伝蔵荘日誌
             【伝蔵荘日誌】

2017年4月14日: 米空母打撃群が朝鮮半島へ T.G.

 BSフジのプライムニュースを見ていたら、コメンテーターの櫻井よしこ氏が嘆いていた。日本に未曾有の危機が迫っているというのに、7時のNHKニュースではトップニュースが真央ちゃんだと。他のテレビ局も同じで、どのチャンネルに回しても浅田真央の引退会見ニュースで持ちきりである。朝鮮半島危機なんてゴミ記事扱いである。しばらく前は森友問題で明け暮れていたが、今度は真央ちゃん引退。マスコミはお花畑状態で、緊張感のなさは依然として変わらない。新聞テレビを見ていると、差し迫った朝鮮半島危機はシリア空爆と同じで、どこか遠くの国の話のように聞こえる。

 日誌のタイトル「米空母打撃群が朝鮮半島へ」は現在炎上中の2チャンネルニュースから拝借したものだ。現在このニュースはスレッドが136に伸びており、まさしく炎上中である。ノー天気なテレビ新聞とは異なり、ネットの世界では朝鮮半島危機とそれに付随して引き起こされる日本の危機が最大の関心事になっている。真央ちゃんは2チャンネルではほとんど話題にならない。ゴミ扱いである。報道のあり方としてどちらがまともなのか。

 ヤフーニュースによれば、民進党が国会で米のシリア攻撃について首相を追及している。安倍がトランプのシリア空爆を支持したことに対して、シリアが化学兵器を使用した証拠を示せと執拗に責め立てる。朝日新聞もシリアには化学兵器の倉庫はないと、アメリカ非難の報道を続けている。この連中は日本の安全保障は眼中にないのか。アメリカの正義などどうでもいいことではないか。心配すべきは日本の安全ではないのか。

 少しでも歴史を学べば分かることだが、古来戦争と外交には倫理や正義はない。あるのは損得だけである。どこの国も倫理や証拠に基づいた正義の戦争などやらない。戦争の動機と目的は、自国にとって損か得かだけだ。アメリカの戦争のやりかたを見ていると、すべて自分の都合と損得だけで動いている。国連決議なんて戦前も戦後も当てにしたことはない。ベトナム戦争然り、イラク戦争然り、遡れば太平洋戦争だって然りである。いずれも自分勝手で出鱈目な大義名分をでっち上げて、やりたい戦争を勝手に始めた。今回のシリアも同じである。シリアが化学兵器を使った証拠などあるわけがない。それを日本の総理大臣に求めるのは、八百屋で魚を注文するようなものだ。無意味を通り越して茶番である。こんな愚かな連中が国会議員であり、日本のクオリティペーパーだと思うと情けなくなる。いったい彼らには危機感がないのか。国家安全保障は眼中にないのか。

 アメリカの正義はどうあれ、金正恩が核開発に突っ走り、それを中国が止められず、危機感を抱いたアメリカが、中堅国の軍事力に匹敵する強大な空母打撃群を、同時に2セットも朝鮮半島周辺に配備するのはただ事ではない。まさに一触即発のチキンレースである。仮に有事になれば、日本にとって戦後最悪の安全保障危機と言って過言でない。へなちょこミサイルの二発や三発は飛んでくるだろう。その結果大勢の日本人が死ぬだろう。うっかり原発にでも当たれば、福島の二の舞だ。この時期に6万人の日本人が呑気に韓国に滞在していると言うが、半数は死ぬか帰ってこられないだろう。万単位の南北朝鮮難民が日本海沿岸に押し寄せて、大混乱になるだろう。そういう危機に対処する議論が国会でもマスコミでも一向に起きない。朝から晩まで真央ちゃんがどうの、森友がどうの、シリア空爆の証拠がどうのと、どうでもいいノー天気なワイドショーに明け暮れている。

 アメリカの正義がどうあれ、半島有事になれば、国の安全保障を委ねているアメリカに日本は同調しなければならない。米軍主導のもとで自衛隊が共同作戦をとらざるを得ない。肝心のミサイル防衛は、自衛隊単独では戦力不足、弾不足でクソの役にも立たない。アメリカが敵地攻撃に踏み切れば、日本の自衛隊は超法規的に協力せざるを得ない。9条を言い訳にやらなければ、日本は見捨てられる。アメリカにとって、日本人が何人死のうが、第二の福島が出来しようが、知ったことではないのだ。先の安保法制審議では、民進党や朝日、NHKが集団的自衛権は憲法違反とあれほど騒ぎ立てたが、その仮想事態が現実となって押し寄せている。九条命の民進党や朝日、NHKはこの危機にどう向き合うのだろう。いまだに平和憲法大好きな日本人はどう振る舞うのだろう。戦後最大の危機を前にして、ここ一番が日本の踏ん張りどころだ。

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