伝蔵荘日誌

【伝蔵荘日誌】 2020年12月31日 コロナ、戦後最悪の年 T.G

 コロナに明け暮れた戦後最悪の年が過ぎようとしている。コロナは軽い風邪だが、我々80過ぎの高齢者には致死率30%の死病である。これより怖いのは狂犬病かエボラ出血熱ぐらいだろう。そのため仲間内の会合やイベントはすべてキャンセルになった。コロナ前の1月と10月に会社同期のAr君と那須温泉、四万温泉に出かけただけで、それを除くと今年1年、誰とも会っていない。少数の仲間とのメールのやりとり以外、世間と隔絶していた。外出は近所のスーパーへ食料品の買い物に出かけるだけで、バスにも電車にも乗っていない。床屋にも行っていない。伸び放題の髪はアマゾンでJust Trimという電気バリカンを買って、自分で始末している。

 個人的にも良くないことが重なった。6月頃までは新しいパソコンを組み立てたり、そこそこ元気に暮らせていたが、7月の長雨の最中、突然原因不明の食欲不振に見舞われた。食欲が湧かず、なにも食べる気が起きない。朝食のトースト1枚をなんとか喉に押し込むのがせいぜい。ただでさえヤセッポッチの体重がどんどん落ちた。かかりつけのKa医院に行っても、どこも悪くないという。念のために胃カメラでも飲むかと言われる。そうなると食欲だけでなく、気持ちがどんどん落ち込む。鬱々とした日が続く。食欲が生存本能で、生きる意欲のバロメーターであることを実感させられる。そういうつらい状態が2週間続いた。

 その最中の6月初めに、前から予定していた白内障の手術を受ける。手術自体は軽易なものだが、その煩わしさが食欲不振のストレスと重なって、術前術後、辛くて暗い鬱陶しい時間が過ぎた。その最中にさらに悪いことが起きる。コロナ対応のCT検査で肺に影が見つかり、肺がんの可能性があるので半年後に再検査することになった。それを告げられた後、さらに気持ちが落ち込んで、ふたたび強度の食欲不振に見舞われた。胃の痛み、胸焼け、胸のつかえなど、完全なストレス胃である。不眠が重なり悶々とした日々を過ごす羽目になった。テビCMで見た新発売の太田漢方胃腸薬を試しに飲んでみたら、とてもよく効いて助けられた。肺の影問題のその後の経緯は前の日誌に書いた通りである。

 世の中も悪いこと続きでにっちもさっちもいかなくなった。日本も世界もコロナ一色。いずこの国も経済活動が沈没し、内政はコロナに振り回されるだけ。なにも出来ない。コロナ鎖国で人の往来が途絶え、外交も立ちゆかなくなった。その中で唯一気を吐いていたのはアメリカの大統領選挙である。世界一のコロナ感染爆発の中で、トランプ、バイデンが実にスキャンダラスな選挙活動を展開したが、いまだに決着がついていない。民主主義が毀損されたアメリカはこの先どうなるのだろう。認知症バイデンでは独裁者、習近平と戦えない。このままずるずる衰退していくのだろうか。その先に見えてくるのは巨大化した中国主導の無法で無秩序な世界か。

 日本も例外ではない。安倍も後継の菅も、内政外交はほったらかしてコロナに翻弄されるばかり。まともなコロナ対策が打てず、思いつきの出たとこ勝負、その日暮らしである。これでは政治は要らない。国民が自分勝手にやるしかない。内政外交であれだけ存在感を示せていた安倍が、コロナの前では借りてきた猫のよう。菅に至っては周章狼狽、右往左往するだけ。官僚の作文を下向いて読み上げるしか能がない。せっかく打ち出したGoToキャンペーンを、マスコミの総スカンを食ったらさっさと引っ込める始末。政界遊泳術だけで登り詰めた男には、国家最高指導者としての見識や危機管理能力がない。未曾有の国難に際し、国民に確たる方針や大局観を示せない。とても総理大臣の器ではない。早くやめさせた方がいい。彼に任せていては日本が危うくなる。

 朝から晩までテレビ新聞はコロナ一辺倒。飽きもせず自粛と三密回避と医療崩壊を煽るだけ。肝心なコロナ対策はまったく報じない。これで視聴率が取れればテレビ会社の経営は簡単だ。誰でも出来る。国民はコロナが怖い病気ではなく、軽い風邪に過ぎないことをとっくに知っている。だから求められても自粛などせず、感染拡大第三波が生まれた。女都知事がヒステリックに三密自粛を叫ぶが、誰も聞いていない。どうせ彼女一流のお為ごかしの選挙運動だろうと。そもそも欧米に較べて日本のコロナは大したことはない。感染者も死者も100分の1しかない。例年のインフルエンザは感染者数1千万人、関連死者数1万人に及ぶ。それに対してコロナの感染者はわずか20万人、死者は3千人に過ぎない。なにが問題なのか。的確な方針、対策を示せないのか。政治家官僚と医療従事者の不作為、怠慢としか思えない。

 コロナはいずれ落ち着くだろう。その先に待ち構えている大問題はコロナが生んだ深刻な経済問題だ。どうやってコロナ後の経済を回復させるか、成長軌道に乗せられるか。それに日本と子や孫達の将来がかかっている。今のままだと10年先の日本は危うい。ただでさえデフレ基調の低成長の日本経済なのに、コロナが首つりの足を引っ張っている。それに毅然として立ち向かう政治家が現れない。官僚も経団連もマスコミも愚昧なまま。国民のやる気も意欲も下がるばかり。だからデフレで経済不振にもかかわらず、企業の内部留保が300兆円も生まれる。金の使い道がないからだ。どうか来年は八方塞がりの日本が少しでも良くなりますように。先の短い我々老人も安心してのんびり暮らせますように。せめて神様にお願いしよう。

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