伝蔵荘日誌
             【伝蔵荘日誌】

2017年5月19日: 免疫力とビタミン GP生

 3月の末のことだ。TG君からのメールで、羽鳥湖山中に独居するSa君が風邪を引き、中々快癒しない事を知った。日頃、健康を気遣い、風邪とは縁の無かったSa君だが、加齢のしからしめる結果かもしれない。積雪はあっても宅配便は届く事を知り、免疫力向上の効能を有する、幾つかの健康補完食品を送った。次いで、摂取法と機能をメールで送信した。先日、風邪が完治したSa君から、次のようなメールを貰った。

 「貴兄から説明受けたサプリメントに関する内容を詳しく知りたく、「免疫バイブル」という本を買い読んでます。WAVE出版 エレノア・レビー、トム・モンテ 共著です。ノーベル賞受賞者のポーリング博士は、1日にビタミンC 100m〜300mg摂ると、抗原を目前にしたリンパ球が活発に反応して免疫力が高まる。色々な病気の発症を抑える。HIVに関しても効果ありと述べています。高価な製品と1瓶2ドルの廉価品のビタミンCを比べたが差は見つからない、副作用に関しては1日5,000mg3年間摂り続けたが何の副作用もなかったとも書いてありました。この本には、その他、色々なサプリに関しても記述しています。」という書き出しで、ビタミンCの適正摂取量や品質、他のビタミンやタンパク質との関連、副作用の有無等の質問が続いていた。

 Sa君には次のような返信をした。

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 「ビタミンCは、免疫だけでなく体内で起きている、多くの酵素反応や代謝に関わっています。厚生労働省の基準は一日50r以上です。これは壊血病を防ぐためには、これだけ摂取すれば大丈夫だとの基準に過ぎません。血管の外膜はコラーゲンで作られいます。コラーゲンはビタミンCがないと完全な物が作れず、血液が漏れてしまうからです。

 ポーリング博士は、一日にビタミンCを10c以上、毎日摂取していたようです。分子栄養学の先駆者である故三石巌先生は、ビタミンの単独突出は好ましくないと説いています。何故か。ビタミンは単独で作用するのではなく、アミノ酸やミネラル、さらには他のビタミンとの共同作業で代謝に関わっているからです。例えば、ビタミンAの単独大量摂取は、ビタミンAの界面活性作用により、毛細血管の細胞膜を破壊し皮下出血させます。ところが、プロテインパウダーと一緒に同量を摂取しても皮下出血しません。ビタミンAが、プロテインとの共同で代謝に利用されるため、過剰なビタミンAが減少するからです。このことは、亡き母の介護中に体験しました。自宅では発症しなかったビタミンA過剰症が、介護施設では発症しました。介護施設での食事が、低タンパク質であったからと推察しています。ビタミンCは、食後に摂取して下さい。食物の栄養源との共同作業で有効に使われるからです。空腹時に摂取しないことです。

 ビタミンCの過剰分は尿と一緒に排出されます。ビタミンCは水溶性だからです。同じ水溶性のビタミンB群も、毎日、摂取する必要があります。ビタミンA、Eは脂溶性ゆえ、尿による排出は有りません。ビタミンAの過剰分は肝臓に蓄積され必要に応じて使用されます。ですから、通常の食事をしていれば、ビタミンA不足が生じる事は少ない筈です。

 ビタミンB1は糖質の分解に関与します。糖質は分解酵素によりエネルギーに変換されます。この酵素はアミノ酸とビタミンB1により作られますから、ビタミンB1が不足すると糖質の分解が出来ず、乳酸などの疲労物質が溜まり、疲れやすくなります。ニンニクはスタミナ食として知られていますが、ニンニクに含まれる物質が、ビタミンB1と結合して長く体内に留まり、ビタミンB1を長時間利用できるからです。この物質はニンニク独特の臭いの元になっています。

 ビタミンB2は脂質の分解代謝に必要です。B2が不足すると脂質がエネルギー源として利用できず体内に溜まる事になります。ビタミンB2の欠乏は、口内炎や口角炎として現れる事が知られています。ビタミンB6はタンパク質の分解に必要です。又、分解生成物のアミノ酸を合成して、他のタンパク質を合成する時に必要とされます。ヘモグロビン、抗体、インシュリン、神経伝達物質の合成等です。タンパク質を多く摂る人ほどB6は必要になります。

 ビタミンC一日当たりの摂取量は、最低でも2,000rは必要と考えています。私は、三食毎に2,000rをプロテインと一緒に摂取しています。一日6,000rになりますが、トイレで排尿を観察して真っ黄色の尿であれば、過剰分が排出されている証拠で、体内での不足はない事になります。ちなみに、尿がオレンジ色の時は過剰のビタミンB群の排出です。ストレスが重なったり、風邪を引いたりした時には、同量の摂取でも尿は無色に近づきます。

 ビタミンの必要摂取量は個人差が極めて大きいのが特徴です。ビタミンA、Eは10倍、Cは10〜100倍の個人差があると言われています。体内の代謝は全てDNAによりコントロールされています。このDNAの働きは、個人差が極めて大きいからです。ですから、故三石巌先生は、メガビタミン摂取を唱えています。個人差だけでなく、身体の色々な状況変化により、ビタミンの消費量が変わります。如何なる変化に際しても、不足がないようにするには、大量のビタミンを常時摂取する必要があると考えたからです。但し、ビタミン類を単独に摂取するのではなく、アミノ酸、すなわちプロテインとの同時摂取が必要です。ビタミンは、アミノ酸との共同作業での利用が多いからです。私が、プロテインやビタミン類の摂取を始めて、今年で20年になります。この間、摂取量を色々試みました。現在の摂取量は安定しています。試行錯誤の結果です。この間、風邪やインフルエンザに罹患したことはありません。免疫力が維持されと信じています。

 先日送付したメグビー社のMIXは、ビタミンC2,000r、ビタミンB1,B2,B6は15r、B12は90マイクログラム、他に葉酸、ビオチン、ナイアシン等水溶性のビタミンの仲間が含まれています。「プロテインパウダー+MIX」のドリンクを「人フード」と呼んでいます。ドッグフード、キャットフードが犬、猫に適した餌であるように、「人フード」は、人に必要な最低限の栄養素が含まれているとの意味で名付けられました。疲れた時、体調不良時の「甘酒+アミノ酸液+MIX」ドリンクは、即効性の高い疲労回復剤になります。家人の愛用ドリンクです。この「人フード」は、人体の栄養源としては、必要条件であって、十分条件ではありません。この辺の事は、別の機会に譲ります。

 同じく、DRINKはビタミンCが3000r、B1,B2、B6は、それぞれ10rです。MIXよりCが多く、B群が少なくなっています。我が家では、MIXは「人フード」として摂取し、DRINKは風邪気味、ストレス過大等の時に、飲むヨーグルトに溶かしスポット的に飲んでいます。ビタミンCの摂取量が2,000r以下であれば、単独摂取は過剰とは考えていません。

 市販のビタミンCは合成品です。Cは構造が比較的シンプルのため、合成時にビタミンEの様に異性体が産生されないからです。ただ、購入する時は、名の通ったメーカーの品物を選択して下さい。メグビー製品の価格が高いのは、各種のビタミンが含有されていることと、製品の質が高いからです。プロテインは目的に応じて各種栄養素が含まれている物が多いようです。含有成分とメーカーを確認して、好みの物を選択すれば良いと思います。

 「免疫バイブル」を買われたとか。分子栄養学の師、亡き三石巌先生座右の銘は、「生涯学習者たれ」です。ご自愛を願っています。

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 人は加齢の進行と共に、身体機能が衰えてくる。後期高齢者になれば、なおさらのことだ。筋力、視力が衰えても致命傷にはならないが、免疫力の衰えは命にかかわる。高齢者の多くは、肺炎によりこの世を去っている。高齢者の免疫力低下は、肺炎に直結するからだ。亡き母は、介護施設から戻ってくると肺炎の発症が多かった。施設での食事の質と感染によるものと推察出来た。高齢者にとって、免疫力低下の防止は喫緊の課題であろう。Sa君は、自身の風邪を契機として、免疫力の学習を始めた。高齢者の鑑である。己を救うのは、己の努力しかないと信じるからだ。

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