それからは、もう大変の一言に尽きた。
ギャァギャァと騒ぐ、坂本、桂、高杉を怒鳴りつけ、止めに入るが。
どうやら俺の声は耳に入っていないらしく。
俺が必死にこの騒ぎを治めようとしているのに対し、その元凶とも言える坂田は。


「ねぇねぇ、先生は今恋人とか居るの?」


ニコニコと笑って。
サラリとますます火に油を注ぐような事を、俺に言いやがる。
勿論、その言葉に過剰とも言える反応を3人はして。


「銀時、何言うちょるんじゃ!」
「そうだ!こいつ先公だぞ?!おっさんだぞ?」
「気をしっかり保つんだ!!」
「ちょっ、待てや!誰がおっさんだ!俺はまだ20代だぞ?!…ってそうじゃなくて!部活終わりにするから、静かにしろって!!」
「やっかましいわ!それ所じゃないき!」
「それ所って、坂本。お前な…」
「そうだ、うっせェぞ!つうか、銀に告られたからって調子乗ってんじゃねェ!」
「テんメっ…、高杉っ!」
「子供のほんの遊び心だ!からかわれている事が解らんのか、愚か者め!」
「桂ぁぁぁっ!それが先生に向けて言う言葉かぁっ!!」
「辰馬も高杉もヅラもうっさいよ。つうか、遊びとかじゃねーから!本気と書いてマジと読むから!!」
「ちょっ、おま、ややこしくなるから黙っとけ!お前、坂田だろ?!」
「ぁれ?先生、俺の事知ってるの?…あ、それもそっか。あ!俺の事は『坂田』じゃなくて、『銀時』って呼んでよ」
「否、だからっ…!」


その言葉に坂本・高杉・桂がますますヒートアップ。
…ちょっ、もう本当勘弁してくれ。


「お前等……」
「銀時、一時の迷いに身を任せるのは愚か者ぜよ!」
「お前を本当に幸せに出来るのは俺だけだって、なぁ、銀!」
「黙らんか、高杉!…銀時、お前の事を本当に解ってやれるのは俺だぞ!」
「…………聞けよ、俺の話」
「銀時!」
「銀!」
「銀時!!」


頭を抱える俺の耳に、あぁ、無情にもチャイムが鳴る。
帰ってくれ、…本当に。頼むから。





「…はぁ、疲れた…」


とっぷりと辺りが真っ暗になって。
俺はようやく校舎から出た。
最終的には守衛の人に騒いでるトコ、見つかって。
放課後まで部員を帰さなかった俺は、今までその守衛に説教を喰らってた。
残っていた生徒は全員着替えさせ、早々に家に帰らせて。
はぁ…疲れた。
ほんっっっとに疲れた…。


「…これ、暫く続くのか?」


そう言えば、坂田も3-Zのクラスだったよな…。
今まで来なかったけど…。
明日、ちゃんと来るか解んねーけど。
まさかこのまま登校拒否のままって訳にもいかねーから。
明日も来ないようなら、家庭訪問でもして来させねーとマズいしなぁ。


「嫌がらせにしても、大概にしとけよなぁ…」


思わず頭を抱えそうになりながら、校門を通ろうとした所で。


「ひっじかたせんせぃ〜♪」
「……………………………」


聞こえる陽気な声。
…あぁ。
暗闇でも光る、あの銀髪…。


「…坂田」






2006/11/14UP
2011/04/23修正