営業魂(記:2004年1月25日)


 家は去年、私の車を買い換えた。

 私は今まで(独身の頃から)ず〜っと中古車を乗り継いできている。 あまり『新車』に対する強い思い入れがないし、 中古車に対する抵抗感みたいなものも全くない。 むしろ、あまり車にたいして詳しい知識がない分、 前オーナーさんが色々な装備を付けておいてくれると助かったりする。
 新車、中古車に対する拘りもなく、メーカーや車種に対する拘りもほとんどない。 だからいつも、その時に乗りたいと思う車を決めて何件も中古車屋さんをまわって探す。

 ダンナは結婚する前は車を持っていなかった。 ずっと東京近辺を転々?としながら仕事をしていてアパートや寮生活で、 車がなくても特に不自由なこともなかったようだ。
 私自身、デートの時に車がなくて不自由した覚えもなかった。



 最初に乗った車の、私が乗り始めた時の走行距離は3万キロくらいだったと思う。 で、9万9千何百キロかくらいの時に車検の時期がきたから次の車を探し始めた。 その時は乗りたいなぁと思う車が決まっていたけど、 なかなか条件(年式、走行距離、金額等)に合う車がなく、 結局少し遠くから取り寄せてもらうことになった。 車が来るまでに少し時間があったから、 その間に意味もなく車を走らせて10万キロを超えさせた。 (その車はメーターが99999までだったから、 00000になった時はなんとなくうれしかった・・・。 全く意味のない無駄なことなんだけど、『やったぁ〜・・・』って感じ。)



 結婚して子供が生まれ、ダンナが通勤に車を使うようになって、 家の車は2台になった。 その後、平成5年か6年だったかにに私の車を買い換えた(軽自動車)時も中古車屋さんをまわった。
 家は基本的に『乗り潰す』ので、それからずっとその時の車に乗っていた。 その中古車屋さんの営業さん(とあるメーカーの系列でTさんという)は、購入後、折に触れて度々電話をしてきた。
「その後、お車の調子は如何でしょうか?」
最初のうちはだいたいこんな感じだったんだけど、そのうち(4、5年くらい経つと?)
「そろそろ次のお車をお考えでしょうか?」とか
「ダンナさんのお車の方は如何でしょうか?」
という感じに変わってきた。
 まぁ、そう言われても別に予定していないものは予定していないので
「そうですねぇ〜。今のところはまだ・・・。」
って感じでず〜っと断わり続けていた。

 昔は10年を越えると車検は毎年になるとかっていっていたけど (ホントかどうか私は知らないんだけど) 今は10年を越えても2年に1回だから、 車検とって特別問題がなければず〜っと乗り続けるつもりでいた。 現に、去年の車検をとれば14年目だったはず。 だけど、流石に色々ガタがきて (『車』という機能には問題はないけど、オーディオ関係が壊れて、エアコンが壊れて、パネルの表示がおかしくなって・・・) 最後のほうでは走っているとどこかでカタカタ音がしていた。 よくマンガなんかにある、走っているうちに分解しちゃう・・・そんな感じ。 だから修理して車検とってあと2年乗るか新しい車を買うかすごく迷ったんだけど、 結局買うことにした。(だって、ちょっとやそっとの修理で済みそうもないんだもの。)

 次に乗る車はどれにしようかなぁと色々考えて車を決めたんだけど、 Tさんのメーカーの車ではなかったから、また自分で思い当たる中古車屋さんをまわったり、 新聞広告なんかをみたりして探していた。 そうしたらダンナが
「Tさんに『こんな車探してるんです』って電話してみたら?あんなに電話してきてるんだから。」
と言うので、そうかなぁと思いながら電話してみた。
 そうしたら、その対応の素早いこと、素早いこと。 次の次の日にはもうこんなのがありますけどという電話があって、 更に次の日にはその車に乗って家までやってきた。
 希望通りの車ではあったけど、少々予算オーバー(とはいえ、妥当な見積もりではあった) なのと、『軽貨物』という部分ですごく迷ったんだけど、 ダンナの
「いいじゃないですか。それにしちゃえば?」
の言葉で、
「うぅ〜ん・・・」
と決めた・・・。

そしたら、1週間ちょっとでもう納車された。すげぇ〜。

 私は内心『軽乗用』を希望していたから、 上手く言葉では言えないけど、なんか納得出来ない部分がありつつ・・・ でも、今では毎日の通勤、買い物に調子よく乗って可愛がってるつもり。うふふ・・・。



 ところで、その時のTさんの対応に対してダンナ曰
「それにしてもTさん、よくやりますよね。 だって、たかだか中古の軽自動車1台買ったくらいで、 それももう10年くらいも前のことじゃないですか。 普通ここまでやりませんよ。」

 私は『営業』ってしたことがないので、その基本みたいなものは全くわかってないんだけど、 それって『営業魂』ってやつ?と思った。 とにかくすごいよ・・・。


 
 で、更に話は続く。

 ダンナの車は今年の3月に車検がくる。
平成3年車なのでそろそろ買い換えだなと考えていて (だけどエンジンの調子はすこぶるいいのですごくもったいない気はする・・・)、実は去年の秋口から 車屋さんをまわってカタログをもらったりし始めていた。 予算はある程度決まっていて、今の車は定員が4人なので今度の車は6人以上乗れるのがいいなぁって、 その程度の希望。 新車でも中古車でもその希望に合っていれば全く構わないって、その辺りは今までとおなじ。



 最近の車屋さんはカタログをもらう程度だと?全然『押し』がない。 電話をしてきたりとか、自宅まで訪ねてきたりというのは一社を除いて他は全然なかった。 (なんでもそういう『方針』なんだそうだ。) こっちとしては助かるけど。



 そこでまた登場するのがTさん。 とにかくマメに電話をしてくるし、それに今までの『付き合い』からダンナの車の調子?とか車検の時期とか、 希望してる車はどんなのかとか、たぶん予算まである程度わかってる。 だから「こんなのが入ってきたんですけど・・・」とか、 「デモノだったんで・・・」 なんて言ってその車に乗って来たり・・・。
 だけどTさんが勧める車はTさんの系列メーカーの車で(そりゃそうだ・・・)、 実は私は最初ダンナにTさんの系列メーカーの車(その時は新車を希望)はどう?って聞いた時に
「カッコ悪いからヤダ・・・。」
と言われたから、唯一そのメーカーに関してはカタログももらってなかった。
 当然、ダンナがその車を選ぶことはないと思ってた。



 ダンナは結構『モノ』に対する執着みたいなものがなく、 私や子供が秋口から、更には冬になり、年が明けてからも車のことを話しているのにいつも
「まだ先のことですよ・・・。」
と言って全然行動を起こす気配がなかった。 それが1月の終わりくらいになって流石にそろそろ決めないとヤバイ・・・と思ったのか、 カタログをもらってからよく電話をしてくるメーカーとTさんのところに行った。 メーカーの方は当然新車なわけで、ちょっと金額的に無理だから今回も中古にしようか・・・ということになって、 それはそれで全然構わないんだけど、 例えば中古でもその車種の中古を買ってもいいわけじゃない。 だから私は中古車屋さんでそのメーカーの車を探すのかと思っていた。 (私はあまり好きじゃないんだけど、ダンナと子供は結構そのメーカーの車を気に入っていたみたいだった。) それが、それがなんと・・・、 ダンナはTさんのところに行ってTさんに勧められた以前『カッコ悪いからヤダ・・・』と言っていたその車種に決めてきた。 車検の時期とかを考えると、もうここで決めないと間に合わないと思ったからかなんなのか・・・あっさり。 私はその車種自体はさほど嫌いじゃないから別に構わないんだけど、 その車種の中でも、もうちょっといいヤツがよかったなぁって思った。 というか、それに決めるんだったら、他の中古車でももうちょっといいのがあったんじゃないの?って思って、 ちょっと今回の車にはガッカリというか・・・納得出来ないでいる。 車検の時期は近づいているけど、あと一ヶ月はあるから中古にするなら中古にするでもうちょっと見たかったなぁ。 もうちょっと(あと何十万程度)出してもいいから、もうちょっといい車が良かったなぁ・・・。 とはいえ、もう決めちゃったんだからしょうがないよね。 これから特に不都合がなければ10年は乗り続けることになると思う。

 来週末にはもう納車されるらしいから、乗っているうちに愛着も湧いてきて可愛いって思えるようになるかなぁ。



 いやぁ〜それにしてもすごい。 『たかが軽の中古1台』から始まって、結局家の車を2台とも買い換えさせた(という言い方は語弊があるけど) Tさんの『営業魂』に、 私は心底感心する。 (・・・というかダンナが『いいお客さん』だっただけか?)



 そうそう、ダンナが今乗っている車がグリーン化税制で増税の対象になるらしく、先日その通知書が届いた。 4月1日現在だったかで、今の車に乗っていると自動車税が1割増になるんだって。 今度の車も特別環境対策(低燃費、低排出ガス等)されている車でもなんでもないから・・・ また何年後かには増税されるのかなぁ。 そういう意味から言っても、もうちょっとお金を出してもいいから『いい車』が良かったなぁ。



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