残された時間が僅かだと知ったら…。
…やっぱり傍に居たいと思うでしょ?
〜タイムリミットまで後2日〜
「…今、迎えに行こうと思ってたんですよ」
「…あ、っそ…」
浦原商店の前。
何だか呆れ顔のコンとは裏腹に。
笑顔を浮かべる浦原。
それでも、浦原が少し動いてコンが通れる道を作れば、それを通らざるを得ない。
コンは傍らに開かれた道を進んだ。
「今テッサイ達が居なく…」
「帰る」
「わーわーっ!ちょ、ちょっ…、待って下さいよーコン君」
「………………」
浦原の横を通り過ぎる瞬間に、家には今、浦原以外の者が居ない事を告げられ、コンは踵を返そうとする。
そんなコンを引き止めようと、浦原が服を掴んで叫ぶ。
そんな浦原にコンは疑いの眼を向ける。
「お茶くらいなら、アタシにだって淹れられますよー」
「……………………」
渋々と上がり込むと、被っていた帽子を取って、浦原もそれに続く。
「行き違いにならなくて良かったっスよー。あ、お茶で良いっスか?」
「…………ん」
差し出された湯気のたつお茶にコンは視線を注いだ。
「熱いっスからね。気をつけて下さい」
「……………ん」
浦原の言葉にコクリと頷き、そのままコンは顔を上げなかった。
「…コン君…?」
「…さっき」
「え?」
「さっき。…迎えにって言ったろ?」
「えぇ。言いましたよ」
「……俺に、何か、用?」
「……………………」
俯かれたまま、コンの表情は見えない。
それでも、浦原はコンの気持ちが読み取れて。
小さく息を吐き出すと、持っていた茶碗をテーブルに置き、また小さく溜息を吐いた。
「…解ってるでしょ?アタシは反対ですよ」
静かに告げられた言葉に、コンは俯いていた顔を勢いよくあげた。
「わっ?!ど、どうしたんですか…?!」
「アンタ、勝手だっ!!!」
「はぃ??」
そして突如告げられた言葉に驚く。
「アンタは俺を破棄しようとした…!」
『どうって…破棄するんですが?』
「それが今度は生きろって言うのか?!俺が生きたいつってたトキに殺そうとしたアンタがっ!!」
肩で息を吐いて。
コンは挑むように浦原を見る。
微かに揺れる瞳が…電燈の光に揺らめく。
「…………破棄するつもりなんてありませんでしたよ」
「嘘だっ!!」
「嘘じゃありません」
「俺はこの耳で……!」
「コン君。…じゃぁ何でアタシは。わざわざ破棄されるモノを持っていたと思います?」
「え…?」
「確かにアナタは「粗悪品」の中にありました。でもそれは。尸魂界の連中から奪ったもので」
「…………………」
「一度は朽木さん、黒崎さんの元に行ってしまいましたが、破棄するつもりなんて毛頭なかったんですよ?」
「な、に言って……」
「アタシ達、浦原商会以外の人間が知ってしまったんですから。表向きは破棄するって言わざるを得ないじゃないですか」
「…そ……な…事……」
告げられた事実に。
ただ部呆然とするだけで。
「回収したら。ちゃんと作った身体に入れてあげるつもりでした。…結局は黒崎さんのトコに行っちゃいましたがね」
微かに微笑む浦原に言葉が出ない。
「……コン君」
不意に奈を呼ばれ。
ビクリと身体が強張る。
「アタシが前に言った言葉、覚えてますか?」
「言、葉…?」
「黒崎さんが、朽木さんを助けに尸魂界に行ってる最中に言った、言葉」
「………ぁ………」
『コン君』
『君が』
『好きです』
「…………ぃま………言う、な……」
今聞いてしまったら崩れてしまうから。
耳を塞ぎたいのに。
身体が。腕が。手が。
「コン君」
「今、言う…な……」
動かない。
「君が好きです」
「だからアナタが居なくなるなんて堪えられないんです」
ひび割れた魂が、また音を立てた気がした…。
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