ドォン ドォン ドォン
「ぎゃあああああああ!」
「ウソォォォォ!?ジャスタウェイがァァ!!」
「そんあァァ 僕ら爆弾をつくらされてたってのか!?」
「なんてこった まさかホントにおやっさんが…
確かに幕府のせいでリストラされたとか あいつら皆殺しにしてやるとか いつもグチってたけど…まさかおやっさんが…」
「まさかじゃねーよ!!超一級の食材が揃ってじゃないっスかアア!!豪華ディナーができあがるよ」
「悪いのはジャスタウェイではない 悪いのはおやっさんであってジャスタウェイに罪はない」
「局長ォォォォォ まだ持ってたんスか 早く捨ててェェ!!」
爆発から逃げ、取り止めのない話をしている中。
僕はとても不思議な感覚を抱いていた。
爆発が起こって。…今も一歩でも遅れたら爆発に巻き込まれてしまうと言うのに。
………僕の心はとても穏やかだった。
ワァァァと人の怒声が聞こえて。
おやっさんが…あの、優しかったおやっさんが鬼の形相で、手には刀を持って。
こちらに来てると言うのに。
そんなおやっさんを見て。
悲しいどころか、あぁ、そうなんだ、と素直に受け入れてしまった。
ショックも何も感じてない。
ただ、『それ』を僕は受け入れていた。
…そんな自分に微かな驚きを感じてる。
もしかして、こう言うのに慣れてるのかな?
それとも。
「げェっ おやっさん 来たぞォォォ!!」
「ジミー こっちだ」
…前の僕の。
感覚、なのかな。
「おやっさんとはやり合えない。なんやかんや言っても恩がある」
前の僕が。
…戻って来てるのかな。
思い出そうと。…してもいないのに。
「逃がすかァァ!!」
ガゴン
ガラ ゴッシャァッ
ポイ
ドォォン
「おいィィィィィ やり合えないんじゃなかったのかァァ!?おもいっクソ 殺っちゃったじゃんか!」
そしたら。
…今の『僕』は何処へ行ってしまうのかな。消えちゃうのかな。
……あぁ、でも。もう、どうでも良いや。
トシが必要としていない『僕』なら。僕だって必要ない。要らない。
どうだって良い…。
「そんな事言ったか ゴリさん」
「ダメだ 思い出せない。記憶喪失だから」
「便利な記憶喪失っだな オイ!!」
記憶喪失、か。
もう一度記憶喪失になるには、どうすれば良いのかな。
そうすれば。
忘れられるのに。
「!!」
「ククク 動くんじゃねーぞ」
自分の事も。今までの事も。全部、全部。
忘れてしまいたい。
忘れたくないけれど。忘れないと。どうにかなってしまいそうで。
僕も。僕の心も。頭さえも。
あの、楽しかった日々が。
照れくさそうにはにかむ、その横顔が。
煙草の匂いが。
温もりが。
気配が。
存在が。
求めて止まない。
心が。
探してしまう。
トシを。トシの存在を。全てを。
迷惑だと解っていても。
こんなにも。僕の全部が、トシに向かってしまう。
自分の意思で。それらを忘れてるなんて無理だから。
僕は願う。
もう一度記憶喪失になって。
全部全部、忘れる。
この切ない想いや。この、引き千切られるような、胸の痛み。逢いたくて、焦がれてしまいそうな心を。
全部全部葬ってくれと。
…記憶喪失の僕が。もう一度記憶喪失になりたいなんて。
可笑しな話だよね。
「…腐った世の中ひっくり返してやらァ」
そんな事思ってるくせに。
僕は考える。
…こんな騒ぎになれば。
警察が動く。
テロなら。
きっと。動くはず。
…………………………『真選組』
「こいつ等、縛りあげろォォォ!!」
逢いたいよ。………………………………………………トシ。
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2009/07/07UP