津山が誇る鉄道文化遺産 〜旧津山機関区 扇形機関庫〜

旧津山機関区 転車台の概要


2005/05/16開設 2017/05/03改訂
津山の転車台
旧津山機関区(現津山運転区)転車台
■ プレートガーダー部分
製造年昭和5(1930)年
製造所川崎車輌株式会社
構造バランス型鋼製下路式
(中央支承:コニカルローラー)
回転方式電動牽引機による
全長(直径)約18.3メートル(約60フィート)
■ 全体部
設置年昭和5(1930)年

 津山駅の転車台(ターンテーブル)は、現在も現役で使用されています。
 昭和46(1971)年の津山線・姫新線無煙化以降、機関車の方向転換で使用されることは殆ど無くなりましたが、 気動車を方向転換させ、運転台の向きを変えたりするために現在も使用されています。
 (岡山支社管内で現役の転車台があるのは津山のみです。)
 転車台のプレートガーダーは昭和5(1930)年に川崎車輌株式会社で製造され、 同年12月11日の作備線(津山−新見間)全通に伴い、現在の場所に設置されました。

 それまで津山駅には転車台がなく、機関車の方向転換が出来なかったため、 作備線の列車では小型の機関車が後ろ向きに車両を牽引する光景がみられました。
 しかし、昭和5(1930)年12月11日に中国勝山−岩山間が開通し、 作備線が全通することにより、作備線は中国地方の縦貫路線としての重要性が増すことになります。
 全通にあわせて機関車や客車も大型化されることとなり、機関車は8620形の乗り入れが検討されました。
 8620形は、当時全国で活躍していたテンダ式機関車(機関車本体の後ろに石炭と水を積む炭水車がある機関車)ですが、 テンダ式機関車は通常、後ろ向き運転には対応していないため、 津山機関庫に8620形が載ることが出来る転車台が設置されることになりました。

 転車台は、既に確保されていた操車場用地の西端付近(現在の位置)に設置されましたが、 駅方向との接続線として、現在の運転区構内2番線・3番線にあたる線路が敷設され、 転車台を挟んで庫外の収容線2線が設けられています。

 また、この転車台には当初から電動牽引機と集電装置(プレートガーダー中央に設置され、 電線が渡されているゲート型の支柱)が設置され、モーターで回転する方式が採用されていました。
 この電動牽引機と集電装置は、昭和11(1936)年に竣工した扇形機関庫の工事の際は取り外され、 竣工後に再び設置されています。
 電気を供給するための電線・電柱が工事の支障になったためではないかと思われます。
 (電動牽引機が取り外されている間は、手動で回転させていたようです。)

 転車台を固定するための鎖錠方式は、梅小路の転車台と似たような形式で、 転車台横のレバーを操作すると、転車台上のレールの間に設置されているロッドが作動し、 固定する線路側のツメ状金具の間に差し込まれる形になっています。
 また、作業用の歩み板は、転車台の側面(主桁の外側)に設置されています。

 転車台の塗色は、以前は朱色(さび止め)や緑色の時期がありましたが、 平成20(2008)年9月からは茶色に塗装されています。

 また、平成20(2008)年11月現在、運転区構内2番線の転車台付近と転車台上に敷設されているレールは、 大正11(1922)年にアメリカ・ベツレヘム製鋼会社系列で製作された、輸入の古レールです。
 大正12(1923)年に作備線 美作追分−津山−津山口間が開通した時に使用されていたレールではないかと思われます。
 (いまだに現役で使用されているのは貴重です。)
 加えて、転車台をはさんで扇形庫の向かい側に設置されている車止めにも、 アメリカから輸入された別メーカー製の古レールが使用されています。

転車台の施錠装置
津山の転車台の鎖錠装置。
転車台上のレールの間にのびている棒の先端が、合方のレールの間に設置されている金具 (2本のツメ状のもの)の間に差し込まれる方式。

転車台上のレール 構内2番線のレール
左の画像は、転車台上のレール。
「I I I I I I 1922 OH -工 -CONSTECO- MADE IN USA」という刻印が確認できる。
また、右の画像は、運転区構内2番線転車台付近のレール。
こちらのレールにも「60-A.S B.S.CO. STEELTON I I I I I I I 1922 OH -工 -CONSTECO- MADE IN USA」という 刻印がある。
 
転車台周囲の車止め
転車台周囲の車止め。
この車止めに使用されているレールには「OH TENNESSEE-6040-ASCE-10-1922」という刻印が確認できるものがあり、 アメリカ・USスチールで大正11(1922)年10月に製造された輸入レールであることがわかる。
構内2番線転車台付近や転車台上に敷設されている古レール同様、 大正12(1923)年に作備線 美作追分−津山−津山口間が開通した時に使用されていたレールではないかと思われる。

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