伝蔵荘日誌

【伝蔵荘日誌】2019年1月6日: 正月明けのテレビ番組を観る T.G.

 正月明けの最初の日曜日、朝のテレビ番組を観る。TBSのサンデーモーニングで「 新春SP 世界はどこへ…ふたつのレール・平成が歩んだ30年 新春スペシャル」と言うのをやっている。平成の30年はグローバリズムとインターネットの二つのレールの上を走ってきたと言うテーマ設定である。テーマ設定自体は悪くない。どういう話になるのか興味深く見ていたら、なじみのコメンテータの発言がいかにも非生産的で暗い。「政治が悪い。アベノミクスが悪い。だから株価が落ちて円高になった」と口を揃えて罵倒する。新春早々、もう少し前向きで建設的で明るい話は出来ないものか。まるで平成30年の大反省会だ。これだからTBSは困る。

 インターネットのレールである。これも暗い否定的なコメントばかりで、明るい話題は出てこない。ネットの悪い面の話ばかりに終始する。いい面の話は一切出てこない。実際問題としてインターネットは悪い面もあるが、いい面の方が断然多い。だからインターネットの時代になったのだ。今とときめくGAFA(アマゾン、グーグル、フェイスブック、アップル)はいずれもインターネット大企業である。そのGAFAが世界経済を席巻している。マスコミがコメンテータに選んだ有識者がこう不見識では、日本がITに乗り遅れるわけだ。今の時代、ネットを否定していたら日本はやっていけない。世界に後れを取る。事実そうなり始めている。中国はおろか、韓国にさえ置いて行かれている。

 次いで今最先端のAIの話に移る。これも全般的に否定的な論調である。明るい話は出てこない。なにが後ろめたいのか、顔を隠した銀行幹部が画面に出てきて、「銀行業務のほとんどはAI化されて、多くの銀行員は職を失う」などと暗い話をする。それに応じてコメンテーター達から次々にAI懐疑論、否定論が出てくる。いったいこの番組のプロデューサーはどういうつもりでテーマ設定をし、どういう基準でコメンテータを選んでいるのだろう。TBSはAIやインターネットが大嫌いなのか。

 極めつきは田中優子法政大学総長である。いつもの着物姿で愚にも付かないAI批判を繰り返した後、「これからの学生達にどう教えていったらいいのか。宗教や哲学が大事になる」としたり顔で発言を結ぶ。いったいこの総長は大学でどういう教育をしているのだろう。大学をなんだと思っているのだろう。学生達になにを教えているのだろう。AIは間違いなくこれからの世界を牽引する最先端の技術革新である。AIを制したものが世界を制する。世界中がそう認識し、研究開発にしのぎを削っている。アメリカ、中国が先行していて、日本は周回遅れだと言われている。安倍政府もそういう認識で政策を講じている。それなのに、若い学生を教育する立場の大学総長たるものがこの認識では、日本は先が思いやられる。呆れてこれ以上与太話に付き合う気にならず、チャンネルを回した。

 チェンネルを回したのはNHKの日曜討論である。新春初の番組なので、討論ではなく安部総理をはじめ各党の党首へのインタビューに終始する。野党は維新などを除き一様に消費税反対を言う。この経済情勢で消費増税はきちがい沙汰だ。アベノミクスに続く大失政だと非難する。確かにその通りだろう。外国人労働者受け入れのための入管法改正と並んで、今の安倍政権でもっとも疑問な政策の一つだ。それは確かだが、少なくとも立憲民主党にはそれを言う資格はない。今回の消費増税は民主党の野田政権が作った法律に基づいている。安倍首相は法律を施行する行政府のトップである。仕方なくやっているだけだ。他の野党はともかく、当時民主党の幹部だった枝野が、立憲民主党党首の立場で反対するのは筋違いも甚だしい。

 次いで普天間の辺野古移設を聞かれた枝野が、沖縄の人たちの主張には耳を傾けるべきと総論を述べた後、インタビュアーに辺野古移設の代案を聞かれて、「沖縄に海兵隊はもはや不要だ。グアムで事足りる」と言い出したのには驚いた。思わず耳を疑った。これでは「最低でも県外」のルーピー鳩山と同じではないか。民主党政権の失政は数多いが、鳩山首相の「最低でも県外」はその最たるものである。これで国民から政権の信頼を失ったに等しい。当時の民主党政権の幹事長だった枝野はそのことを忘れたのか。これでは認知症と言われても仕方がない。

 民主党政権は頂けなかったが、その中で枝野だけは同じ大学の後輩であることもあり、大いに買っていた。当時は考えもなかなかしっかりしていて、いつかはいい政治家になるだろうとかすかな期待をしていた。それがこの体たらくである。大いに失望した。今や立憲民主党は出来の悪い第二共産党になり果てている。日本経済や安全保障に何の見識も政策もなく、森友加計をはじめ、安倍に楯突くだけが目的の党に成り下がっている。共産党には共産革命という確固とした綱領があるが、枝野の党にはそれがない。いずれは社会党のように野垂れ死にするだろう。

 それやこれやで、今年もいい年ではなさそうだ。

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