「他の科目の成績はいーのになぁ…もしかしてお前俺への嫌がらせ?嫌がらせですか?このヤロー」
この間やった小テスト。
今日はそれが返却された。
自慢じゃないが、俺は学年ベスト3には入る学力の持ち主だ。
…国語を抜けば。
「何でテメーに嫌がらせする為に学年順位落としてまで悪い点数取らなきゃなんねェんだよ」
理数系の俺は、文系が大の苦手で。
英語は良いんだよ、まだ。規則性があるから覚えちまえば良い。問題は古文とかだよ。
あの規則性も何もない、意味不明なもんが、理解出来る奴の頭が知れねェ。
「国語の何が解んないの?多串君」
「多串じゃねェ、土方だ。……ってか全部。規則性ねェし、意味解んねェ」
きっぱりと言い放った俺に銀八ははぁ〜と深く溜め息吐いて。
「規則性って…お前も人の心の解らん奴だな。んなもんハートで解れ、ハートで」
「意味解んねェ。てか、せんせーよ。昔の言葉の意味解ったってしょーがねェだろ?」
「んじゃ、古文はしょうがないとしても。お前現代文でこりゃねェだろ?」
ピっと指差された解答欄。
「『文章内に出て来る“それ”が表す意味を答えなさい』お前の回答何だ?『作者に聞け』…問題の意味皆無か?問題シカトか?!」
「う゛…だ、だって、んなもん、読者に求めんのが間違いだろーが。作者に聞け、作者に」
「だからって正直に解答欄に書く馬鹿何処に居んだよ。あ〜もっ、しょ〜がねェな」
銀八はぐしゃぐしゃと頭を掻いて。
「今回の小テスト、赤点お前だけなの。従って追試、受けてもらうからな」
「はぁ?んなの聞いてねェよ!!」
「今回の問題は飛び切り簡単なのばっかなんだよ!クラス平均聞いてたか?30点以下多串君だけなの。まっ、留学生の神楽を抜いて、だけど」
「マ、マジで…?」
「マジで。でも追試に新しいテスト作んのもメンドちぃから。…お前、しばらく俺の資料室に来い」
「…は?」
「は?じゃない。俺様が直々に教えてやるつってんですよ、このヤロー。少しは文系好きになりやがれ」
「マジでか…」
「冗談で、んな事言うか。それに。お前が悪い点数取るたんびに、俺が学年主任のババアにいびられんだぞ?少しは俺の苦労も労え」
「!そ、なのか…?」
「…まっ、それは冗談だけどよ。何にせよ、折角他の教科で良いとこまで成績いってんだ。もーちょい国語頑張ってトップ狙おうや。な、多串君?」
「…だから土方だつってんだろ」
パコンと出席名簿で俺の頭を軽く叩いて。
「んじゃ、明日っから待ってるからな。サボんじゃねーぞ?」
ヒラリと白衣を翻して。
ガラリと出て行った教室。
「…嘘だろ、おい」
咄嗟に口元を隠す。
ヤバイ。
ニヤけが止まらない。
多分顔も赤いと思う。
「…どーしよ…」
思い掛けない放課後の逢瀬。
追試と言う名の補習だけど。
…あいつと2人っきりなのは変わりない。
「……苦手で良かった、かも……」
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2006/04/04UP