「………………………………」
「…疲れちょるのか?」
「ぇ?!ぁ、ぃや、んな事、ねェ…よ…」
「…ほがか。浮かぇい顔をしちょるから。遅くなって悪かったな」
「ぇ、ぁ…うぅん…こっちこそ…わざわざ、その…悪かった、な」
「何て事ないがで。とゆうか、我慢出来のぁなったらわしを呼べば良いがに」
「…ぅん、でも…」
「…それじゃぁ」
「………………………………」



静かな部屋。
小さな明かりだけが灯る部屋で。
布団が1組だけ。



「ぁ、っと…」
「別に遠慮する事はないろう。…おいで」
「…ごめん、辰馬」
「良いから。…ほら、早く」
「…うん」



布団の前で立ち尽くす銀時を、辰馬が手招きする。
それに導かれるように。
銀時は一歩一歩、歩いて行く。



「…ぁ、の…」
「ん?何じゃ」
「その…ぉれ、…ぇっと…」
「………………………………」
「ご、めん…俺、俺…」
「…なんちゃーじゃ言わのうてしょうえいよ。解っちょるから」
「…聞いた、のか?」
「…シっ。はや黙っちょき。こがな時に口開くのは無粋ちや」
「…ぅん」
「目、閉じて」
「……ぅん」
「身体の力、抜いて…そう」
「…たつ、ま…」
「…ココにおるから。なんちゃーがやないやき」
「ぅん…うん…」


















































カンカン。
静かな街に微かに響く、足音。
土方は眼下の階段をゆっくりとした足取りで歩いた。
ふと。
気配のようなものを感じて、顔を上げると。



「!…テメェは」
「せんばん遅い到着やき。待ちくたびれてしまっちゅう」
「何で…何でテメェがココに居る!テメェは……!!」
「駄目ぜよ。事情聴取とは言え、捕まえた相手の持ち物検査せんのは」
「!!…どう言う事だ?」
「…腐った世の中じゃぁ。払うモン払ったら、身柄開放らぁて」
「!…テメェ…」
「アイツに用じゃったら、出直してくれ。…疲れて寝ちょる」
「!テメェ…そりゃどう言う」
「意味、解らん程子供じゃなかろう?」
「っ!」



丁度階下に居る土方。
視線的にも、立場的にも。
まるで土方を見下すような言動をする辰馬に、土方は怒りを募らせた。



「寝てんなら叩き起こすまでだ。…そこを退け。死にたくなかったら」
「嫌じゃぁ、言うたら?」
「叩き斬るだけだぁぁぁっっっ!!!」



腰に差していた刀を手にする。
しかし。



「…そりゃさせん。起こすな」
「!!」



がちゃん、と土方に突き付けたモノ。
それは先程も土方の斬撃をかわした、銃。



「おんしこそ、退け。この距離、この体勢じゃったらどっちが優位か…解るろう?」
「……………………………」
「わしん言葉が聞こえなかったがかぇ?…はよぅココを去れ」
「…ケっ。撃ちたきゃ撃てよ」
「…何じゃ。銀時にフラれたんで、捨て鉢になっちゅうか?」
「生憎。俺ぁ、んな物分り良く出来てなくてな。アイツの口から聞くまで、んな話信じられっかよ」
「…………………………」
「寝てんなら叩き起こして聞くまでだ。退け。それ阻止してェんなら撃ち殺せ」



カンカンと再び階段を登り始める土方に。辰馬は。

ドン

「!」
「…帰れ。次は外さんぜよ」
「威嚇で無駄な発砲してんじゃねェよ。…何度も同じ事言わすんじゃねェよ。俺ぁ帰んねェ。止めたきゃ殺せ。そんだけだ」
「…やっぱり、おんしは駄目じゃな」
「あぁ?どう言う意味だ?」



登ろうとしていた一段先の階段に発砲した。
そして紡ぎ出された言葉に、土方は首を傾げる。



「『大義を失うな』そりゃわしの信念じゃが、…それだけじゃ駄目なんじゃ。アイツは救えん」
「…?何言ってやがる…?」
「否…誰にもアイツは救えんかも知れん。…わしもおんしと同じじゃ」
「おい!訳の解んねェ事言って……!!」



ポツポツと辰馬から紡ぎ出された言葉。
それに土方が問い掛けた。
しかし。
それに答えないまま。
辰馬は銃を土方に向けたまま、ようやく、土方を見つめ。
…小さく、そして真剣な眼差しで。



「…アイツは
    銀時はわしがそらに連れて行く」






2007/04/23UP