悪夢・・・
帰り道の悪夢・・・。
数日ぶりに壮絶な振動と戦っていた。しかし、24時間も振動に耐え抜いた自分の体
が、その振動を覚えていてくれたおかげで、来るときよりは楽に乗り続けることができた。
しかし、とんでもない道である。たまに車が横に傾きながら、崩れ落ちている山の斜面を、
重力と戦いながら進んでいた。そのうちだんだんと記憶が遠のいていく。うっすらとした
眠りの中で、何本かの川をこいでわたる音を聞いていた。何時間経っただろう。なにやら
聞き慣れない音に眠りを妨げられた。
ガガガガ・・・。グオングオン・・・。ギリギリ・・。
そして 車が止まった。
休憩とは明らかに違う。妙な胸騒ぎの中、車を降りた。すぐに異変に気がついた。
なんと車が傾いている。見ると、左の前輪タイヤが傾いているのだ。恐れていること
が起こったのである。
車の故障だ。
初めは簡単に治るのかと思っていたが、ドライバーがタイヤをは
ずしてみると、とんでもない・・、ベアリングがめちゃくちゃに壊れている。部品がない
と走ることは不可能な状態である。誰もがその状況が最悪だと言うことを察していた。
しかし、もっと最悪なことが・・・。この場所は無線も携帯も通じない。車は一日に1台
通るか通らないか。
出発した漁師の町まで川をこいで30km。次の町まで山道を50km。完全なる遭難
である。助けを呼ぶ手段が一つもないのだ。誰もが絶望を感じていた。時間通りに戻
らないと飛行機にも間に合わない。当然、日本への帰国も遅れてしまう。しかし日本へ
連絡する手段もない。
さあどうしよう・・・・。
みんなで考えた。結局たどり着いた方法は一つ。車が通りそうな道まで歩いて助けを
呼びにいくという方法になった。言葉が通じないと意味がないので、ロシア人のガイド
と監視員が行くこととなった。今は夜の8時。そろそろ日が暮れる。周りはヒグマだら
け。隣町まで50kmはある。私たちの命を背負って歩き出す二人の後ろ姿を静かに
見送った。一体この二人は助けを呼ぶことができるのだろうか・・。かすかな希望を抱
いて我々はその場にとどまった。当てもない助けを待つだけの時間を過ごす
ために・・・・・。
さあ、このあとどうなったと思います

?
車を降りてみると車が傾いていた。
タイヤをはずしてみると中がめちゃくちゃに壊れていた。かなりの負担がかかっていたのだろう。しかしこのドライバーさん。素手で車を分解し始めた。すげ〜
あてもない助けを求めるたびに旅立つ二人、私たちはただただ希望をもって見送るしかなかった
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