伝蔵荘日誌

【伝蔵荘日誌】2022年1月4日: 2022年の年明け T.G.

 年が明けて早四日。年末年始にさしたる出来事は起きず、神そらに知ろしめす。すべて世は事も無し。

 一昨年の2020年はいろいろ良くないことが起きた悪い年だった。年始めの1月に突如としてコロナ禍が出来した。最初は中国発の悪性の風邪と思われていたが、やがて世界中にまん延し、地球規模のパンデミックに陥った。各地で感染者が急増した。日本も例外でなく緊急事態宣言の連発。それに煽られて9年間続いた安倍政権が倒れた。個人的には夏の初めに原因不明の強度の食欲不振に陥り、体重が激減、体力気力が萎えた。その最中に緑内障治療のための白内障手術を受けたが、その際のコロナ検査で肺に影が見つかり、癌の可能性あり、要再検査と告げられる。幸い半年後の再検査で癌ではなかったが、それが分かるまではストレスと食欲不振で苦しんだ。やっと正常に戻ったのは年末である。実に悪い年だった。

 それに引き換え、昨年の2021年は比較的穏やかな年だった。コロナは依然として世界中に猛威を振るっていたが、なぜか日本だけは比較的落ち着いていた。5月に遅ればせながらワクチン接種が始まったが、7月に開催されたオリンピックは無観客で行われた。オリンピック終了後の8月に感染者数のピークは来たが、ワクチン接種率が上がるにつれ感染者数が減り始めた。8月下旬に2万人を越えた1日の感染者数が、以後急減に減少し、11月末には7日間平均が100人を切った。これは世界的に見て極めて少ない数字である。世界中が1日数万から数十万人感染しているのに日本はその100分の1以下。ファクターXと称され、世界の七不思議と言われた。そのおかげで10月末の衆院選では事前の予想に反して自民党が大勝した。個人的にも大した病気もせず、健康に過ごせたのは何よりで、いい年だった。

 はたして今年はどうだろう。昨年11月にGP生君が突如帯状疱疹を発症し、治りが悪く、年末まで長引いた。身体がきついらしく、しょっちゅう掛けてきた電話も途絶えた。書き込みがきついとメールやラインの返信も途絶えた。相当に悪そうでどうなることかと案じていたが、暮れの22日に二ヶ月ぶりのGP生電話が来た。以前通りの電話口の元気そうな話しぶりを聞いて安堵した。お互い来たる年は健康で平穏に暮らそうと言い合った。

 毎年、メルアドが分かっている友人知人には元旦の午前零時にメール年賀状を送っている。今年も約70通送った。それに対していろいろな返事が届く。健康や身体のこと、家族のことなどが書かれていて、それを見ていると歳相応のトラブル、悩みが垣間見える。致し方ないことだろう。返事がないものも多いが、おそらく無事平穏に暮らしているのだろう。中にはメールが届かず返信されてくるものもある。メルアドが消滅しているのだ。時々メールのやりとりをしている岩見沢の大先輩の哲学者にも届かなかったようだ。メルアドが無効になっているらしく、歳が歳だからご不幸でもあったのかと大いに心配になる。

 国内問題では岸田政権の締まりのなさが心配だ。何事にもぐだぐだしていて一本背筋が通ったところがない。こんにゃくみたいな総理大臣である。こんな総理で混迷する世界情勢の中でやっていけるのか案じられる。新総理は就任後一ヶ月以内にアメリカ大統領と首脳会談を行うのが通例だが、いまだに出来ていない。安倍はもとより、前任の菅もやっているのに、岸田はこの先当分出来そうもない。早くて夏頃だろうと言われている。バイデンが意地悪しているのか、日和見岸田が嫌われて相手にされていないのか、おそらくその両方だろう。バイデンに楯突いて北京五輪の外交的ボイコットも曖昧にしたし、対中国の人権問題非難もしない。彼のために日本の存在感がますます薄くなっている。

 その反対にコロナ対応はなぜかうまく行っている。何の問題もない。感染者数は激減し、欧米諸国と較べると100分の1しかない。一日あたりの感染者数がアメリカ、イギリス、フランスは数十万人というのに、日本は数百人しかいない。桁違いの少なさである。岸田がなにか気の利いたことをやったわけではなく、そうなった理由も誰にも分からない。日本だけのファクターXとか、世界七不思議と言われている。中国、韓国でさえいまだに手こずっていると言うし、このままうまく行けば、世界に先駆けて日本だけがコロナ禍を脱出できるかもしれない。岸田が頑張って日本を再興してもらいたいものだ。

 と、ここまで書いてきてメールを覗いたら、岩見沢の哲学者から遅ればせの年賀メールが届いていた。「今年もなにとぞ。いつも豪華なメールの年賀を頂くのに今年は? 」という書き出しである。メルアドを変えただけで、とりあえず何事もなかったことが分かり安堵する。「送ったが届きませんでした。メルアドを変えられたのですか?」と返信したら、折り返し「詐欺に引っ掛かりかけてアドレス替えてました、失。」と返信あり。どういう詐欺か分からないが、哲学者でもメール詐欺には引っかかるんだ。

 そういうわけで穏やかない新年です。この先何事も起きませんように。

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