「…っ、くそっ!重てェんだよっ!!!」



玄関で気を失うように眠ってしまった金時を、土方は引き摺りながらも何とか自分の寝室へと運んだ。
ドサリとベットに放り投げられるようにしても、金時は一向に目覚める気配がない。



「何だってんだよ…」



よく見てみると、所々に傷を付け、血を出している。



「…確か『匿ってくれ』とか言ってたよな?」



喧嘩か?
それにしては『匿う』と言うのは何だかおかしい気がする。
数人に襲われた?
だが何故?
一体『何者』から金時を『匿う』のだろうか…?



「…とにかく、傷の手当すっか」



このままにしていれば、自身のベットのシーツにまで血が付きかねない。
土方はベットから離れると、救急箱を取りに行く。
救急箱と、暖めたタオルで金時の手当てをする。
こめかみに、殴られた時に出来たのか、青痣と真ん中に指輪でも当たったのか、傷。
頬にも。



「ったく。どんな無茶なイチャモンの付け方されたんだ、こいつは…」



手当てをしながら、溜め息が出る。
何をしたんだ、こいつは。
そして…。



「…何をしてんだ、俺は」



甲斐甲斐しくも、家にあげて(本当は上がられた)ベットに運んで、傷の手当までして。
自分はこんなに面倒見の良い奴だっただろうか?
そう考えた時だった。



『〜♪〜♪』



携帯から流れる音楽。
事件だろうか?
そんなの事思いながら、土方は携帯を取り上げる。



「もしもし?…え?…あ、あぁ。家…に居るが…。…あぁ、あぁ。…解った、すぐ向かう」



電話の用件はやはり出動命令だった。
だが、内容は土方が予想し得ないもの。
人が倒れている、と。
それも土方の自宅の近くで。
中国系の男性が3名、酷い暴行の跡が確認されている。



「…………暴行」



ポツリと呟いて、振り返る。


(偶然、だよな…?)


そこにはスヤスヤと眠る金時の姿。
追われている、と言っていた。
だが、誰に?
喧嘩?
それにしては何故だかそれが釈然としない。



「……………………」



思考をどんなに巡らせても。
答えなんか出ない。
出る訳がない。



「……行く、か」



パチンと携帯を閉じて、土方は玄関へと向かう。
一瞬、金時をどうしようか考えたが。
…何となく。
起こす気にはならなかった。
なれなかった。
ココに独り置いて行く事に戸惑いを感じたが、それもすぐに一蹴した。
…盗られて困るモノもない。
そして金時は土方が刑事である事も知っている。
起きたら勝手に出て行くだろう。
土方はそう勝手に判断して。
1枚の走り書きと、鍵を置いて家を後にしたのだった。
…現場は。
自身の家と、目と鼻の先。






2006/04/15UP