エキストラ顛末記−『プライド』(記:2003年12月6日)


 11月29日だったか、30日だったかの新聞に
「フジテレビ『月9ドラマ』エキストラ募集、応募は往復はがきで12月2日必着」
というのが載っていた。
交通費なし、食事なし、出演料なし。 アイスホッケーをテーマとした青春ものということでホッケーチームのサポーター役。
(役ってほどのもんじゃないと思うけど・・・)


 撮影日は12月8日、9日、10時集合で撮影は8時間とあったので、 仕事のこともあるからなぁ〜と迷ったんだけど、 やっぱり応募することにした。
 12月1日に往復はがきを買って、その日のうちに投函した。
(じゃないと2日必着に間に合わないからね。)

 で、私は勝手に4日か、5日には返信がくるんじゃないかと思っていたんだけど、 全然戻ってこない。 ひょっとして募集人員は各500人ということだから、当たらなかったら? 返事はこないのかなぁと思っていたら、 6日になって返信がきた。

9日の返信はがき


 私は特になんの問い合わせもせずに新聞の記事だけみて応募したんだけど、 はがきには午後7時から午後11時までと書いてあって、 もちろん私はその時間でなんの問題もないのだけど (というより、そのほうが好都合)、 ひょっとして、それって居ても居なくても全然関係なくて、 でも折角応募してきてくれたんだから、撮影が終わっていたとしてもまぁ見てもらって構わないよって、 それくらいのもんかなぁって思った。 ホラ、よくあるじゃない。試合中の観客の様子だけがバァ〜っと映るのがさ。 実際にリンクでやってる人達も俳優じゃなくて。(っていう言い方はヘン?)

 でも、折角「当たった」のにいざ行って
「受付は10時だったんです・・・」
なんて言われるのはもったいないので、 一応確認のため電話してみると
「そういうお問い合わせが多いんですが・・・ 新聞には確かに10時と書いてあったんですが、都合のつく時間なら何時でもいいようです。 7時からとあっても10時に来てもらっても構いません。」
と言われた。
(たぶん電話の人は10時からってことだから応募したのに 7時からじゃ行けないよ〜っていう内容の電話かと思ったんじゃないかな。)
 なんかこれを聞いてますますどうでもいいのね〜?と思った。

 さて、行けるとなると、今度はどうやってそこまで行けばいいかなぁ・・・と悩んだ。 私はそこに行ったことがなくて、しかも11時までとなると車で行くしかない。 (たぶん電車、バスはその時間だとなくなる。田舎だからね。) 車で行くとなると停めておかなくちゃならないけど、その施設に駐車場があるかどうか知らないし、 逆にその施設周辺に駐車場があるかどうかもわからない。 (本当はいけないんだけど)よく用もないお店にちょっと停めさせてもらうことがあるけど、 流石に4時間はちょっとと思うし、第一夜の11時まで駐車場を開けているお店なんて、 田舎にはそうそうない。
(駐車場のみなら24時間のヤツがあるだろうけど、 それがその施設周辺にあるかどうかもわからないし・・・)
 一度「下見」に行ってみようかなぁと思っているうちに、当日になってしまった。

 で、とにかく「駐車場」のことがすごく不安だったから、 だって、会場に行ったら
「ここは駐車場がないから車で来られても困ります。」
なんて言われて、すっごく遠くの駐車場に停めて歩いて行ったら時間(ハガキに書いてあった時間)が過ぎちゃって
「もう受付は終了しました。」
とかなんとか言われたら悲しいじゃん。

 仕事もそこそこくらいの気持ちで、思いっきり早めに出掛けた。(ふっ・・・3時で終わりさ。) そしたら、会場には6時ちょっと過ぎくらいに着いた。 私の心配をよそに、会場には結構(かなり?)広い駐車場があって、 しかもガラガラって感じ。 警備員さん?もいたけど
「どこでもいいので、空いてるところに停めてください。」
って言われるくらいだった。 はぁ〜心配するこたぁなかったなって思ったけど、まぁそれは結果がよかったから思えることだしね。

 会場に入る時に返信ハガキを見せたら、時間なんかについては全くなにも言われず、 スタッフから「応援グッズ」を渡された。 私が預かったのは青い布。 (本当にただの青い布。後でわかったんだけど、もっと「ただの布」もあった。)
「この応援グッズで応援をよろしくお願いします。 みなさんの席は3階です。2階にはお入りにならないで下さい。 お帰りの際には応援グッズと返信ハガキを置いていってください。」
って。
 とにかく内容とか出演者とか全然知らないもんだから 「はぁ・・・」って感じで歩いていくと、 壁にタイトルと出演者とその役柄が書いてある紙が貼ってあった。 特に控えたりしなかったのでうろ覚えなんだけど、 出演者は
木村拓哉・・・里中ハル
坂口憲二・・・ホッタヤマト(漢字で書いてあったけど覚えていない)
他に二人くらい書いてあったけど、 私が覚えているのは当日会場に来ていた木村さんと坂口さんだけ。 だけど、私が覚えていない他の二人も人気者で、そうそうたるメンバーだなぁと思った。

 初めて会場内というか観客席に入ったんだけど、 扉を開けるととても明るくて、とういうか 私としては白い感じ(靄がかかっているみたいな・・・)がして
「へぇ〜。」
と思った。

 その時は特別応援についての説明もなくて (というか私が途中から入っていったわけなので) なんだかわからないけど、適当にその辺の席に座ってまわりの人と同じような調子で「応援」した。

   しばらくすると、たぶん撮影の区切りだったんだろうけど、 「エキストラ係(担当?)」みたいな人が出てきて、
「みなさん、素晴らしいです。その調子で応援をお願いします。」
とかなんとか言って、次のシーンはこれこれこんなのですから、こんなふうな応援をお願いしますと 内容についての説明があった。


 エキストラにも2種類?あったみたいで、 私は一般なので3階席だったんだけど、 「ファミリークラブ」とかいうツテで来ている1,2階席のエキストラさん達はどうやら 2日連続で撮影に参加しているようだった。 しかも1,2階席ということはリンクに近い場所なわけで応援の仕方も3階席のエキストラさん達とは ある意味別次元。 スタッフから渡される「応援グッズ」も「高級」なもので、 里中さんチームのユニフォームとかタオル、あとメガホン(っていうの?)に帽子、 あと紙に書いた「H」「A」「L」「U」とかチームカラーの風船などなど。 エキストラさんもその「応援グッズ」に匹敵する素晴らしい「演技」をしていたと思う。

 エキストラさんは老若男女、本当に赤ちゃん(と言ってもお母さんが来てるからだろうけど)から 年配の方まで色々だった。



 木村さん演じる里中ハルと坂口さん演じるホッタヤマト(彼はゴールキーパー)のチームは
「ブルースコーピオンズ」(「ズ」ってついたかなぁ)
と言って、対する相手チームは
「ドリームメーカー」
という名前だった。

 で、ドリームメーカーのゴールキーパーがゴールを決められるシーンがあったんだけど、 そのゴールキーパーの名前が「SUGIO」っていうの。 (ユニフォームの背中にそう書いてある。私は一瞬名前の「杉男」?とか思ったけど、 普通は姓の方だよね・・・。 里中ハルの木村さんは「HALU」だったけど。)

 その時、エキストラはみんなドリームメーカーチームのサポーターになっていて、 本番までっていうか、撮り終わるまでにはかなり時間があるし、 「応援」するときは 「スギオォ〜!!」みたいに叫んでるんで、 そのうちそのスギオさんがエキストラの中で人気者になってきた。

 スギオさんがマスクを外しただけで
「おぉ〜!!」
みたいな・・・。



 後で、エキストラ係の人がシーンの説明に入る前に
「あのぉ〜、マスクとっただけであんなに喜んでもらえるなんて、 みなさん、スギオさんとお知り合いですか?」
って聞いたんだけど、その答えが
「知らなぁ〜い!!」
って・・・。





 撮影は順調に進んで?8時過ぎくらいから木村さんと坂口さんが登場した。 (私はご本人さんが登場するとは知らなかったけど、他のエキストラさん達は知ってたみたいだった。) あたりまえだけど、本物はすごい。歓声が違うもの。
(それまでは木村拓哉さん演じる里中ハルを「アレックス」さんという方が演じていた。 流石に木村さんの技術はアレックスさんには及ばないけど、 でも全く問題ない程度で、俳優さん達はみんなこんなことも出来なくちゃいけないのかぁ〜、大変だなぁと思った。)



 木村さんがちょっとフェンスに近づいただけで
「キャァ〜!!」
「ハルゥ〜!!」
って感じ。 もう応援お願いしますなんて言葉は全く必要ないくらい。 いやぁ〜、ホント人気者ってすごいなぁと感じた。 (ちなみに私は木村さんも坂口さんもすごくカッコイイと思うし、男前だし魅力的だとは思うけど、 残念ながら叫びたくなるほどの感情は持ち合わせていない。 なので結構視線的には冷ややかだったかもしれない。)

 なにをしても大歓声って感じの中で撮影はすすみ、 最後のシーン(というかそのシーンがどこで使われるかは知らないけど、 木村さんと坂口さんのこの日最後の出番)の エキストラ係さんの説明が面白かった。
「みなさん、盛り上がって応援してください。優勝(って言ったと思う)が決まるシーンです。 延長戦でハルさんがゴールを決めるシーンです。 ハルさんが相手チームにゴールを決めたら、普通に盛り上がって応援をお願いします。 それからハルさんがこっち(エキストラさんのいる客席側)を向いて『やったぜ!!』みたいなポーズをしますから その時は『違う自分』になって応援して下さい。 みなさん「アメリカ人」になって下さい。 それまでジャンプしてた人は今までの2.5倍のジャンプをお願いします。 隣の人と抱き合って下さい。 みなさんが手に持ってる応援グッズも本番の時は投げて下さい。」



 このシーンが終わったところで、リンクに両チームのメンバーが並んで木村さんが一言挨拶して、 それで木村さんと坂口さんは終わり。
スタッフからは
「まだまだ撮影は続きますので、応援よろしくお願いします。」
というアナウンスがあったけど、 これで木村さんと坂口さんを見ることは出来ないし、 時間も10時を過ぎていたから、ここでかなりの人数が帰った。 元々会場内の1/3を埋めるくらいの人数しかいなくて シーンによって席を移動したり、応援グッズを変えたりして撮影していたんだけど この時点でその半分くらいの人数になったような感じがした。

 それから、その時はまだ知るよしもないことなんだけど、 ここからがホントの撮影というか撮影の厳しさだっていうのを見ることになった。 それは「ニッタ」さんという人がゴールを決めるシーンなんだけど、 ただゴールを決めればいいというわけじゃなく ゴールのネット裏から撮影しているカメラの真ん中?にパックを打ち込むっていうものなの。

 10時半過ぎくらいからニッタさんはひたすらシュートし続けた。 応援するエキストラさんも最初は「気楽」(というのは御幣があるかもしれないけど) に
「ワァ〜!!」
って感じだったんだけど、 時間が進むにつれてだんだん人は減ってくるし(みんな帰ってしまう) 残ってる人も疲れてくるし、 そのうち演技とかじゃなしに
「がんばれぇ〜!!」
「ニッタァ〜!!」
みたいな・・・結構悲壮感が漂ってくる。
 みんな帰りたくちゃ帰ってもいいんだろうけど (「ファミリークラブ」の人達はいざ知らず、 少なくとも一般のエキストラはお金もらってるわけでもなんでもないし、時間的な強制はないはず) なにか、とにかく見届けて帰りたいみたいな・・・ そんな感じだったと思う。

 で、ニッタさん本人もたぶん早く決めたい思いはあるんだろうけど、 こればかりはどうすることも出来ない。 ニッタさんがシュートして完全に「的」から外れている時は
「あぁ〜・・・」
みたいな声が出て、 逆に「その辺り」にいくとニッタさん的にも 「決まった!」と思うのかガッツポーズが出たりするわけ。 すると「応援」するエキストラさん達も本当に 「ヤッタァ〜!!」って感じでワァ〜ワァ〜言うんだけど、 スタッフから
「惜しい!ちょっと上でした」
「改めて・・・」
「もう1本お願いします・・・」
とか
「審議します」
とかいう声が掛かると
「えぇ〜!!」
とかいう声があがる。

 誰もニッタさんを責めているわけではないんだけど、 とにかく「早く決めてくれ!」みたいな思いはあったはず。 (少なくとも私にはあった。)

「応援お願いします。」
と言われてシュートするまでは盛り上がって(盛り上げて)いるけど、 最後の方ではもうみんな元気がなくて、 こりゃ外れたなって見ていてわかるような時はすぐに 「ピタッ」と声が止んで、ある意味こんなに人がいるのにこんなに静かになるんだぁってくらい 静かになった。

 結局OKが出たのは12時過ぎだった。 この時はみんな優勝が決まったシーンよりも心から喜んでいたんじゃないかなぁ。 ニッタさんにたいしてカーテンコールみたいな・・・。
(ニッタさんもすごくホッとしてうれしそうだった。そりゃそうだよな。イヤだよなぁあんな状況は・・・)

 で、すごく思ったのはニッタさんのゴールのシーンを先に撮るっていうことは出来ないのかなぁってこと。 そりゃ何時までには終わると確約出来ないのをわかっていて、 木村さんみたいな超人気者を待たせるなんてことは出来ないだろうけど、 だけど、あのゴールが決まった後に木村さんが登場すれば、 盛り上がってくれと言われなくても盛り上がるじゃない。



 今回つくづく思ったことは、 仕事っていうのは何でも大変だし、 ひとつひとつつくりあげていくものだと思うけど、 ドラマっていうものもそうなんだなぁ〜ってこと。 ひとつのシーンをとるのに本当に時間がかかるんだなぁって。



 帰りにフジテレビのストラップをもらってきました・・・。



●●  後日談(2003年12月26日)  ●●

 12月14日の夜に、今度はテレビで「エキストラ募集」ってやっていた。 (12月22日、23日)
 で、前回参加してみて面白かったので、今度は子供と一緒に参加したいなぁと思って、 22日なら次の日は休みだから少しくらい夜遅くてもいいかなぁって思って (でも高校生以下は19時までって注意書きがあったけどね・・・) 早速、前回同様往復はがきで応募した。 16日までってことだったので15日の午前中に投函した。 けど、20日、21日になっても返信はがきが届かない。 今回は200人募集で、当選しなかった人には返信はがきは送らないってことだったから、 当たらなかったんだなぁって、結構ガッカリした。 けど、また募集はあるだろうって、しょうがないよなって思ってた。 そしたら、なんと、22日になって返信はがきが届いた。 (仕事から帰ったら、届いていた。)


22日の返信はがき


 けど、その時にはもう行く気分じゃなかったから (一応これでも主婦なので、行くんだったら御飯の用意とか色々段取りがあるわけ・・・) 子供にも、
「今回は行くのやめとくけど、いい?」
って言ったら
「今頃来ても意味ないじゃん・・・べつにいいけど・・・」
って。

 応募はがきは地方の放送局に送ったんだけど、返信はがきの消印は世田谷になっていて、 ひょっとして全部わざわざ東京まで送ってんのかなぁ、 けど、他の人達には間に合ったんだよなぁ、 家だけなんか事情があって配達が遅れたのかなぁとか思いながら、 でも今更どうしようもないもんなぁって思っていたら、 放送局のホームページにこんなお知らせが載っていた。


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<お詫び>

諸事情により、12月22日(月)のエキストラにご応募された方への当選案内状が
一部当日22日に配達されております。
そのために22日のエキストラ撮影にご参加できなかった皆様は、12月23日あるいは
来年1月以降に実施予定の第5弾エキストラ募集時に今回の当選状がご利用できます。
楽しみにされていた皆様には、大変ご迷惑をおかけいたしまして誠に申し訳ありません。
遅配されました“12月22日(月)の入場案内状”はその時まで有効となりますので
保管しておいて、その時点で使用下さい。

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 おぉ〜!!
なぁんだ、家だけじゃなかったんだ・・・。 というわけで、これからの募集に注意していきたいと思います。



●●  更に後日談(2004年1月11日)  ●●

 その後、結構チェックしていたつもりだったんだけど、 なんと、1月8日、9日に撮影があったようです。 で、当然知らなかったことだったし、用もあったし結局行けませんでした。 非常に残念。

 けど、また気をとりなおして次の募集をチェックしていこうと思います。


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