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21世紀への贈り物
ミレニアムという耳慣れる言葉になじんだと思いましたのに,千年紀の今年も終わろうとしています.
いよいよ新しい世紀,21世紀が幕を開けようとしています.日々の連続なので新世紀といっても急に何か変わるわけではないのですが,今年と来年は特別な響きのある年です.こんな記念すべき年まで生きてよかった,と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか.私の父は昨年亡くなりましたが,口癖のように21世紀まで生きたい,と申しておりました.感激屋でしたから,生きていたらなんと言って喜んだかな,と想像しています.
来世紀に私たちは何を贈りましょう.つい反省すべき事ばかり思い浮かべてしまいます.団塊の世代の私たちは,たくさんの競争相手と戦ってきました.「頑張れ」と言われて頑張れた私たち世代ですが,今の青年たちにも同じことを言って通じるでしょうか.心に負担をかけるだけで,それぞれの個性をつぶしてはいないでしょうか.
ぜひ,次世代を担う彼らに贈っておきたいことがあります.それは,人と人とのコミュニケーションです.情報技術(IT)革命もよいのですが,大切なのが人間関係です.面と向かった相手に,どのような言葉や行動をとったらよい人間関係を結ぶことができるかを伝えていきたいと思います.
どんな言葉を使うと人を傷つけてしまうのか,声の調子によって受け手の感じ方がどう変わってくるのか,誤解を招く行動はどんなものか.心を結ぶには自分の行動に責任と客観的な視点が必要になることを伝えていかなければなりません.
また,優しい人間になるには,自分は価値のある人間であると自信を持つことが大切です.身近な人が認め肯定してあげることで,さまざまな能力を伸ばす手助けができると思います.洞察力を高めながら前向きな視点で褒めてみましょう.具体的に,見逃さず,小さなことでも,タイミングよく,ときには第三者をとおして褒めること.一番力を入れていることを認めてもらえたら,だれでもうれしいはずです.そして共に喜び,悲しむ姿勢も見せましょう.基本的な関係が肯定的なものであると,信頼関係が出来上がり,ポジティブな生き方ができると信じます.
皆が互いに認め合い,心をしっかり結べる新世紀となりますように祈っております.
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