伝蔵荘日誌
             【伝蔵荘日誌】

2016年1月17日: 暖冬の伝蔵荘 T.G.

【まったく雪がない今年の伝蔵荘】

 スキーをやりたいという友人3人と伝蔵荘へ出かけた。小生自身はスキーをまったくやらない。冬の伝蔵荘を楽しむのが目的である。昨冬と違い雪が全くない。暖冬のせいだろう。それでも標高1200mはさすがに夜になると寒い。暖炉を焚いて石油ファンヒータを全開にしても室温が10度を超えない。外は零下7〜8度だろう。ヒーター脇の窓枠に手を当てると、隙間から寒風が吹き込んでいる。伝蔵荘を建ててから今年で44年になるが、安普請の建物が傾いて、窓枠がきっちり締まらなくなっているのだ。荷造り用のガムテープで窓の隙間をペタペタ塞いだら室内温度が20度近くに上がり、やっと暖かくなる。

 夕食のメニューは麓のスーパーつるやで買った食材を使った鶏鍋。テレビの料理番組で憶えたレシピである。鶏の挽肉に生姜とネギみじん切りを混ぜたつみれを作り、小松菜、舞茸と一緒に土鍋で煮る。味付けは味醂と醤油。煮えたところへ摺り下ろした山芋を上からかける。ほどよく固まった山芋の食感がなんとも言えない。食べ終わったら残り汁を雑炊にして、溶き卵でとじる。これがまた絶品。我ながら上出来と思ったが、食べ慣れない味ためか、友人達の評価はイマイチである。それでも菊秀の純米大吟醸と合わせるとなかなかのご馳走になった。

【まったく同じ時期の昨年の伝蔵荘】

 友人達がスキーに出かけた後、暖炉の前のデッキチェアで、終日モーツアルトを聴いたり、本を読んだりして過ごす。これを二日間続けたらノンビリし過ぎで神経が弛緩してしまった。安物のオーディオ装置なのに、家で使っているはるかに高級なシステムよりいい音に聞こえるのはどうしたことか。音楽は気分次第と言うことだろう。
 管弦楽が最高潮に達したところで、スピーカーにブツブツ雑音が混じる。耳障りである。カバーを外してみると、ウーファーの接着剤が剥がれてコーンがプカプカ浮いている。安物だが一応インフィニティである。とうとう壊れたか。ダメもとで絆創膏を張って止めたら元のいい音に戻った。パソコンと違って、アナログ装置は分かり易い。

【冬なのに凍結しない松原湖】

 夕方、小海リエックスのスキー場に友人達を迎えに行く途中、松原湖畔を通る。ほとんど凍結していない。いつもは氷の上にテントを張ってワカサギ釣りをしているが、まったく見かけない。釣り客相手の湖畔の民宿は、客が来ないので大困りらしい。
 スキーを終えた友人達と落ち合って、リエックスホテルの温泉に浸かる。ここの温泉は10年以上前に掘削したものだが、八ヶ岳には珍しく湯温が源泉で49度もある。稲子湯など、このあたりの温泉はほとんどが冷泉で、熱い温泉は珍しい。露天風呂から佐久平が一望できて、なかなかの景色である。浅間山が白い噴煙を上げている。
 帰途、麦草峠への分岐まで車で上って、八千穂スキー場経由で伝蔵荘に戻る。いつもなら全面凍結した積雪路だが、今年は雪が皆無で路面が乾いている。伝蔵荘が出来て44年になるが、こんなに雪が少ない年は記憶にない。友人達の話ではコースはすべて人工雪で、コースの両側にまったく雪がない。滑っていて妙な感じがしたという。

 この日記を書いている途中テレビを付けたら、今夜から明日にかけて関東甲信越は大雪だという。群馬、長野に大雪注意報が出ている。明日の伝蔵荘は雪に埋もれているだろう。

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