焼き付けたい。

この風景、この人々。…この気持ち。

記憶の在る、今。紡ぎたい心、言葉。

でも……。





〜タイムリミットまで後3日〜





「…ここ」



コンはそっと、静かに佇んだ。

初めて身体を手に入れた。あの喜び、あの気持ちを呼び起こすように。

…一護の学校。校舎裏。



「あの時は…」



ただ、逃げ出せた事に喜んでいた。

今後どうだとか、どうなるとか全く考えてなかった。

ただ、生きてる実感を感じていた。



「…………そんでも、今が在る…」



笑って。泣いて。怒って。

ただ殺される、見つかる日々に怯えていたあの日々に比べると、想像も出来なかった、幸せな日々を過ごす事が出来た。



「…嬉しくて…街に出たんだっけ」



校舎と街を隔てる壁。

それも一っ跳びに街に繰り出した。



「…そう言えば、その後」



『ご主人様の言うこときかねー奴は…死ねッ!』



小学生の言葉に、最高の気分も最悪になって。

それでも、虚の出現に放って置けなくて。



「んで一護に……」



『こんなザコにそんな血まみれにされるぐらいなら戦おうとすんじゃねぇよ!!』



…結局、何だかんだで一護に助けられた。

吐き出した気持ち、想い。



「…自由に生きて。自由に死んで」



…望んでいたんだから。



「さぁーて。もうちょっと空座町見て回るかな!」



コンは大きく伸びをすると、周りに誰も居ないのを確認して、大きく伸びた壁を飛び越えた。

今の気持ちも、乗り越えるかのように。



































「家出した時に、ヌイグルミのまま歩いた道」

































「石田とか言うのと一護が揉めて。一護の身体に入って、姐さんを探しに走った道」
































「一護が尸魂界に行って留守中に、一護の身体で歩いた散歩道」
































「空座町が見渡せる丘に続く道」
































全部全部、コン自身が見つけた道。

他の誰でもない、コンだけの道。









































「それから…………」
































1日歩いて。

夕陽が闇に消える瞬間。

コンはある場所に向かう。
































「…一護は…」































「…居ねェ、な…」
































玄関から入る事を義務付けられてるのは解ってる。

けど家の人に知られたくなった。

一護にも。

コンとして。

一護としてではなく、コンとして。

この家に入りたかったから。
































「俺が俺として、居れる事が出来た場所」

































小さいコンの世界の中心。

それでもコンにとってかけがえのない場所。
































「『一護の部屋』」