「な、に…?」
「やきさいさい言わさんでとおせ。おんしの方が金時にとって浮気がやないがかと言うちゅうんじゃ」



冷静な口調で告げられ。
怒鳴るより何より。
土方は腰に挿していた刀を手にした。
そして…。


ガキン!!



「…っ、テんメっ…!」
「…物騒じゃなぁ。いきなり抜刀したら危ないぜよ?」
「っ、テメェがふざけた事抜かすからだろうが」



手にした刀を振り下ろして。
それが辰馬に当たる瞬間。
辰馬は懐に忍ばせていた銃を取り出し、その銃の銃身で刀を防ぐ。
ガキンと金属が響き、2人は刀と銃の間で睨み合う。
しかし、チっと土方は舌打ちをして、刀を鞘に納めた。



「…銃刀法違反も追加だな」
「ちょっ…待っとおせ!今のは正当防衛がやないがか?」
「正当防衛でも。銃を携帯する事は民間人には許可されてねェ」
「ひどか〜…」



がっくりと項垂れる辰馬に。
土方は。



「簡単にここ出れると思うんじゃねェぞ」
「……ふん?わしを閉じ込めてどうするつもりじゃ?金時、聞き出すつもりなが?」
「…っ、聞く出す必要もねェ!恋人だったら、恋人の名前間違える訳がねェだろうが!!」



バタ!!ンとそのまま取調室から土方は出て行った。
それを眺めながら、辰馬は頬杖をついて。



「…さぁて、どうやるがね」



ゴトリと銃をテーブルに置いて。
頬杖をついて、土方が出て行ったドアに目を向ける。
ふぅ、と小さく溜息を吐いて。
懐に手を伸ばす。



「…ぁ、もしもし?わしじゃ。辰馬じゃ。ちっくとばあ、おんしに頼み事があるんやけどなぁ?」



携帯を取り出し、架け始める。
外には聞こえないように小声で幾つか言葉を交え、電話を切る。
パタンと携帯を閉じて、それを懐にしまう。
そして、また部屋のドアに視線を向けて。



「…げにまっこと甘い奴じゃな。取調べしなら持ち物検査は必然ぜよ?…ましてや」



口元に笑みを浮かべ。
ガタリと席を立つ。



「銃刀法違反じゃぁ言うて、銃目の当たりにしたら、尚更…」



ガチャとノブに手を伸ばしたが、辰馬の予想通り、それには錠が掛かっていて。
辰馬はやれやれと肩を竦めて。



「あっはっは〜、誰かおらんか〜?」



ガンガンとドアを叩いた。
辰馬は。
あまりにもその場に不釣合いな声を出して。
…笑っていた。


















































「…んぁ…?」



意識が浮上した。
寝ていた、とガバリと身体を起き上がらせる。



「!」



時間を見ようとしたが、微かに聞こえた階段を登る足音に玄関へ走った。



「ひじかっ……!!」



靴を履くのももどかしくて。
銀時は裸足のまま玄関を飛び出る。
そして…恐らく訪れただろう人物の名を叫んだ。
…しかし。



「ざ〜んねん。外れぜよ」
「…たつ、ま…」



予想とは違った人物に、銀時は驚きを見せる。
それに気づいてか、辰馬は苦笑を漏らしつつ、万事屋の階段を静かに登る。



「…随分、遅かったんだな」
「ん〜?まぁ、な」
「も、もっと早いのかと…思ってた」
「そうじゃな」
「………………………………………………」



ポツポツと言葉を交わす。
銀時は懸命に言葉を探しているようにも見えた。
辰馬はカンカン、とゆっくりと階段を上がって。



「積もる話もあるろう。…家に入ってもしょうえいなが?」
「…ぅ、ん…」



銀時と肩を並べると、そう言った。
銀時はそのまま、俯いたまま、小さく頷いた。
…街はまだ、暗闇に包まれたまま。






2007/04/15UP