「…座れ」


小さな窓が1つある、個室。
それは独房と言った方が良さそうな場所。
案内された部屋に辰馬は目を見開く。


「何じゃ。せんばん狭い部屋じゃな」
「うっせェ。…さっさと座りやがれ」
「はぃはぃ、っと」


ガタリとパイプ椅子を引き寄せ、辰馬は座る。


「…………………………」
「何だか事情聴取ちゅうより、取調べみたいやか」
「…あぁ、そうだ」
「…へ?」


辰馬がそう言うのと同時に。

ダン!

「ぅお?!な、何じゃ?きゅ、急に机叩きなとおせ。ビックリするぜよ」


ダンと握り拳を机に叩きつけ、土方が辰馬を睨み付ける。


「…地球には何しに来た?」
「だからさっき言うちょったろうが。急ぎの用があって……」
「その用事が何だって聞いてんだよ!!」


再びダン!と机を叩いて土方が叫ぶ。
それにスっと辰馬が目を細めて。


「何じゃ。ほがなプライベートな事まで聞くんなが?」
「…言え」
「そうじゃな〜。……恋人ん会いに来たちゅうたら」


ガタン!!!


「副長?!」
「うるせェ!今取り調べ中だ!!…絶対ェ部屋入って来んなよ」


立ち上がり、土方は向かいに座っている辰馬の胸倉を掴む。
土方が立ち上がった事により、倒れたパイプ椅子が盛大な音を立て。
その物音に外に居た隊士が声を掛けるが、土方はそれを一喝する。
辰馬はそのまま胸倉を掴まれたまま、特に抗議を上げるでもなく。


「…何じゃ。地球の警察は随分乱暴じゃな」
「…ふざけんのも大概にしろよ、テメェ」
「わしゃふざけとらんぜよ。到って真面目じゃ」
「恋人だぁ…?テメェ、それ誰の事……」
「おんしもさっき見たがやないがか?あれじゃ、さっき道で会った銀…」
「…っ、ふ、ざけんな…っっ!」


掴んでいた胸倉を放し、土方は辰馬を突き飛ばす。
ガタンと辰馬が椅子から落ち、また盛大な音が室内に響く。


「あれは俺のだ!俺の…っ、恋人だ…!!!」
「ぁたたた…乱暴じゃなぁ」


激怒する土方。
それとは全く正反対に、辰馬は落ち着いた物腰で。
パンパンとズボンを払って、ひっくり返った椅子をガタガタと元に戻す。
そしてまた、椅子に腰掛ける、土方を見据える。


「…何じゃ。事情聴取は事情聴取でも、自分の恋人の浮気疑う事情聴取なが?」


見据えた後。


「じゃぁ、安心しとおせ」
「…は?」

辰馬はニッコリと微笑んで。


「浮気がやない」


そして…ゆっくりと紡いだ。


「浮気は。…おんしの方ぜよ」


















































そわそわと家の前で待っている。
銀時は辺りを見渡しては、急いで家に続く階段を駆け上り、靴を脱ぎ、受話器を手にする。
そしてダイアルに指を掛けては、受話器を置く。
そしてまた、急いで階段を下り、辺りを見渡す。
先ほどからそれを何度も繰り返していた。


「何だい、銀時。忙しないねぇ…」
「…ぅ、ばばぁ…」
「待ち人かい?」
「だっ、誰が待ってるかい、あんな奴!!」


そんな銀時を始終見ていたお登瀬が銀時に声を掛けるが、銀時はそう叫んで家に入る。
しかしまた、暫くすると家から下りて来て、また挙動不審を繰り返す。


「オ登瀬サン、アノ馬鹿ハ何シテルンデスカ?」
「…さぁね。放っとけば、その内飽きるんじゃないかい?」
「トウトウ脳ミソ腐ッタカ?」


キャサリンも出て来て、銀時の挙動不審を眺める。
しかし銀時は2人の交わされる言葉すら耳に入っていなかった。

(…っ、くっそ〜…)

そして。
すでに夕闇が迫っている、緋色の空を眺めて。

(…こんな事なら…)

祈るように思う。

(…ちゃんと説明すれば良かった。話ときゃ良かった)

後の祭りだと解っている。
解っているが。


「…っ、くしょ、誰か、…誰か嘘だつってくれよ…!!」


願ってみても。
祈ってみても。
事態は変わらない。変わる訳がない。
刻一刻と時が過ぎていく中。
ただ、結果を待つ事しか出来ない。
そんな我が身が恨めしかった。

(頼むっ!…頼むから、余計な事だけは言ってくれるなよ……………辰馬っ!!)

この祈りが続けば良いと。
…ただ、願うだけ。






2007/03/15UP