バスに乗り込み、ピラミッドに向かった。

私は殺伐とした町並みを眺めていた。

するとガイドがつぶやいた・・・

「おかしいです・・・！」

何がおかしいのだろう。気になってガイドに尋ねてみた。

ガイド「おかしいんです。いつも見えるピラミッドが見えないんです。」

なんだなんだ、５０００年もそびえ立っていたピラミッドがなくなったのか？

そんなことを考えていると、ガイドが言った。

ガイド「今日は１年間に数日しかない霧がかかっているのです。
Ｒｙｏさんあなた雨男でしたね。このピラミッドの周りまで雨男の力が伝わるとは・・・」

初めは笑えない冗談だったが、それが感動へとかわるまで時間はかからなかった。

ガイド「ヘイ皆さん。見てください。年に数日しか見られない霧の中に浮かび上がるピラミッドです。

窓の外を見てみた。

なんと霧の中からでかい建造物が浮かび上がってきたではないか。

「ピラミッドだ！！」

思わず声を上げてしまった。

「でかい」

何というでかさだろう。表現する言葉が見あたらない。

高まる気持ちを抑えながら、バスはゆっくりとピラミッドの駐車場へと入っていった。

そしていよいよピラミッドの中へ・・・

実はピラミッドはギザの町中から普通に見えてしまうのである。

つまり、ピラミッドに近づく前に都会的な町中からピラミッドが見えるのだ。

砂漠の中に現れる神秘的なピラミッドの姿を想像している人たちは、そのあっけなさにびっくりしてしまうらしい。

しかし・・・

今回は近くまでピラミッドが見えず、霧の中から現れたピラミッドが何倍にも神秘的に見えたのだ。

雨男もたまにはドラマチックな演出に役立つことがわかったのである。フフフ・・・

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