今は無き扇形機関庫〜
旧坂町機関区 扇形機関庫
(新潟県村上市)
2010/04/29開設 2012/10/29改訂 |
旧坂町機関区 扇形機関庫は、老朽化のため平成24(2012)年2月に解体・撤去されました。 (転車台は残っています。) 以下の記事・画像は、扇形機関庫の現存時に当サイトで紹介していたものをそのまま掲載していますので、ご注意下さい。 |
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旧坂町機関区の扇形機関庫は、新潟県村上市にある坂町駅の北端に位置していますが、現役施設ではなく、現在は使用されていません。
坂町駅は羽越本線の中間駅で、ここ坂町から米坂線が分岐し、米沢までを結んでいます。
かつては機関区のほか貨物ヤードなどもあったことから、これらがなくなった現在でも広大な構内を有しています。
坂町に機関区が出来たのは、米坂線が全線開通した2年後の昭和13(1938)年。
その際、この扇形庫も建設されました。
構造は鉄骨鉄筋コンクリート造で、支柱や梁は鉄骨、外周部と陸屋根はコンクリートで構成されています。
建設当時は収容線が10線あり、1番庫の隣には修繕職場も併設されていました。
奥行は、設計標準の乙種に該当する約23m。
坂町機関区は米坂線の受持ち機関区として設置され、配置されていたSLも中型のものであったため、この奥行となったと思われます。
現在は修繕職場部分と1番庫から4番庫まで4線分のみ残っており、外壁も殆どがスレート・波板張りに替えられていますが、 そのスレート・波板は所々剥げ落ちたまま放置されており、収容庫も煙突などを撤去の上、入口部分は柵で塞がれていて内部は使用されておらず、 再使用や修復・保存の予定はないように思われます。
扇形庫前面には、昭和6(1931)年・川崎車輌製の20m級電動下路式転車台が設置されており、こちらは使用頻度は少ないものの、現役の転車台です。
この地域にイベントなどでSLが運行された際の方向転換で使用されているようです。
また、付近には給水塔も現存しますが、こちらは扇形庫や転車台と比べると新しいもののようです。
なお、この扇形庫・転車台は駅構内にあり、一般公開等は行われていません。
JR東日本新潟支社では一般の構内見学は受け付けておらず、敷地内への立入も禁止しているとのことです。
(調査・撮影時期) 平成21年6月
(参考文献)「図説 新発田・村上の歴史」 平成10年 郷土出版社発行
「日本の産業遺産II −産業考古学研究−」 平成12年 玉川大学出版部発行
上の画像は、扇形庫の側面(4番庫側)から背面にかけての状況。
全面波板・スレート張りだが、その周囲は草木が茂り、屋根にも草が生えている。
右の画像は扇形庫正面を見たもの。
収容庫入口部分は、上部の窓ガラスは失われているものの、建設当時の様相を残している。
駅構内から1本の線路が転車台へと延びているが、転車台から先、扇形庫への線路は見えないほど、 草木が生い茂っている。
草が茂って見づらいが、坂町の転車台は電動下路式。
受電ゲートが無く、給電方式は直江津の転車台と同様と思われる。
■当サイト内の文章・画像の無断転載の禁止について(注意)■ (2011/03/04掲載)
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