伝蔵荘日誌

【伝蔵荘日誌】2021年11月24日: COP26は世界規模の壮大な詐欺 T.G.

 1970年代にローマクラブという妖しげな団体があった。世界中の政治家や著名人が集まって、今のままの経済活動を続けていると、人口爆発と石油の枯渇で21世紀には成長の限界に達し、環境汚染で地球は滅びると大袈裟に騒ぎ立てた。40年後の今振り返ると、人口爆発は起きていないし、石油埋蔵量はどんどん増えているし、肥大化した中国経済を見れば成長の限界などあり得ない。いずれも大間違い、真っ赤な嘘だったことが分かる。

 今のCOP26がそれとそっくりだ。根拠のないCO2による地球温暖化をネタに、世界中を惑わせている。グレタとか言う小娘を担ぎ出して悪態つかせている。こう言うやり口は詐欺師の常套手段である。あと40年経ったら、ローマクラブと同じインチキだったと分かるだろう。COP26がそれ以上に罪深いのは、温暖化で脅してCO2削減のカーボンニュートラルを各国政府、産業界に強制していることだ。従わない政府や企業を名前を挙げて糾弾し、見せしめにしていることだ。彼らの求めるカーボンニュートラルが現実化したら、おそらく地球上の全産業が窒息し、経済成長が止まり、国の運営が成り立たなくなる。分かっていながらそのことに思いを致さないのは、カーボンニュートラルでよほど儲かる連中がいるからに違いない。世の中何でも裏がある。

 そもそも温暖化についてはいい加減なデータを示すだけで、はっきりしたエビデンスはない。地球の表面温度が1〜2度上がり下がりするのは単なる自然現象で、今までに何度もあったことだ。21世紀の現在は、1万年前に氷河期が終わり、第四間氷期に入ったばかりで、気温は上昇傾向にある。少しぐらい上がってもおかしくはない。恐竜時代の地球は今よりはるかに気温が高く、CO2濃度も高かった。そのおかげで多種多様な生物が繁茂していた。生物の種は今よりはるかに多かったと言われる。その膨大な生物の死骸が今の化石燃料である。その頃の地球は今よりはるかに豊かだったに違いない。

 さらに罪深いのは、温暖化の主原因を根拠もなくCO2と特定した点にある。証拠もなしに、CO2排出さえ止めれば温暖化は止まると言いつのっている。この主張は何のエビデンスにも基づいていない。温暖化とCO2濃度の因果関係が学術的に証明されたのを聞いたことがない。単なる気分というか、別の言い方をすれば脅して騙す詐欺師の手口であり、常套手段である。ノーベル賞の真鍋淑郎氏が論文でCO2の温暖化影響を予測したが、主犯と決めつけたわけではない。温暖化の原因のほとんどはほかの要因である。おそらく時間軸で見た地球規模の環境変化だろう。地球は過去何度も寒冷な氷河期と温暖な間氷期を繰り返している。今はその間氷期の始まりなのだ

 カーボンニュートラルが理想の未来というのは幻想である。カーボンニュートラルは、事実上石炭石油など、化石燃料を一切使わないことを意味する。その代わりに再エネを使えという。再エネの主力は太陽光と風力である。地熱などそれ以外はゴミだ。太陽光発電と風力発電では、人類が必要とするすべてのエネルギーは得られない。仮に得られたとしても、それをすべてに活用出来ない。電力は特殊なエネルギー形態なのだ。

 原理的に電力は発電量と使用量が常に一致している必要がある。多すぎても少なすぎてもいけない。多く作ったら捨てなくてはならないが、大電力を捨てるのは技術的に極めて難しいし危険である。少なすぎると給配電に支障を来し、悪くすると広域停電のブラックアウトが起きる。そのことは3年前の北海道大地震で証明済みである。ブラックアウトまでは至らずとも、電力供給が需要を下回ると、電圧や周波数が低下し、電気器具がまともに動かなくなる。終戦直後、しばしば電力不足に悩まされた。夕方、突然電灯が暗くなり、ラジオが聞こえなくなった。今頃のデジタル製品はまったく使えなかっただろう。すべてがデジタルで運営されている世の中はすべてブラックアウト、シャットダウンだろう。

 太陽光や風力は常に一定の発電量を確保出来ない。太陽光は夜間は発電出来なくなり、曇りでは発電量が少なくなる。風が吹かなければ風力発電は出来ない。常にすべての電力需要を満たすことは不可能なのだ。足りない分はほかの発電で埋め合わせるしかない。いわゆるベース電源である。再エネ以外のベース電源は化石燃料を燃やすか、原発しかない。すべてを原発に頼るのは乱暴すぎるので、悪者扱いしている石油石炭、天然ガスに頼るしかない。原理的にカーボンフリーはあり得ないことだ。再エネは多く見積もっても電力需要の半分しか満たせない。

 昼間発電して余った電力を、蓄電して夜間に使えばいいという説があるが、これも大間違いだ。そんな大電力の蓄電技術は存在しない。技術が進歩する近未来でも考えられない。少なくともあと百年は無理だ。今使われている最高性能の二次電池はリチウムイオン電池だが、せいぜいがスマホや車を動かす程度の蓄電量である。最近建造された自衛隊の潜水艦は潜航航行用にリチウムイオン電池を搭載しているが、採算度外視の特殊な例で、せいぜいそれが限界だろう。大規模工場を稼働させる大容量蓄電池はとてもじゃなが作れない。仮に作れたとしても採算が取れないから使えない。余剰電力で水を電気分解し、水素を作れという説もあるが、手間とコストがかかりすぎて使えない。生活や産業は経済性が命である。地球に金持ちだけ住んでいるわけではない。

 ほとんどのエネルギーを再エネでまかない、ほんの少しだけ化石燃料を我慢して使うというのもあり得ない。再エネでは人類が必要とするエネルギーの一部しか作れない。日本だったらすべての遊休地に可能な限り太陽光パネルを敷き詰めても、全エネルギー需要のほんの一部しか作れないだろう。風力は推して知るべし。百歩譲って作れたとしても、すべてのエネルギー需要は電力ではまかなえない。電力では出来ない仕事もたくさんあるのだ。

 そのほかにも嘘はたくさんある。ヨーロッパが言うように、すべての車をEVにすることは不可能だ。二次電池に必要なリチウムやコバルトは埋蔵量が少なく、一部の国だけに偏在する希少資源である。全世界の車に搭載する数の二次電池は作れないし、鉱脈を掘り尽くしたらお終いである。単純計算で小学生にも分かることだ。10年後にはガソリン車全廃とイギリスやフランスなどが言っているが、そもそも彼らは車が作れない。車が作れる日本やアメリカや中国を困らせて、一儲けしようと言う魂胆だろう。典型的なCOP26詐欺である。

 そもそも温暖化で困るというのが嘘である。温暖化は寒冷化よりはるかにいいことだ。温暖化で有害な気候変動が特段増えていることが証明されたわけではない。台風や洪水はいつの時代もある。テレビで洪水や南洋の小島の海岸線後退を大袈裟に報道するのは、COP26のヤラセである。温暖化すれば地球全体として耕作可能面積が増え、収穫量も増大するメリットの方が大きい。寒冷化はその反対で、人類が必要とする食物を作れなくなる。全人類、全地球的に見れば、温暖化はいいことなのだ。

 産業革命の歴史が示しているが、産業構造が切り替わる際、必ず損をする企業と得する企業が出てくる。インチキ産業革命であるCOP26の場合、化石燃料産業は割を食い、再エネ産業は儲かるだろう。その間隙を縫って、頭のいい、悪賢い連中が暗躍する。一時的な再エネ株つり上げで儲けようと狙う。CO2排出権を金でやりとりする動きはその最たるものだ。人類はいつまでこう言う根も葉もない怪しげな運動に加担するのだろう。その結果生まれる膨大な損失やロスに気が付かないのだろう。そうなれば人類の活動は大幅に退化し、地球は貧しくなるだろう。慨嘆!

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