散手法を知ったうえで投資信託を購入すればよいですし、外貨預金をしたいなら外貨預金について研究してリスクとコストを知った上でマネープランとして妥当と思うなら購入すればよいでしょう。
投資信託などの勉強をした人なら、定期預金金利が3ヶ月だけちょっと高くなるからといって、このような組み合わせ商品を買うことは無いのではないでしょうか。

ところで先日の新聞に小さく載っていたある記事に私は「ああ、やっぱりね」と思いました。
ある大手銀行が融資先でもある預金者に投資信託を販売したことについて、優位な立場を利用して商品購入を押し付けた不当な販売として処分されたというニュースでした。
融資を受けている中小企業の社長さんなどは、融資条件が厳しくなったりすることを恐れて、断る事ができず買わざるを得なくなるということが今後あちこちで発生するかもしれません。

銀行さんは自ら扱う預貯金の金利は下に付きぬけてしまうほどの超低金利のままにしておいて、FP資格を取った行員によってリスク商品による運用の必要性を説き、投資信託などを売っては販売手数料を得るのです。
そしてそれら商品の販売先は預金者であれ、融資相手であれ、すでにリストが手元に沢山あるのです。本当によくできた仕組みです。

そして、今の予定では2007年から銀行が生命保険商品を販売できるようにすべく法整備がちゃくちゃくと進行中なのです。(すでに変額年金など一部の商品が販売されています。)

ううむ、おそるべし、銀行パワー。
国の借金をたくさん背負ってくれているのだからこのくらい当然・・・なのかも知れません。
金融の世界は実に難しく不可解であります。





 投資信託 〜 信じて投資を託す〜

投資信託とは・・・・
多くの投資家から集めた資金を運用専門機関が管理・運用し、分散投資によって得られた収益を持分に応じて投資家に還元する仕組みの金融商品。
そのメリットは、
◆プロが運用する、
◆少額資金で投資が可能、
◆投資対象を拡大できる、
◆充分な分散投資でリスクが軽減される、
などということになっています。

適正に商品設定がなされて、適合性原則の元に販売され、最適な運用がなされれば、こうしたメリットを享受できる良い金融商品となる可能性は高いでしょう。
では、実態はどうか。

つぎの文章は、開設以来7年にわたって優秀な成績を維持し、また成長し続けているある有名な独立系ファンドの創始者の著書からの引用です。
『 …投信の運用担当者は設定後1年半ぐらいは全力で運用する。そして、クローズド期間(安定運用のために解約を受け付けない2年ほどの期間)が明ける半年ほど前から、持ち株を売って現金化し始める。これはクローズド明けの解約に備えるためだ。この現金化の段階に入ると、もうマトモな運用などはできない。高値にある株を利食いするか評価損を抱えている株を損切りするか、運用担当者はあれこれ悩む。はっきりしているのは解約に備えて現金をたっぷり用意しておかなければならないことだ。さて、クローズド期間が明けると、待ってしまたとばかりに解約が殺到する。ひところはクローズド期間明けの1年ほどで70%が解約されたファンドもあったそうだ。もっと悲惨なのはクローズド期間が明けて信託期間終了までの残り5年とか8年間だ。解約売りとそのための現金作りの追いかけっこを繰り返す。そのファンドはひたすら余命を保つだけとなる。とてもではないが、本気で運用などできない。もしも担当者が頑張って一時的にも成績を回復させたとしよう。そうなれば「ここぞチャンス、待ってました」とばかりに間違いなしに更に解約売りが急増する。結果ますます残高資産額は激減してしまう、運用担当者はバカらしくてやっていられない。・・・』

私はこの人の投資信託を購入していますが、その案内の挨拶文にはつぎのように書かれています。
『皆様の大切な財産を大きく育てていく長期運用の航海をご一緒させて頂きます。・・・重要なことは、長期運用という同一航路の船客だけにこの「○○ファンド」という船に乗り込んでいただくことです。長期運用の航海では、日々の出来事に一喜一憂したり目先の成績にこだわる顧客は船の進行を邪魔するのみならず、他の乗客にも迷惑となります…
どっしり構え、きちんと運用していれば、成績は自然と積みあがるものです。・・・・』

このような本来のあるべき姿を徹底追求しようとする投資信託は一体どの会社のどのファンドなのか、それを知ることができない限りにおいては、投資信託に手を出すべきではないと私は考えます。本人は5年後の運用成果を期待していたとしても、多くの投資家が短期売買目的であるために、次々とそのファンドが先細って行き、知らぬうちに元本割れを起していたのでは、タンス貯金していたほうがよほどましということになるかも知れません。

個人投資家の世界に長期投資マインドが根付かないのには売る側の論理も大いに影響しているようです。
株式売買手数料が収益源である証券取引仲介者にとっては、顧客が長期保有して順調に収益を積み上げていったとしても、彼らの売り上げ(業績)にはなりません。顧客にはできるだけ短期間に売買を繰り返してもらうほうが手数料収入が多くなり売り上げに繋がります。そこで投資家は彼らのお奨めに従って、彼らの手数料収入を確保するために、売って、買って、また売って、また買って、を永久に繰り返すことになります。
車のセールスマンが数年ごとに新車への買い替えを勧めるのと同じ理屈です。
車は消耗し、減価するものですが、株式など投資商品は将来に向けて成長するはずのものなのにです。


「割安株を買って高値で売り抜ける」ことを繰り返すことを、良くないことだと決め付けることはできません。(儲けて何が悪いんですか!!)  市場の大原則からして、短期間であろうとなんだろうと買うのも売るのも投資家の自由です。
株価の安定を確保するために系列会社同士で株を持ち合う。
大口株主である会社の商品を優先的に購入したり、自社社員に賭ける保険契約などをネタにして保険会社に株の安定保有を約束させる、などなど・・・。
日本ではこうしたテクニックが広くはびこって株式市場の機能が著しく阻害されていたのは事実ですから、市場本来の機能を生かすべく、市場は投資家に解放されているべきだとの主張は正当です。

しかし、いくら売買は自由だといっても、逮捕されたムラカミさんのような投資ファンドや、新興のデイトレーダーのような短期収益狙いの投資家ばかりが目立つような状況では、株式会社の長期資金調達の目的が果たせません。色々な種類の投資家が沢山いることこそが健全な市場であるための大事な要素なのです。

『良いお店の価値は良いお客の数で決まる』のです。健全なる長期視野の投資家がひとりでも増えて行くことは日本の投資市場の未来を明くるするのです。その意味で、日本の投資市場は今はまだまだ黎明期だと言えるでしょう。
こうした日本の株式市場の特性、日本人の運用マインドの現時点でのレベルなどについての現実を知ってしまえば、投資信託という商品の選択が今のところいかに難しいかが分かるでしょう。





ライフプラン工房TOP    このページのTOPへ↑