生まれ変わったら。
チープな台詞かも知れないけど。
もしそんな事が出来るのなら。
その時はアナタと……。
〜タイムリミットまで10時間〜
「すぅ…すぅすぅ…」
静かに寝息を立てるコンの傍に、浦原が静かに座っている。
真摯な瞳で、眠るコンを見る。
「さて…」
一息吐いて。
浦原が腰を上げる。
「…アナタとの約束、破っちゃいますね」
サラリと撫でる指の仕草に「んっ…」と小さく声を漏らして。
それでも。
安らかな眠りは覚めない。
「………………大好きですよ、コン君」
伏せられた瞳に触れるだけのキスを送る。
次に視線を上げた時に浦原の瞳は…。
…誰に向かっているのか。
いつだって一護を気にしていたコン。
『俺が一護の身体使ってる間。一護どーすんだ?』
浦原はそれを、ずっと愛情の現われだと思ってた。
『あんのインチキ商売人が?!…ふぅ〜ん…でも、ま。その方が一護にとって良いなら良いけどな!』
でもそれは違っていた。
『…誰それ?』
親愛の情。誰よりも信頼して、だから裏切れなくて。
『アバライレンジ?…変な名前』
苦しませたくなくて。
『修行ねぇ〜ご苦労なこった』
…そんな彼だから。
きっと自分も、心を奪われたんだと思う。
『生』に執着のない自分と。
『生』に執着した彼と。
違うからこそ。惹かれ合う。
「恋次〜今何時?」
「あぁ?知らねェよ」
「あ〜…ここって時間の経過が解んなくて困るよな。…もぅ2日くらい経ってる?」
「くらいじゃね?」
「…ふぅ〜ん。…なぁ恋次」
「何だよ」
「お前、3日もここに居て大丈夫なのか?」
「あぁ?!お前が誘ったんじゃねェかよ?!」
「あ、あ〜…まぁそうなんだけどさ。…一応お前も…何だ?副隊長、ってのなんだろ?大丈夫なのかと思ってさ」
「まぁ大丈夫なんじゃねェの?駄目なら休暇出した時点で却下されんだし」
「…ふぅ〜ん」
のんびりと。
浦原が用意した。
何処とも解らない空間。
以前一護が浦原と修行をした、浦原商店の地下と同じような空間。
そこに一護は恋次と共にいた。
新たに手に入れた力。
でもまだ、自身で操れない力。
それを御する為に、提示された3日間を過ごす事にした。
ただ1人で居るものつまらないから、浦原にそれとなく。
『恋次とか、こっち来れねェのかな。…流石に3日も1人だと、ちょっと…な』
そんな事を言った次の日には恋次が現世に来ていた。
どう言う事情なんだか解らずに居るけれど。
それでも恋次がこうやって現世に…一緒に居れる事が嬉しくて。
深く考えるのを止めた。
「…コンの奴、どーしてっかなぁ…」
「コン?」
「あ、あぁ…ちょっと色々あってな。…今俺の身体貸してんの」
「ふぅ〜ん。で?」
「や、そいつ今頃どーしてっかな、と思って」
「心配?」
「し、心配ってか…俺は……」
一護がそう声を出した。
その瞬間…。
どーんっっ!!!!!
轟音が鳴り響き、辺りが揺れる。
「な、何だ?!」
突然の事に、一護と恋次は斬魄刀を握り、辺りを警戒する。
「あーらら。結構派手にイっちゃいましたね」
「げ、ゲタ帽子…」
「な、何だ??」
ひょっこりと現れたのは浦原だった。
いつもと変わらぬ、飄々とした姿で。
「お、驚かすなよ…敵襲かと思ったぜ」
顔見知りの登場に一護が構えを解いた。
その瞬間に。
「…敵襲。まぁ、間違ってないっスね」
スっと差し出された杖。
「…え…?」
一護には覚えがあった。
以前にもある。
まるで切っ先を突き出されたような錯覚に陥る、その杖の先。
「げ、た・ぼ…し?」
「良い勘してますよ、黒崎さん
アタシはアナタを殺しに来たんスから」
「な、に、ぃって…」
「ぉ、おい、一護…どうなってんだ…」
「卍解出来るのが2人…。…こりゃアタシも本気で行かなきゃならないっスかねぇ」
「こいつ誰だよ…おぃ、おい、一護っ!!」
「…起きろ、『紅姫』」
「…っっ!!!」
「斬魄刀…?!」
「苦しめたくないですからね…抵抗しないで下さいね。黒崎さん」
コンの魂魄が壊れるまで。
〜タイムリミット、5時間〜
![]()