伝蔵荘日誌

【伝蔵荘日誌】2019年9月26日: 天才子役、進次郎とグレタ・トゥンベリ T.G.

 国連の環境問題のイベントで二人の天才子役が話題になっている。一人は我が小泉進次郎、もう一人はスエーデンの16歳、グレタ・トゥンベリである。小泉進次郎を天才子役と評したのは政治評論家の伊藤惇夫氏である。インタビューや選挙演説で気の利いたことは言うが、内容と実行力がともなわない、セリフ回しが上手いだけの天才子役だと。それになぞらえると、ヨットで大西洋を渡り、国連本部の気候変動サミットで大演説をぶち、大喝采を浴びた16歳のグレタ・トゥンベリは文字通りの天才子役である。

 彼女の演説内容はYouTubeの動画に譲るが、言っている内容は「気候温暖化の責任は大人達にある。このまま何もしない大人達を私は許さない」と感情的な啖呵を切っているだけで中身はない。温暖化対策の主張は皆無である。進次郎の「温暖化対策はセクシー」と同様、一種の演技というか、ポエムに過ぎない。

 温暖化対策は単純で、出来るだけ化石燃料を使わず、CO2排出を最小限にとどめることだ。そのためには、電気を使わない、車や飛行機には乗らない、プラスティックなどの石油製品を使わない、トマトなどの温室野菜を食べない。要するに今までより生活水準を大幅に下げることである。それをすべての人が地道にやるしか方法はない。それ以外の策はない。一つ一つは16歳のグレタにも出来るし、やらなくてはいけない。彼女が温暖化に問題意識を持っているなら、まずは自らそのことを始めればいい。始めなければいけない。大人に説教をたれるのは、それをやった後の話だ。このこまっちゃくれた、中身のない、口だけは達者な小娘を見ていると、親の教育が悪いとしか言い様がない。

 古来中国に「まず隗より始めよ」と言う格言がある。「問題提起するなら、まず自ら行動せよ」という意味で、東洋人が最も大切にする教えの一つである。どうも西洋人にはこの教えは通じないようで、大方は問題提起を人に押しつけるだけ。自分でやろうとしない。格好だけ付けたがる。オバマがやめ際に最後っ屁のように核廃絶をぶったのがその好例である。アメリカ大統領がそれを言うなら、まずはアメリカ自身が核兵器削減をして見せるべきだ。大統領はそれが出来る立場である。それもせず核廃絶を言うのは、絵に描いたような偽善であり、演技に過ぎない。「隗より始めよ」は西洋人には理解できないらしい。

 この西洋の小娘も同じである。CO2削減は子供にも出来ることだ。電気は使わず、車や飛行機に乗らず、プラスチックは使わず、トマトを食べないことは彼女も出来る。それすらやらずに国連で愚にも付かない演説をする。その演技を大人達が拍手喝采して持て囃す。やらせの大偽善大会である。東洋人の一人として、自分の娘をこういう不見識で小生意気な天才子役にはしたくない。良いことはまず自から進んでやる娘に育てたい。彼女は大西洋をヨットで渡って国連会場に来たと言うが、それを操縦してきた5人の大人達は飛行機で帰国するという。こうなるともう偽善の塊だ。これを天才子役ショーに仕立てて大喝采を浴びせるのは大人の悪知恵と言うほかない。こういう見え透いたお祭り騒ぎをしていては、温暖化対策は進まないだろう。国連はショーしか出来ない役立たず組織だ。

 会場の外でデモ隊が日本の石炭火力発電を非難していた。原発事故で石炭火力に頼らざるを得ない日本を悪者に仕立てているのだ。日本の石炭火力は技術が進んでいて、中国のように大量のCO2を排出しない。世界のCO2排出量は中国が30%、アメリカが15%、日本はわずか3.5%である。石炭火力を最も使っているのは中国である。日本とは桁が違う。それを非難しないでわずか3.5%の日本を攻撃する。温暖化対策は利権の塊で、それで大儲けしている国や企業は沢山ある。中国はその一つだ。デモ隊はその先兵に使われている。攻撃する相手を意図的に間違えている。ここは国連に乗り込んだ小泉環境大臣の出番なのに、彼は何もしないし、何も出来ない。天才子役である所以だ。

 そのもう一人の天才子役の「セクシー発言」である。日本人には聞き慣れない形容詞の使い方で、話題を呼んだ。発言の詳細やニュアンスはYouTube映像に譲るとして、国際会議で通訳を介さず堂々と発言、受け答えをしたことは多とするとしても、残念ながら内容が伴っていない。印象操作に過ぎない。セクシーなどというエキセントリックな言い方で誤魔化しているだけで中身はない。その証拠に、他の委員からCO2削減策を問われると、新米大臣なのでこれからスタッフと相談するなどと、たちどころに馬脚を現している。切れのいいジャパニーズ英語もそこそこで、受け答えも父親譲りの進次郎節。セリフの上手い天才子役の面目躍如ではある。

 ちなみに、温暖化の原因がCO2であることの科学的根拠はない。単なる憶測である。そうではないという意見の学者も少なからずいる。縄文時代の気温は今より高く、海面の水位も今より高かった。そういう考古学的根拠はあちこちで見つかっている。そのことを誰も気にとめないで、根拠不明の温暖化騒ぎに明け暮れている。温暖化対策は利権化していて、CO2排出権は金でやりとりされる。莫大な金が動く。お人好しの日本はしこたま払わされている。これに異を唱えると、国連を舞台に暗躍しているCO2マフィアに抹殺される。嫌な世の中だ。本人にその意識はなくても、16歳の天才子役はCO2マフィア達のペットにされている。日本の天才子役はどういう配役が与えられているのだろう。ただの客寄せパンダか。

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