旧直江津機関区　扇形機関庫

旧直江津機関区（現　直江津運輸区）扇形機関庫は、新潟県上越市にある直江津駅の構内東端に位置し、現在も現役で使用されています。

直江津駅は信越本線と北陸本線が交わる要衝。
直江津機関区は明治時代からの歴史があり、現在の扇形庫と転車台を挟んで向かい側には、 大正元（1912）年竣工の扇形庫（鉄骨鉄筋コンクリート造で壁面はレンガ造、収容線２２線）がありましたが、 昭和48（1973）年に取り壊されています。

現在も残る扇形庫は、昭和19（1944）年に修繕職場として建設されたもの。
２２線の扇形庫にはＳＬの修繕を行うことが出来る場所がなかったため、このような修繕職場が建設されたものと思われます。
古レールを利用した鉄骨造で、外壁はスレート・波板張り、屋根は金属板で覆われています。
収容線は４線あり、奥行は深く、最深部で約５９ｍあります。
現在はこの奥行を生かして、主にラッセル車が収容されています。
新津の扇形庫同様に屋根は高く、また収容庫の中ほどより前面側は収容庫入口に向けての片流れ屋根、 中ほどより奥側は庫側面を妻側とする切妻屋根が設けられ、屋根面が一体となっていないのも特徴です。

また、扇形庫前面には昭和35（1960）年・汽車製造製の２０ｍ級三点支持型の電動転車台があり、 現在も現役で使用されています。

なお、この扇形庫・転車台は運輸区構内にあり、現役施設として使用されています。
ＪＲ東日本新潟支社では通常、一般の構内見学は受け付けておらず、敷地内への立入も禁止しているとのことです。

（調査・撮影時期）　平成21年8月　及び　平成21年11月（「じょうえつ秋の大収穫祭」関連イベント）
（参考文献）「保存版・信越本線の１００年」　平成11年　郷土出版社発行
　　　　　　　「消えゆく扇の庫」　昭和50年　小菅正吉　著
　　　　　　　「日本の産業遺産II　−産業考古学研究−」　平成12年　玉川大学出版部発行

上の画像は、直江津の扇形庫の側面。 全面波板・スレート張りで片流れ屋根と切妻屋根の組み合わせが見て取れる。 片流れ屋根の端には、換気口が設けられている。 また右側の画像は、扇形庫内部の状況。 内部は広く、鉄骨が綺麗に組まれている。 また天井クレーンの移動レールも確認できる。 左の画像は、扇形庫の背面。 こちらも全面波板・スレート張りとなっている。 直江津の転車台。 転車台中央の受電ゲートがないが、電動の転車台。 中央支承の下方から受電している。 普段は立ち入り禁止の構内でも、時にはこのようなイベントが行われることも・・・。

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