伝蔵荘日誌

【伝蔵荘日誌】2018年6月4日:ホームページのお引っ越し T.G.

 思い立って伝蔵荘HPの引っ越しをした。手慣れたパソコン操作なので小一時間で終わる作業と高をくくっていたら、あに図らんや予期せぬトラブルし見舞われ、二日がかりの大作業になってしまった。

 伝蔵荘HPを立ち上げたのは2004年である。リタイアしたばかりでやることがなく、暇を持て余していた。暇つぶしに伝蔵荘仲間との連絡、情報共有用のホームページを作ろうと思い立つ。書店で「ホームページの作り方」マニュアル本を買って、それを参考に見よう見まねでプログラミングした。これでもプログラマの草分けの一人である。昔取った杵柄で、デザインを含めて1週間ぐらいで今の伝蔵荘HPの原型を完成させた。さっそくウエブサーバに載せようと思ったが、当時T-comと言う小規模プロバイダのADSLを使っていて、ホームページサービスがなかった。伝蔵荘仲間のOi君がビッグローブを使っていたので、彼に頼んで無料の個人ホームページエリアを確保してもらい、それに載せた。ビッグローブは日本のプロバイダの草分けで、その頃は勤めていた会社の事業部門だった。大手プロバイダらしくサービスが充実していた。いまは売却されてKDDの子会社になっている。

 しばらくして光回線が普及し始めたので、2005年にADSLからNTTのフレッツ回線に切り替えた。プロバイダもビッグローブに変更し、小生もさっそくホームページエリアを借りた。その際すぐに引っ越しておけばよかったのだが、すでに伝蔵荘仲間以外に多くの人が伝蔵荘HPを見てくれていて(ネットは実に偉大なものです!)、HPアドレス(URL)が変わると利用者に迷惑をかける。Oi君もエリアを使う予定がなかったので、そのまま14年間、ずるずると借用を続けてきた。数日前、GP生くんと終活の話をしていたたとき、身辺整理の一環で伝蔵荘HPも本来の場所に移したらどうかと言う話になった。それが引っ越し作業の動機である。

 ホームページの引っ越しは原理的には簡単な作業である。ビッグローブのサーバエリアにパソコンの中に置いてある伝蔵荘HPデータを丸ごとホストエリアに転送するだけでいい。その後、今まで伝蔵荘HPにしていたOi君のエリアを、中身を削除して空っぽにし、代わりに「伝蔵荘HP移転通知」メッセージを掲載する。そうしておけば、これを見た読者が新しいHPにジャンプし、新HPのURLをブックマークかお気に入りに入れてくれるはずだ。いつものアップデートの延長で、手慣れた作業である。あっという間に終わるはずだったが、何回やっても上手く行かない。夜中の3時を回っても失敗続きで、アップロードも削除も不完全のままである。諦めてその晩は寝た。翌朝起きて朝食もそこそこに、さっそく作業を再開する。サーバの中身がめちゃくちゃに壊れて、伝蔵荘HPが行方不明状態になっているからだ。

 結果的に分かったトラブルの原因は、作業に用いたFFFTPと言うフリーソフトにあった。FFFTPは個人が開発したFTPクライアントソフトの一つで、ホームページ運用管理の定番アプリである。多くのユーザがホームページ管理に利用している枯れたアプリである。小生も2004年以来14年間使ってきたが、今まで一度もトラブルはなく重宝していた。試行錯誤を繰り返して、やっと気づいたことは、定番FFFTPのバグの疑いである。FFFTPは利用者の多いフリーソフトだが、かなり前に開発者の手を離れ、以来メンテナンスは行われていないと言う。おそらくバグも残ったままなのだろう。

 伝蔵荘HPのアップデート作業にはFFFTPのミラーリングという機能を常用していた。ミラーリングはパソコンのローカルフォルダと、Webサーバに置いてあるホストフォルダの中身を完全に同一化するアップロード方法である。パソコン作業で伝蔵荘HPにいくつかのファイルを付け加えたり変更したりしたら、それをホストに反映する必要がある。その際ファイルを一つ一つ追加更新するのは面倒だし、手違いも起きやすい。それをまとめてワンアクションでやってくれるミラーリング機能は実に便利である。引っ越しにそれと同じ操作をしたことが裏目に出た。追加変更や削除が少量であれば問題が起きないが、大量のファイルを一度にミラーリングすると問題が起きる。小生のエリアには「伝蔵荘別館」と言うフォルダを載せてあって、それを「伝蔵荘HP」フォルダと置き換えるためにミラーリングを使った。それがいけなかった。いつもは20秒で終わるアップデート処理が、いつまでたっても終わらない。大量アップロードと削除が重なって途中でFFFTPがハングアップしてしまう。仕様で許されることが出来ないのは、FFFTPにバグがあるからだ。何度も失敗して、やっとそのことに気がついた。

 そこでホスト側の内容をすべて削除して空っぽにし、単純アップロードをする作業に切り替えた。これなら最初に伝蔵荘HP立ち上げの時の作業と同じで、失敗するはずがない。そう思っていたら、今度はその削除が上手く出来ない。何度も削除を試みるが出来ない。これもおそらく大量データ削除に関するFFFTPのバグなのだろう。ユーザがサーバの中をいじくる手段はFFFTPしかない。これが出来ないなにも進まない。今までパソコン作業で他人の手は借りたことがなかったが、このままだと長年手塩にかけてきた伝蔵荘HPがこの世から消滅してしまう。やむを得ずビッグローブに問い合わせた。

 ビッグローブサポートが教えてくれたのは、WebFTPと言うFFFTPとは別の専用Webアプリの利用である。これで削除をすれば出来るという。どうやらビッグローブはFFFTPをお奨めではないらしい。やってみたがこれも完全には削除できない。どうやっても一部が残ってしまう。WebFTPも完全ではないようだ。やむなくWebFTPとFFFTPの両方を使ってあれこれトライアンドエラーを繰り返したら、なんとか完全削除できた。分かったことは、一度にすべてを削除するのではなく、少しずつこまめに削除していくことがこつである。大量一括削除はどちらも出来ないようだ。これに気がついて少量削除に切り替えたが、なにせファイル数が4000個もある巨大HPで、時間がかかってしまった。伝蔵荘HPは古い内容を削除せずそのままにしていたので、ゴミファイルがたくさん溜まっているのだ。

 それやこれやで、想定外の二日がかりの大作業になったが、お引っ越しはめでたく完了。今この日誌を読まれている方は、新しいURLの伝蔵荘HPをご覧のはずである。ブラウザのアドレス欄を見て、URLが“http://www7b.biglobe.ne.jp/~denzaso-2/”になっているのをお確かめいただきたい。それにしてもパソコンは奥が深い。年寄りの暇つぶしと老化防止にはもってこいである。痴呆症には出来ない。

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