夏山単独登山バトルロイヤル

(名古屋の山の登り方Vol.6より 加筆修正)

かき氷制覇に向けて

全メニューの9割に挑戦したわれわれの前に、大きな壁が立ちはだかっていた。それは、残り1割の半数近くをかき氷が占めていることだった。今のペースでは、どうしてもかき氷だけが残ってしまうのだ。行く度に新メニューが登場していればいいが、そう都合はよくないだろうし、マスターの想像力にも限界があろうというもの(よくよく考えたら、あそこ喫茶店だし)。
そんなわけで、メンバーが一番集まる日を選び、ここでよってたかってかき氷のみに挑戦するという、なんとも無謀な計画を立てた。これなら、一気に「かき氷制覇」である(完食すれば、だが)。そして、とりあえず周りに声をかけてみたところ、集まるわ集まるわ。気づいたら11人になっていた。これまでに結成したパーティの中で最大の人数である。
しかし、かき氷に挑戦、というだけでは、あまりにも漠然としていて面白くもなんともないので、ルールを作ってみた。といっても、次のようなごくごく簡単なものだ。

11種類のかき氷の名称を記したくじを用意し、登山前に各挑戦者がこれを引く。各挑戦者は、自分の引いたかき氷を必ず注文し、単独で挑戦、完食しなければならない。

そう、至って簡単だ。逆に、このルールさえ守れば、他に飲み物を注文しようが、食べ物を注文しようが、全くお咎(とが)めなしである。極端な話、かき氷ダブルでも構わないのだ(さすがにそんなヤツぁいなかったが)。
このルールに則り、無事登頂を果たしたものは、11人中何人いたのか。それは、この記事を最後まで読んでいただければわかるだろう。ただし、あなたがこの内容に堪えられれば、だが。

いざ行かん、かの山へ

平成14年5月3日午後3時、「マウンテン」は大繁盛していた。駐車場は他府県ナンバーの車で一杯、入り口は10人を超える登山客でごった返し、とても名古屋にある個人経営の喫茶店とは思えない、いつもの「マウンテン」がそこにあった。「まーったく、ホームページでむやみやたらと宣伝するもんで…」と、自分達の所業を棚に上げたせりふを吐きながら、入り口へと向かった。
中も大した混雑で、とてもじゃないが11人まとめて座れるスペースを確保することは望めそうにない。空き次第席に着くということで皆納得した。もっとも、早朝に来ればまとめて座れるのだが、朝っぱらからかき氷もないだろう?(*1)

さあ注文、と身構えたが…

30分ほど待った後、ようやく席に着くことができた。さてと、未挑戦のかき氷を11品…となる予定だったが、これが早速予定変更へ。 そもそも、未挑戦のかき氷は9品。新メニューを入れても10品なのだ。そのため、1品は2人での挑戦となった。
そして、予想外だったのが「品切れ」である。「カルピスラベンダー」「ミルクチェリー」そして「エメラルド」は注文できず、次の機会に挑戦とあいなったのである。
そんなわけで、今回挑戦するかき氷は、以下のとおりとなった。

上3品は品切れのために注文しなおした既挑戦のもの、下7品は今回初挑戦のものである。
注文された方は大変である。いきなりかき氷10品が注文されたのだから。それでなくても店内は満員御礼、待ち客もいる状態である。厨房からは、削氷機の音が絶えず聞こえてきた。
だいたい、タイトルに「夏山」と掲げたが、挑戦したこの日はまだ夏ではなかった。とはいっても、季節に関係なくメニューに氷を載せているマウンテン、注文するほうもするほうだが、出すほうも出すほうだ(よく言うよ)。
そして、運命のときがやってきた。
注文した順番に(あたりまえ)かき氷がテーブルへと運ばれ、まるでノルディックのように次々と挑戦を開始した。
さあ、次のページを開くと、上記10種類のかき氷がその姿を現す。食前および食事中の方は、とりあえず済ませていただきたい。そして、ページをめくる前に、それぞれどんなかき氷かを想像していただきたい。まあ、できないものもあるが。

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引用註:
*1:こう主張する私に賛同してくれたメンバーは一人もいなかった。それでもこの時間に決行されたのは、私のわがままが通ったからだ。