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2018年3月24日： 高齢者講習と老人免許 Ｔ．Ｇ． 
ＧＰ生君から電話が来た。運転免許更新のための高齢者講習を受けに行くという。二度目だがどうも記憶力に自信がないと浮かない様子だったが、受講後にかけてきた電話では100点満点だったと、打って変わって意気軒昂である。小生は84点しか取れなかったのに、大したものだ。 高齢者講習は数年前から始まった。主たる目的は認知症検査である。検査は短期記憶、日時、図形認識の三通りで、図形認識は時計の文字盤を書かせる。正常人には至極簡単なことだが、認知症になるとまったく書けなくなるのだそうだ。短期記憶テストでは16個の品物を絵を見せられ、簡単な計算問題をやらされた後、品物の名前を思い出して書かせる。小生は三つ思い出せなかったので84点だったが、100点満点のＧＰ生君は全部思い出せたそうだ。 記憶検査の出題パターンは3通りあり、警察庁のWebに掲載されている。当日どれが使われるかは決まっていない。ＧＰ生君は16個3通りのパターンをプリントし、事前にすべて丸暗記して検査を受けたという。言ってみればカンニングだが、3パターン、計48個をすべてパターン通りに記憶するのは容易ではない。認知症にはとても出来ない。当局もそれは分かっていてあえて公開しているのだろう。自分も事前勉強をやってみたが、パターンごとの品物の記憶がこんがらがって、途中でやめた。100点満点と84点の違いである。 
100点満点なのに、どうも電話口のＧＰ生君の話しぶりに元気がない。聞くと、認知症検査に合格した後、次の視力検査、実技検査に進まなければならないのだが、どこの教習所も満杯で予約が取れない。免許の有効期限が迫っているのに受講が出来ないと免許更新が出来ず、無免許状態になってしまうのだという。そんな馬鹿な話はない。国が実施する資格制度で、制度の不備で資格が取れなかったら大問題だ。タクシー運転手なら飯の食い上げになる。何か方法があるはずだと言ったが、理屈はそうだが、現実はそうなっていないと憮然としている。無免許になってしまうとは一大事だ。 3ヶ月前に自分が受講したときはそんな事はなかった。認知症検査と視力検査、実技テストをまとめて一度にやったが、どうやら制度が変わったらしい。今は認知症検査とそれ以外の検査の二段階に別れていて、第一段階の認知症検査の合格者はあらためて二段階目の受講予約をしなければならない。どの段階も予約が満杯で、免許期限ギリギリになって一段目を受講すると、二段階目の予約が何ヶ月も先になってしまって、その間無免許状態になってしまうのだという。 
制度が変わったのは、高齢者の数が講習を受託している自動車教習所のキャパシティを越えていて、どうにもならなくなったのだろう。それでやむなく認知症検査を切り離して二段階にしたのだろう。自動車教習所は本来の運転教習と免許交付が事業のメインで、手間ばかりかかって儲けにならない高齢者講習をやりたがらないらしい。それを無理やり受託させているのでこうなるらしい。要するに、受け皿の準備もせずに始めた高齢者講習が、いい加減で出鱈目な制度設計なのだ。 そもそも日本の運転免許制度は諸外国に比べて厳しすぎる。高い費用を払って5年ごとの更新を余儀なくされ、70過ぎると高齢者講習まで受けさせられる。自動車先進国のフランスやドイツは、免許は無期限で一生ものである。更新制度などない。アメリカやイギリスには更新があるが、10年に一度程度で費用もわずかである。ましてや高齢者の認知症検査などやる国はない。それで何の不都合も起きていない。日本の運転免許制度は国民に莫大な手間暇と費用負担をさせている。毎年免許取得者の5分の1が更新するから、掛け算すれば年間およそ千億円近い金を上納させられていることになる。パチンコと並んで、警察の巨大利権になっている。その上に制度の不備で無免許にされるのでは、踏んだり蹴ったり、何をか況んやである。 
最近年寄りの自動車事故がニュースになるが、統計的には高齢者の事故はそれほど多いわけでではない。若者の事故比率と大差ない。若い連中もアクセルとブレーキの踏み間違えはするし、高速道路の逆走もする。年寄りの専売特許ではない。スピードの出し過ぎや最近はやりの煽り運転により事故は若者しか起こせない。それなのに高齢ドライバーばかりを目の敵にする。高齢社会の日本は、もう少し年寄りをリスペクトすべきだ。無駄でコストばかりかかる免許更新制度や高齢者講習など、今すぐやめるべきだ。 そうこうしているうちに、再度ＧＰ生君から電話が来た。東京中の教習所に電話を掛けまくって、なんとか4月の末に予約が取れた。しかし4月半ばに免許の期限が切れてしまうので間に合わない。しばらくは無免許状態を覚悟せねばならないと、半ば諦め状態である。君も3年後は気を付けた方がいい。通知が来たらすぐに予約を入れろとサジェッションされた。こうまでして老人から免許を取り上げようというのか。これが法治国家と言えるのか。これからの高齢化日本。年寄りを虐めてどうする。金持ち老人から免許を取り上げたら、ますます車が売れなくなる。 |