「あぁ、もしもし、山崎かぃ?」
総悟が電話をする傍らで。
俺は脳内で地図を広げる。
あれから、毎日。巡回をしながら、聞き込みや銀時の行きそうな場所を回った。
しかし。銀時の姿はおろか、目撃証言すら掴めなかった。
…そこで俺は、1つの確信を持った。
……銀時はもう、
それはきっと…あの日、あの夜、銀時がそっと誰にも知られず、
そう思えば、辻褄が合う。
得られない目撃情報、見つからない面影。
あの日、俺が『銀時』と“初めて”出逢った時に言った、あの言葉。
『だから…僕の事を誰も知らない町に行って、1からやり直すつもりなんです』
誰も知らない町に行く、…銀時は、それを実行した。
実際、住み込みの工場などを探したが。
銀時は居なく、面接などにも訪れてはいなく。
銀髪の天パ、そんな人物が尋ねて来たかと言う問い掛けに、皆一様に首を横に振った。
銀時は、
「…銀時、……万事屋」
銀時は。
そんなに遠くには行っていない。
あの日、あの夜、飛び出して行って。
財布一つ、持ってはいなかったのだから。
…俺はあの日以降もずっと、銀時と暮らしていたあの家に帰っていた。
いつ、銀時が帰って来ても。
ちゃんと『お帰り』が言えるように。
笑顔で。迎えられるように。
…もう一度会いたい。
それは『万事屋』でもなく、『銀時』でもなく。
『坂田銀時』に。
あの魂に出逢って。
紡げなかった、伸ばせなかった、全てを伝えたい。
「土方さん」
「…山崎、何だって?」
「まだ潜入したばっかで何も掴んでなかったみたいですぜ。んで、近藤さんが居なくなった事伝えたら、すぐ戻るって言ってやした」
「よし、んじゃ迎えに行くぞ。総悟、車出せ」
「迎えに行くんですかぃ?」
「アイツ、隣町のマムシんトコ行ってんだろ?だったら迎えに行った方が早ェ。それに…」
「それに?」
「……俺も隣町には用事があんだ」
「…あぁ。旦那、隣町行ってんですかぃ?」
「解んねェ。でも歌舞伎町で全然足取り追えねェから、捜索範囲広げてみる」
「なるほど。了解しやした。んじゃ、行きますかぃ」
急いで車に向かい、運転席に総悟が座る。
俺も助手席に座り、シートベルトをする。
間もなく、エンジンが掛かり、車が出発すると…。
「…お?総悟、電話鳴ってるぞ」
「俺ぁ、今運転中でさぁ。気ぃ利かせて出るくらいしやがれ、土方この野郎」
「テメっ、…くそ、電話貸せ。……もしもし、土方だ!」
鳴り出した携帯。
総悟の態度に舌打ちをし、だが運転中にドツく事も出来ず、乱暴に電話に出ると。
「はぁぁ???!!!!」
近藤さんを見つけたと言う、山崎の言葉。
俺は思わず咥えていた煙草を落っことしそうになっちまった。
つか、何でマムシんトコに?!
「どうしたんでぃ、土方さん」
「…近藤さんが見つかった」
「……そりゃまた、えらい早いですね」
「マムシんトコに居たらしい。…くそ、何やってんだ、あの人」
「マムシんトコですかぃ?そりゃ何でまた…」
「俺が知るか!ったく、この忙しい時に…。とにかく、マムシんトコ、急ぐぞ」
「へぃ」
見つかった事に、微かにホっとする。
これで銀時探しに没頭出来る。
そんな事を考えていたら。
ドォン
「……土方さん。あれ、マムシんトコじゃありやせんか?」
「………コンパス忘れたから、引き返せ、総悟」
頼むから、俺に銀時捜索をさせてくれぇっ!!!
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2009/05/06UP