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設立趣旨書

1 趣旨

 現在、日本においては生態系保全への配慮に欠けた開発事業によって、日本各地で自然生態系の破壊が続いている。
 地球規模での環境破壊が地球上の野生生物を絶滅に追いやっている現状の中で、それぞれの国や立場を越えて、自然環境を守り、復元・創出することで、生物の多様性を図ることは、今や急務である。
 一方で自然環境の保全や復元・創出に関わる事業の展開の場においては、地元の自然を守り、さらに熟知した県民のきめ細かい関わりが不可欠であり、このことから県民が主体となった自然環境の保全・復元・創出が強く求められている。このことは2003年1月1日施行の「自然再生推進法」にも明記されている。
 私たちは江川や三つ又沼ビオトープ、また荒川旧流路等の荒川流域とその周辺の環境を後世に継承するべく、保全・復元・創出・維持管理の事業を、それらの自然環境保全や街づくりの専門家としての県民・住民の立場から推進するために、本法人を設立するものである。

2 申請に至るまでの経過

 1980年より上尾市民は江川流域の自然環境保全の必要性に着目してきた。地元では「荒沢」と呼ばれていた湿地帯だが、1988年に行われた「上尾市自然環境調査」によって、サクラソウをはじめとした絶滅に瀕する動植物が多数確認された。しかし、農業の衰退と産廃の埋め立てによって、これらの自然は日に日に消えていった。
 こうした状況下、地元地権者の協力の下、1990年に江川流域の絶滅危惧動植物保護のために、上尾市民が中心となって「上尾・桶川ランドトラスト」、後に名称変更し「サクラソウトラスト」を発足させた。以後、現在に至るまで、県民ボランティアが中心となって、江川の生態系保全のために、行政への保全提言活動、県民への普及および広報活動や、絶滅危惧動植物保護のための環境管理作業等が継続されている。
 一方で、前記調査によって荒川本線河川敷内の荒川旧流路等の自然環境の重要性が明らかになったことから、1988年より「三つ又沼」を中心とした荒川旧流路の自然環境の保全にも取り組み、国土交通省への働きかけが実を結んで、現在は「三つ又沼ビオトープ」として保全されるに至っている。なお、また、その上流部においても国土交通省による用地買収等による環境保全が進行中である。
 このように荒川本線においては確実に自然環境の保全の推進がなされているが、支流の江川においては懸命な県民の活動にも関わらず、埋め立て等による自然破壊は留まる様子もない。
 こうした状況の変化、複雑化に対応するため、地域の環境保全活動を担ってきた市民ボランティアが特定非営利活動法人として再結集し、より強力に運動を推進していくことを決定した。

平成15年2月4日

特定非営利活動法人エンハンスネイチャー荒川・江川
設立代表者 小川早枝子

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