心に残る言葉−このまま行っちゃうんだなぁ(記:2004年9月30日)
もう何年も前のこと。
結婚式の朝。
もうずいぶん前のことなのではっきりとは覚えていないのだけど、
確か私の結婚式は午前10時からだったと思う。(たぶん披露宴が午前11時から。)
この辺りは結婚式が終わった後にそれぞれの実家にそれぞれの親族が集まり改めて一杯やるという習慣がある。
今ではもうあまりないと思うけれど『後拭き』と言っている。(これは結婚式に限ったことではない。)
が、その家の人間(父や母)は式場にも行かなければならないので、
そうなると当然式場に行かない親戚の誰かや近所の人にお手伝いをお願いすることになる。
だから家の中に人が多く、さらに行ったり来たりしているのでとにかく忙しない。
花嫁は支度に時間が掛かるので、結婚式の3時間だったか4時間前に式場に入らないといけない。
私は自分の車を持って行くことになっていたので、その日も車で行くことにしていた。
私は結婚式当日の朝がこんなにもザワザワするとは考えていなかったので、
親には家を出る直前に挨拶をしようと思っていた。
すっかり身支度を整えて父を探したが・・・見当たらない。
すると母が呼んだ。
「とおちゃ〜ん。りょうこがはなしがあるってぇ〜」
父がやってきた。
「長い間お世話になりました。」
というようなことを言ったら、父が言った。
「わかった、わかった。そんなことはいいからしあわせになってくれや。もう行くんか?」
「うん。」
「車で行くんか?」
「そうだよ。」
「自分で運転してくんか?」
「そうだよ。」
「気をつけて行けよ。事故にあわねぇ〜ようにな。
それにしてもなぁ、
このまま行っちゃうんだなぁ・・・。
昔は仲人さんが迎えにくるとかなぁ・・・。」
父は特別な意味を込めて言ったわけでもなんでもないと思うけれど、
その時の父の「このまま行っちゃうんだなぁ・・・」という言葉が、私の胸の奥に深く突き刺さった。
他のことはあまりよく覚えていないけど、今でもハッキリ覚えている言葉。
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