伝蔵荘日誌
             【伝蔵荘日誌】

2017年3月4日: 支持率低迷の民進党はどこへ向かうのか T.G.

 民進党が連日森友学園にからむスキャンダルを国会に持ち込み、安倍攻撃に血道を上げている。こんな低次元な国会論争をしていて、国民の支持が得られるはずがない。今や盤石の安部政権にこの程度の問題で打撃を与えられると思っているのだろうか。マスコミの世論調査によれば、森友スキャンダルにもかかわらず、自民党の支持率は50%近い高水準を維持している。特に20代、30代の若い人の支持が高い。それに対して民進党の支持率は漸減している。直近のNHKの調査ではわずか6.4%で、4.2%の共産党に肉薄される始末である。6年前に政権を担っていた政党とは思えない。

 前にも書いたが、日本の政治の一大欠点は政権交代が無いことである。アメリカで稀代の大統領トランプが誕生したのは、政権交代可能な民主、共和2党が互いに切磋琢磨しているからだ。イギリスやドイツ、フランスにもしばしば政権交代が起きる。一党独裁の中国にしても、激しい権力闘争による政権交代がある。ないのは日本だけだ。政権交代可能な野党がないからだ。9年前に一度だけあったが、政権政党とは思えぬお粗末な政治運営で、国家安全保障の基盤である日米同盟が毀損し、円高株安で経済が破綻しかけた。それに懲りた日本の有権者は、以来民進党を見限った。多少の不満はあっても自民党がいい。安心できると思っている。それが今の支持率の状況だろう。

 3日付けのヤフーニュースに「支持率低迷の民進党はどこへ向かうのか 野田佳彦幹事長に聞く」と言うインタビュー記事が載っている。それを読むと、首相経験者とはとても思えぬ、大局観を欠いた稚拙な発言に終始している。記者に党勢回復策を聞かれた元首相の大物幹事長が、肝心要の政策について何も語らず、枝野、前原、細野などの政党幹部を表舞台から引っ込め、支持率稼ぎに蓮舫などと言うきわもの客寄せパンダを神輿に担ぐ。これでは支持率が伸びるはずがない。

 最初にトランプ米大統領と安倍首相との日米首脳会談について聞かれ、「(入国禁止大統領令と言う)国際社会が共有している懸念に、日本だけ「ノーコメント」ではおかしい。コメントすべきことはしなくてはいけない」とケチをつける。それならどうコメントするのか。懸念を共有する国際社会とは何を指すのか。カナダなど一部の国とトランプ嫌いのマスコミだけではないのか。それに対して、対中国の国土防衛をアメリカに依存せざるを得ない日本の総理大臣がどうコメントするというのか。客寄せパンダの蓮舫ならいざ知らず。一時は日本国の屋台骨を背負っていた男の口から、この程度の評論家まがいの批判しか出てこないとは呆れる。もう少し気の利いたことを言えないのか。

 昨年夏の衆院選挙で行われた共産党との野党共闘について聞かれ、「野党間の覚書で次の(蓮舫体制の)衆議院選挙でもできる限りの協力を行う合意をしている」、「野党がバラバラは自民・公明に勝てない。すみ分けで一番強い候補を選び、与党に対峙する。」と答えている。その共産党が共産、民進の連立政権構想(国民連合政府)を言い出していることに対しては、「安全保障、社会保障、教育、エネルギーなど主要な分野で理念や基本政策が一致しない政党と連立政権は組めない」と答えている。そんなおかしな話があるはずがない。票ほしさに選挙の時だけ理念や基本政策が異なる政党と手を組み、政権を取ったらそれを排除する。そんなご都合主義が通るはずがない。金を振り込ませたらトンズラするオレオレ詐欺に近い。とてもじゃないが、政権を目指す政党のやることではない。

 支持率低下の理由を聞かれ、「支持率が落ちた明確な理由がわかりません。ただ、安倍政権に不満をもっている層も一定層いるはずなのに、その層を引きつけられていないのは、一番反省しなければいけないところです。」と答えている。理由は分かっているではないか。まさに「安部政権不満層を引きつけられないこと」なのではないか。さらに加えて、「おそらく現実的な政策で安心感があるかどうかじゃないですか。たとえば、日米関係や自由貿易を踏まえた戦略をもっているかなど、われわれにもそうした政策は多数あります。しかし、そうした部分が伝わっていない。」と答えている。語るに落ちるとはこのことだ。日米関係や自由貿易の戦略を持っているならそれを訴えればいい。訴える場所は国会である。その国会で安全保障や経済政策をほったらかして、愚にもつかぬ森友学園攻撃に明け暮れる。これでは政策に関する国民の理解は得られない。

 「(首相経験者である)野田さん自身と比べて、安倍首相の政権運営をどう思われますか」と聞かれ、「長期政権のコツがわかりましたよ。消費増税とか、国民の痛みを伴う法案を先延ばしすればいいんです」と、引かれ者の小唄のような捨て台詞を吐く。呆れてものが言えない。首相経験者の認識がこれでは、政権奪取など出来るはずがない。重ねて「4年間で110カ国を訪問した安倍外交は、総額54兆円の小切手外交だ。金をばらまけば誰だって歓迎する。そんな外交が日本の国民のためになっているのか、有権者に判断してもらわないといけない」と愚答を重ねている。安倍外交を小切手外交と揶揄するマスコミに幻惑されて、多くの国民が安倍外交を高く評価し、それが高支持率につながっていることに気がついていない。と言うか都合よく忘れている。この調子では政権交代は百年先だろう。

 インタビューの最後で、記者に「蓮舫代表で勝てますか?」と、支持率に関する最重要事項の念押しをされ、「リーダーとして進化するタイプ。まだ若いし伸びしろがある。彼女を総理にするような戦い方じゃないと勝てません」と答えている。今しばらく自民党政権で我慢するしかなさそうだ。

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