サハリン釣行記O

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ビバークからの脱出

 助けの二人が戻ってきてから、4時間ほどが経った。半信半疑のまま待っていたら、遠くか

ら車の音が・・・。どう聞いても自家用車ではなく、確実にもっと重みのある重低音が聞こえ

てきた。誰もがそれと信じて遠くを眺めていると・・・、

「来た!!!」


マフィアじゃない。助けのトラックだ。そのトラックが目に飛び込んできたときの喜びは今

でも忘れることはない。やっとこのビバークから脱出できるのである。

助けのトラックに荷物を入れると、荷台がいっぱいになった。元の装甲車より小さいのでしょ

うがない。人間が荷物の隙間を探して乗るしかなかった。急いで乗り込み、車を走らせようか

というとき、ドライバーとコックが乗っていないことに気が付いた。聞くとその2人はここに

残るという。まあ、壊れた装甲車もあるからしょうがないが、またこの二人はビバークを続け

るのだろう。仲良くなったドライバーに短い別れをし、なんとも複雑な気持ちで車を走らせた。

そのときドライバーと握手をしながら「スパシーバ」と声を交わしたことを今でも昨日のこと

のように覚えている。とにかく脱出することに成功した。

しかし・・・・・。あと5時間でユジノサハリンスク〜ハバロフスクのフライト時間になる。

どう考えても無理だ。逆算すると、ここから最低でも15時間はかかるはず。間に合わない

とわかっていても、今は移動できる分移動するしかなかった。とにかく近くの街へ・・・。

そこから次のことを考えよう。


そして少しだけ軌道に乗った日本への帰還道に心を落ち着かせながら、

自分の中にずっと隠れていた睡魔が現れ、私をひとときの眠りに引き込んでいった・・・・。


荷台が荷物でいっぱいに・・・。とにかく乗るしかなかった。

来るときは見られなかったサハリンの景色にみとれ、ロシアの自然を語りながら隣の街を目指した・・・。

ちなみに帽子の内側に張ってあるシールはアウトドア用の虫除けシール。気休めでしかなかったが・・・。





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ロシア・サハリン過酷な釣行記