「さよなら、黒崎さん」
「ちょっ…待っ……!」
〜タイムリミットまで5時間〜
どんっっ!!!!!
ただ笑ってて欲しい。
最初に望んだのは些細な事から。
それだけなのに。
「…逃げないで下さいよ、黒崎さん」
ただアナタが幸せならそれだけで良いと思ってた。
苦しんだ…充分苦しんだアナタだから。
残りの余生はただ幸せに。ただ笑っていて欲しかっただけなのに。
『良いんだ。俺、本当は破棄されるはずだったのに、死ぬはずだったのに』
あまりに短い、短過ぎる余生に。
アタシはそれを受け止める事も、撥ね退けてあげる事も。
『一護に逢えて。姐さんに逢えて』
…何もしてあげる事も出来なかった。
『…アンタに好きだって言われて。………想えて』
……そんな淋しそうに笑わないで。
アナタに、そんな笑顔は似合わないから。
アタシに。アタシに出来る事だったら何でもしてあげる。
だから――――。
『…すっげェ、幸せだった』
――――――どうか。
「おぃ、どうなってんだよ、一護!あの人、お前の知り合いじゃねェのかよ?!」
「そうだよ!!」
「じゃぁ何でいきなり斬り掛かって来るんだよ?!」
「……っ!俺が知るか!!」
「…はぁ、追いかけっこばっかしてても埒が明かないっスよ?黒崎さん。アタシはアナタを殺しに掛かってるんスから」
「どうして…?!」
「……………………」
「どうしていきなりそうなるんだよ?!何が…何があったんだよ!アンタ!!」
「…どうして?」
ひゅぅ……。
「っっ!!」
「一護っ!!!」
ドゥっっ!!!!!
「"どうして”?」
「くっ…!!」
「一護っ!!」
「アナタがアタシにそれを聞くんスか?」
「くっ、っそ…!!」
――――――――――どうか。
「一護、卍解するぞ!」
「でも、恋次…!」
「でももだってもねェよっ!向こうが殺しに掛かってんだぞ?!…それに、あの霊圧!卍解しなきゃ勝てねェよ!何者だ、あの男!!」
「…っ!」
「知ってんだろ?おい、一護!!」
「ご、護廷13番隊の元12番隊長…技術開発局創設者の初代局長…って聞いてる」
「あぁ?!何だ、そりゃぁっ!!!」
「経緯はよく解んねェっ!とにかく、とんでもねェ強さだってのは俺にだって解る!!」
「一護…」
「だって…だってアイツなんだぜ?!俺を強くしてくれたの?!その人が…何でその人が急に…!」
「……………………」
「…最後の語らいは終わりましたか?」
「くっ…!」
「…っっ!!解んねェ…」
「一護?」
「解んねェよっ!!アンタだろ?俺を強くしてくれたのも、尸魂界に行かせてくれたのも!!なのに何で?!何で急に殺すとか言うんだよっ!!」
「………ぉぃ」
「……………………」
「アンタも聞いただろ?!コイツの叫びを!何でいきなり裏切るんだよ?!何でいきなり…」
ひゅっ…。
どんっっ!!!!!
「恋次っ!!!!」
「…能書きが多いんですよ、君達」
「…っ、アンタ…!」
「アタシには時間がない。それこそ説明してる時間も惜しいくらいにね。…さぁもう終わりにしましょ」
「…っ…」
「……さようなら、黒崎さん」
「卍解!!!!!!!!!!!!!!!」
ゴォォォォッッッッ!!!!!
「狒狒王・蛇尾丸…………って、くっそ〜いってェ…ナメんなよ、ちくしょ…!」
「恋次っ…!」
「あらあら、あれで死なないなんて、アナタ相当タフですね」
「んな簡単に死んで堪るかよ…こっからは本気で行くぜ!!!!」
「――――――――良いですよ」
「待てよ、恋次!あの人は…!!」
「止めんな、一護!!殺らなきゃ殺られるだけだぜ…」
「!!!」
「…辛いなら、俺に任せとけ」
「……………………」
「行くぜ!!」
「………………てよ」
「あぁっ?!んだよ、一護!!」
「待てよ、俺だって…俺だって、自分の身くらい自分で護れるつうの」
「だって、お前…」
「卍解」
「……アンタの事情は解んねェよ。でも殺すって言われて大人しく殺されるタマでもねェんだ」
「一護…」
「………そうでしょうね。じゃなきゃアタシも戸惑わない」
「戸惑……」
「でもアタシにも護りたいモノがある。………何者にも代えられない、ね」
「え…?」
「それじゃぁ、アタシも本気で行きますよ」
――――――――――――――笑って居て下さい。
アナタを…。
「――――――卍解」
愛していますよ。
コン君。
コンの魂魄が壊れるまで。
〜タイムリミット、3時間〜
![]()