「…くそ、何で俺がこんな目に…」
静まり返った部屋で独りブツブツと呟く。
勿論返事なんざ返って…。
「そりゃぁ日頃の行いってもんでさぁ、土方さん」
「?!総悟」
言った独り言、返って来た返事。
俺が驚いて振り向くと、いつもと変わらぬ表情をした総悟が立っていた。
「…何してやがる、テメー。とっとと巡回に……」
俺がそう言おうとすると、総悟はスっと俺の傍まで歩み寄って来て。
「で、どうなんでぃ、無能。万事屋の旦那は見つかったんですかぃ?」
「…おい、テメー。言うに事欠いてテメーの上司、無能呼ばわりするか」
「だって無能じゃないですかぃ。あれから何日経ったと思ってるんです?」
「……しょうがねェだろうが。近藤さんが行方不明で、局長不在で副長まで不在にする訳にはいかねェだろうが」
盛大に溜息を零してしまう。
…そう。
銀時が居なくなった、同じ頃に近藤さんまでも姿を消した。
勿論今、巡回の他に人数回して探してるが、これがまた目撃情報も何もあったもんじゃねー。
そのお陰で俺ぁ、有給使って銀時を探す事も出来ず。
こうやって机に張り付かなきゃいけない事態に陥っている。
「これでも何とか時間作って探してる」
「…へ〜。でも見つからないんですね?やっぱ無能じゃないですかぃ」
「…………………………」
くそ。
あの事の手前もあり、何も反論出来ねェ自分が情けない。
もしかしたら銀時は、隣の街に行ってるのかも知れねェな。
誰も自分を知らない街に行って、1からやり直したいと言ってたから。
…脳裏を掠めるのは、最後にあった奴の泣き顔ばかり。
幸せにしたいと思ったのに。
幸せになって欲しいと願ったのに。
抱き締める腕も、紡ぎたい言葉も、伝えたい想いも見つかったのに。
銀時が居ない。
銀時だけが居ない。
近藤さんさえ居てくれれば、俺がこうしてる事もねェのに…。
「…おい、山崎は?」
「山崎ならマムシんトコに潜入捜査に行ってますぜ」
「…あぁ、そうか。そうだったな」
くそ、頼みの綱の山崎まで捜査で出てんのか…。
「…一旦山崎戻せねェか?動きがないんなら、近藤さん捜索に奴を入れろ。その方が見つかるだろう」
「はいよ」
とにかく近藤さんだ。
近藤さん見つけて、少し銀時探しに専念しよう。
「えぇっと、山崎山崎…っと。……あぁ、そう言やぁ近藤さんと万事屋の旦那居なくなったのって同じ頃ですねぃ」
「……そうだな」
ふと思いついたように呟かれた言葉に俺は顔を上げる。
何を言い出すんだ、コイツは…。
「…もしかして」
「な、何だよ…」
「近藤さん、旦那と駆け落ちしたんじゃないですかね」
「は、はぁぁぁ?」
な、何を言い出すんだ、コイツは!
んな事ある訳ねェだろう!!
俺の思った事が解ったのだろう。
総悟はそれでも、考え込むような仕草をして。
「だって…近藤さんこっそり居なくなったじゃないですか」
「そ、それはアレだろ。キャバ嬢んトコ行ったからで…」
「それですよ」
「あ…?」
「もしかしたらそのキャバ嬢んトコで万事屋の旦那に会って、旦那が記憶喪失なのを知った」
「でもその後俺が保護した。俺と一緒にずっと居たんだぞ…」
「えぇ、その時はそのまま別れて。その後に会ったんじゃないですかぃ?土方さんトコ飛び出した後に…」
「ま、まさか…」
「それで事情知って。近藤さんは旦那連れて何処かに…」
「……………………………………………………」
言われた言葉に頭が真っ白になった。
そう言えば近藤さん、前に言ってなかったっけか?
「女子より男にモテそうな男」だって。
「…嫌々。ない。それはない。有り得ないなんて事は有り得ないんだから。…ぁれ?この煙草湿気てやがる。火が点かねェ」
「土方さん土方さん。煙草。煙草、逆ですぜぃ。フィルターに火ぃ点けてどうしようってんでさぁ」
「……………………………………………」
「……………………………………………」
「……………………………………………」
「……………………………………………」
「……………………………………………」
「……………………………………………プっ!!!」
「……………………………………………プっ?」
「あはははははははは!!ま、マジに取ってやんの!!ばっかでーぃ!!!!」
「て、テメっ、総悟!!謀ったな!!!」
「あはははははははははははははは!!近藤さんがあのキャバ嬢にマジな事は周知の事実じゃないですかぃ!!あははははははは、馬鹿だ!馬鹿だ、コイツ!!!」
「〜〜〜〜っっ!!!!」
腹を抱えて笑う総悟に俺は思わず刀を手にした。
…あぁ、斬りたい。今すぐにでも斬って殺しちゃって良いよな?なぁ??
「あははははは…は、腹痛ェ……」
「テメェ…総悟…今すぐ腹斬れ。俺が介錯してやらぁ…」
「お、怒んないで下せぇよ、土方さん。ちょっとした茶目っ気でさぁ」
「全然ちょっとじゃねェんだよ!!」
「アンタが旦那に本気だってのはよく解りやしたから。…街、巡回してる隊員にも言ってまさぁ。万事屋の旦那の目撃証言も探せって」
「……チっ」
「山崎に近藤さん探させて。それが終わり次第、万事屋の旦那の捜索もさせましょや。…んじゃ、電話しやすぜ」
「……あぁ」
コイツはコイツなりに心配してくれてるのかも知れない。
不器用なりに気持ちをリラックスさせようとしたのかも。
…俺もまだまだだな。
「あぁ、原田?聞いてくれぃ。さっき土方の野郎が〜…」
……本当、まだまだだ!
コイツの性格すっかり忘れてたぜ!!
サディスティック星の王子だったなぁ!!!
「テんメ、総悟!山崎に電話しろつったろうが
!!!」
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2008/01/18UP