良かった。

アンタを好きになれて良かった。

アンタに好きになってもらえて良かった。

だから。

この想い、捨てたくなんかない。






〜タイムリミットまで後、3時間〜




































「――――――――卍解」

































ゴォォォォッッッッ!!!!!

































「くっ…!」

「…ち、っくしょ…!!」









































「遊戯の時間は終わりっスよ」













































あがった土煙が晴れ出そうとした。

その時だった。














































どーんっっ!!!!!












































「!!!!!!!!!!!!!!」

「こ、今度は何だよ…!!!」

「………………………」
















































「居た――――――――――っ!店長―――――――――!!!」













































「…ジン太?」

「あ?」

「何だぁ??」



「店に居ねェから探しまわっちまったぜ!…例のモノ!手に入ったぜ!早く店に!!」



「…………ジン太。それホント?」

「………んな冗談かますかよ!本当!だから早く!!時間ねェんだろ?!」

「……………………」



突如現れた、浦原商店の従業員ジン太。

こちらの空気が読めていないのか。

何やら浦原にそう告げると、早く早くと急かしていた。

しばらくそれを見つめながら、浦原が動きを止めていて…。

それから…。



「………黒崎さん」

「な、何だよ…」



クルリと一護に視線を向けると。






































ごめんなさい、殺すのナシ。訂正。やっぱ生きて下さい


































「……………………」


































「はぁぁぁぁぁ??!!」




































先程の緊迫した雰囲気も何処に行ったのかきっぱりとそう告げ、パチンと剣を杖へと戻す。

あまりに突然の手の返し様に一護が大声を発するが、それも無視して。



「事情はアタシの店向かう途中で話ますから。さ、さ、早く早く!」



てきぱきと指示を出し、外に出ようとする。



「ちょっ…待てよ、おい!!」



そんな浦原に呆気に取られながらも、一護はようやく声を発すると。



「用件は後々。時間がないって言ったでしょ?」

「……………だからその事情を言えっての」

「アタシの店に向かいながら話しますってば。ほら、早く。ほら、阿散井さんも」

「………………だから何々だってんだよ」



それでも促されるまま、外へと出る。



「行きますよ」



外に出ると、トンっと足早に浦原が駆け抜ける。



「ちょっ…!」

「……ぉいおい……」



あまりに早く駆け抜けるので、一護達も慌てて浦原に続く。



「だから…何だってんだよ!もう良いだろう?!!早く話してくれよっ!!」

「あぁ、事情ですね。実はですね…」






























































「何だよ、それっ……!」



一通り事情を聞いた一護の眉間にいつもの倍異常の皺が寄る。



「俺は一言も聞いてねェぞ!」

「…コン君に口止めされてましたからね」

「だからって…!アンタ普段あんなに口軽いのに」

「酷い言われようですね〜アタシは口止めされた事は公言しませんよ」

「でも時と場合を…!!」

「それが彼の望みでもあった。…けどアタシも耐えられなかった」

「………………………」

「例え彼の望みでも。アタシは彼に生きて欲しかったんです。生きて欲しいんです」

「………………………」

「だからアナタを殺そうとしたんですよ」

「………何で?」

「え?」

「それと俺を殺すのの、どう言う関係があるってんだよ?!」

「………彼に。コン君に、アナタの身体で生きて欲しいと思ったからですよ」

「なっ…!」

「おいっ!何だよ、そりゃ?!!」

「義魂丸が傷ついて。もしそれを治したとしても彼は何も覚えてない」

「そりゃ…」

「だから自分の出生とか、そう言うのも解らない。それに下手に取り出したりしてヒビが拡がる可能性もありましたから」

「じゃぁ、これから…」

「でもテッサイ達が手に入れてくれた」

「へ?」

「そう言えば、さっき『例のモノ』とか…」

「えぇ。探してたんですよ。尸魂界で封印された機械を使って魂を取り出す奴」

「は?」

「…つまり、霊気で義魂丸を護りながら、アナタの身体からコン君を取り出す。そして新しい義骸にコン君を入れるんです」

「それが出来れば…それが出来ればコンは生きられるのか?!」

「…はい。記憶は失っていますが」

「……………………」

「…一護…」



「なぁ…」



話をしていた浦原と一護に割って入ったのはジン太だった。

ずっと黙って付いて来たのに、ここに来て初めて口を開いたのだ。



「どうしたの?ジン太」

「…………話、聞いてたんだけど」

「はい」

「………俺、ここに来る前。店、寄って…その、コン…ってのと話したんだ」

「…起きちゃったんですか?コン君」

「…あぁ。……ずっと、店長探してた」

「…あ〜ぁ、また怒られちゃうなぁ」

「俺、話したんだ。『記憶なくしたって生きれるんなら生きろよ』って」

「……………………」

「…それで?コン君、何ですって?」

































『確かに生きれるかも知れねェ』













































『けど、俺。忘れたくねェんだ』








































『俺が生きた歴史。…今までの事。それこそ、生まれるまでの経緯とか…殺されるかも知れなかった経緯とかも』
















































『それに……』







































『ルキア姐さんの事』


































『一護の事』

































『浦原さんの事』


































『俺、皆の事』










































『大好き』




















































『だから。記憶失うくらいだったら、死んだ方が良い』




















































「アイツ…そう言って笑うんだぜ?!」

「…っっ!!!」

「…俺、ヤだぜ?!あんな…あんな良い奴が何で死ななきゃいけねェんだよ!!そんなの…そんなの…!!」



「………ったりめェだ。死なせて堪るか」



「一護っ!!」

「…あ〜ぁ、熱くなっちゃいましたか」

「…ったく。そのコンってのも、まぁ、随分可愛がられてるんだな」

「だって可愛いですから

「あ〜はいはい。…チっ、その愛情少しは俺に向けろっての」

「え?アタシですか?」

「ちがーうっ!!一護だっての!!!!」



響き渡る恋次の声。

浦原がフっと見上げた空にはぽっかりと蒼い月が浮かんでいた。

それはまるで。

自分達に浮かんだ心の穴のようだった。












コンの魂魄が壊れるまで。

〜タイムリミット、1時間〜