「な…だ、こりゃ…」



見つけて開いたページに愕然とする。
これってどう言う意味だよ?
銀八は何が言いてェんだよ?



「く、そ…っ!」



さっぱり解んねェ。
この歌の意味も、銀八の真意も。

歌の意味は。
『この短い春の夜のほんの夢のような戯れにあなたの手枕を借りたために、つまらない浮き名が立ってしまっては口惜しいのです』



「大体手枕ってのは何々だよ…!」



手にしていた本を乱暴に元の場所に押し込み、俺は今度は辞典を探した。



「あった、辞書…!」



分厚い辞典を棚から引っ込抜く。


(て、て…)



「…あった!」



手枕(てまくら)…腕を曲げて枕の代わりにすること。



「腕、枕…?」



あなたのって事は…俺の、って事だよな?
でも待てよ。
俺は腕枕なんかした覚えはない。
じゃぁ誰?



『言葉の裏の裏の裏は表?裏?』



「言葉の…裏?」



否、裏の裏、だっけか?



「あ〜っ!ちっくしょう!!」



結局裏なのかよ?表なのかよ?!どっちなんだ!!
俺は頭をぐしゃぐしゃと掻き毟る。
知りたい。
銀八がこの問題を俺に出した真意を。
そして。
…ご褒美が。



「…欲しい…」



ポツリと呟いたら。
何だか妙に頭が冷えて来た。
そうだ。
どんな問題でも、冷静さを失くしたら、きちんと解けない。
その問題を解きたいなら。
クールに。的確に。
問題を捉えなくては駄目だ。



「まずは…」



歌われた、この百人一首の言葉を判断してみよう。



「短い、春…夜…」



懸命に考える。
何かあるんだ。
この歌を選んだ。
理由が。



「…春……ぁ……」



その時急に閃いた。
そうだ。



「…俺の…」



そうだ。
そうすると、『手枕』と辻褄が合う。
言葉の裏。
俺は辞書を元の場所に戻すと、立ち上がってまた走り出す。
今度は…。
今度こそは…。



「…ち、っくしょ!」






2006/04/11UP