伝蔵荘日誌

【伝蔵荘日誌】2018年8月4日:スズメバチとウルシかぶれ T.G.

(八千穂高原インターチェンジ)

 先月熊谷で日本の観測史上最高の41.1度が出た。あまりの暑さにたまりかねて、家人と伝蔵荘へ緊急避難した。何せ拙宅は熊谷にほど近い。その日は40度を超えていただろう。高速を臼田で下りて、いつも立ち寄るスーパーつるやで買い物をし、再び高速に戻り、八千穂インターで降りて伝蔵荘へ上がる。この春に高速道路が八千穂まで延び、家から伝蔵荘まですべて高速道路で行けるようになった。伝蔵荘を建てた40年前はまだ関越道も長野道も出来ておらず、軽井沢まわりの国道18号線を延々と走ったものだ。その頃は、生きているうちに伝蔵荘直下の八千穂に高速道路のインターが出来、こんな風景が見られるとは夢にも思わなかった。このあたりはさぞかし地価が上がるだろう。

 標高1300mの伝蔵荘まで上がるとさすがに涼しい。日陰だと寒いくらいである。夜は羽毛布団にくるまって熟睡した。とてもいい気持ちで天国である。昨日までの酷暑が嘘のようだ。下界とは10度以上の温度差がある。ガラス窓に貼った温度計を見ると、昼間は22,3度、夜は17度ぐらいまで下がる。

 伝蔵荘へ到着して雨戸を開けようとしたら、裏のベランダにスズメバチがブンブン飛び回っていて、庇の板の隙間から蜂が盛んに出入りしている。中に巣が出来ているのだろう。信州消毒に電話すると今日は日曜なので対応できないという。今さら酷暑の家に戻る気にもならない。やむなく買い置いてあったスズメバチジェットで退治することにした。巣のまわりを飛び回っているハチに、少し離れたところからハチジェットを噴射して追い払い、近寄って巣のある隙間からジェット噴射を注ぎ込む。これを繰り返していたらやがて蜂がいなくなった。自力防衛大成功である。

 伝蔵荘のスズメバチ被害はこれで5回目である。最近は毎年のように巣を作られる。この7〜8年のことで、それ以前はなかった。スズメバチ自体がいなかったのだろうか。昨年は同じ時期にMa君が来荘すると、6畳間の雨戸とガラス窓の間に巣を作っていて、とても自力では駆除できず、信州消毒に電話して駆除してもらった。そのとき買い置いたスズメバチジェットが役に立った。巣がむき出しに作られている場合、周り中に蜂が飛び交っていて危険で近寄れない。業者に駆除を依頼するしかない。今回は軒先の庇の中だったので、スズメバチが飛び回る範囲が限られていた。5mぐらい先まで届くジェット噴射を遠くから浴びせると(CMの10mは誇大広告である)、1〜2分は蜂を遠ざけられる。そのすきに蜂が出入りする隙間にジェットを注ぎ込むと、中の蜂は死んでしまい、外に出ていた蜂も戻れなくなる。蜂は見かけによらず弱い虫で、殺虫剤でなかなか死なないゴキブリや蠅と違い、ちょっと吹きかけただけでコロッと死んでしまう。以後スズメバチジェットは伝蔵荘の常備品にしよう。

(ツタウルシ)

 伝蔵荘から帰宅してしばらくしたら、手の甲に虫刺されのようにポツポツが出来、痒くて仕方がない。かゆみ止めのムヒ軟膏を塗って我慢していたが、いつまでたっても治らない。そのうちに手の甲が腫れあがり、水ぶくれが出来てジュクジュクしてくる。10日も過ぎた頃、いくら何でもこれはおかしいと、近くの皮膚科に出掛けた。医者は診るなりウルシかぶれだという。どこかでウルシの葉に触ったのだろうという。そう言われてみると、伝蔵荘でベランダ周りに雑草が生い茂っていたので草抜きをした。そのときに触ったのかもしれない。この40年間、伝蔵荘でウルシにかぶれたことは一度もない。どこに生えていたのだろう。抗ヒスタミン剤のフェキソフェナジン錠とステロイド剤のデルモゾール軟膏を処方してもらい帰宅した。

(ヤマウルシ)

 ネットで調べてみると、ウルシかぶれは花粉症と同じ植物由来のアレルギーだという。フェキソフェナジンは第二世代の抗ヒスタミン剤で、花粉症治療にも用いられる。医者に花粉症や喘息、慢性蕁麻疹などのアレルギーがあるか聞かれた。さらにネットで調べていたら、ウルシかぶれの症状、対処法が詳しく書かれたサイトを見つけた。分かり易い説明で、大いに参考になる。それによると、ウルシにはツタウルシとヤマウルシの2種類がある。ウルシのアレルゲンはウルシオールという油脂成分で、毒性はツタウルシの方が強いという。ウルシオールはゴム手袋をしていても浸透してくるほど強力なのだそうだ。年齢性別には関係なく、触ればほとんどの人が発症する。ウルシ職人ですらかかる人がいるという。そうとは知らなかった。今度行ったら探してみよう。

 処方してもらった薬を使ったら、一晩で幾分症状が落ち着いた。前述のサイトによると、抗ヒスタミンもステロイドも痒みなどの症状緩和の対症療法で、かぶれが治るわけでないという。かぶれ自体の完治には3〜4週間かかるのだという。もうしばらく辛抱しなければならない。そういうわけで、スズメバチは出るは、ウルシにはかぶれるはで、今回の伝蔵荘行きはさんざんな目に遭った。

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