伝蔵荘日誌
             【伝蔵荘日誌】

2014年6月11日: 老化と世相への関心 T.G.

 GP生君の日誌が、最近どうも抹香臭くなっているので気になっていたが、小生自身もとんと執筆意欲が薄れいる。帯状疱疹以来、かれこれひと月以上何も書いていない。書いているGP生君よりよほど悪い。世情に前ほど関心が湧かなくなっている。新聞も見出しだけで何が書かれているか分かるので、最後まで読まない。パラパラと見出しだけ見て、5分もあれば読み終わる。これでは金を払って購読する意味がない。以前は書かれていることにいちいち腹が立って日誌に書いたものだが、最近はそう言う気力がなくなっている。どうでも良くなっている。GP生君は帯状疱疹の後遺症ではないかというが、確かにそれもあるだろう。開業医のNa君に、帯状疱疹は老化が原因だと言われた。

 これではいかんと気を取り直し、今日の新聞の見出しに感想を書いてみる。読むのはネットの新聞。ネットがあれば紙の新聞は要らない。そのうち取るのはやめよう。

 まずは朝日新聞。ヘッドラインは「公明と学会の関係、政教分離見解見直しも 飯島参与言及」
 創価学会の圧力を受けて、公明党が頑として集団的自衛権の議論に乗ってこないのは政教分離の原則に反していると、内閣参与が批判したと言う記事である。憲法改正と集団的自衛権が死ぬほど嫌いな朝日にしては、珍しくその再々批判が書かれていない。何か魂胆があるのだろう。

 この問題は先が見えている。今日本が抱える最重要課題は国家安全保障である。9条改正は時間がかかるので、安部政権はとりあえず集団的自衛権で間に合わそうとしている。今国会の会期内に閣議決定が出来ないと、それすら遠のく。閣議決定が不成功に終われば、おそらく安部は公明との連立を諦めて解散総選挙に打って出るつもりだろう。先日の維新の会の分裂騒動はその事前工作だ。公明と手を切ったあと、石原新党との連立で頭数を補うつもりだろう。そもそも水と油の自公連立が無理なのだ。秋の解散総選挙は間違いなさそうだ。

 次いで読売新聞。「ユネスコを政治利用…菅官房長官が中国に抗議」
 中国が南京事件と従軍慰安婦を世界記憶遺産に登録申請したことへの批判記事である。中国の魂胆は分かるが、それにしても無関係の従軍慰安婦まで持ち出しての連れションは、韓国に対する引力か。ブラックホールか。韓国危うし!

 それにしても百年も前のことを引き合いに出して外交攻勢をかけるとは、どう言うつもりだろう。アナクロニズム以外の何ものでもない。百年前は歴史である。歴史に善し悪しはない。歴史を持ち出して他国批判をするのは、世界広と言えど中国と韓国だけだ。トルコやアラブ諸国がアラビアのロレンスを持ち出してイギリス非難などしない。テキサス人が南北戦争を持ち出して北部批判はしない。戊辰戦争で痛めつけられた会津が、鹿児島、山口の悪口は言わない。中韓両国は歴史が何たるか分かっていない。だから千年も恨み続けるなどと馬鹿を言う。

 次いで産経新聞。「4千人で宗教団体本拠地を家宅捜索 大統領の怒り受け運航会社会長追跡」
 旅客船沈没事故の大騒ぎである。こういう事態にならないと、こういうことはしない。泥縄の典型である。この宗教団体の会長は豊富な資金で政財界から警察司法まで抱き込んでいるという。だから逃げ続けられるのだという。この国は一部財閥と宗教団体に牛耳られている。だから大統領が怒り狂ってもどうにもならない。おそらく大統領筋にもしこたまばらまかれていたのだろう。

 テレビニュースで見ていると、起訴された船長と乗組員の罪状は殺人罪だという。いくらなんでもそれは無理だろう。殺人罪とは意図して死に至らしめる犯罪である。いくら船長が出鱈目であったとしても、殺人の意図があったことを証明するのは不可能だ。殺す意図は心の中の問題で、第三者が証明出来ない。日本や欧米のような先進法治国家なら、まず殺人罪での起訴には至らない。業務上過失致死がせいぜいだろう。殺人罪では検察側が負けるに決まっているからだ。気持ちは分かるが、世論の圧力で司法を曲げるのは法治国家とは言えない。報道によれば、今度の事件向けに複数の罪状の刑期を合算する法律を準備中という。死刑が無理なら懲役100年にしたいということである。事後法は法治国家のタブーである。これを平気で繰り返すこの国ははたして先進国といえるのだろうか。

 次いで日経新聞。「口座残高が突然ゼロに 偽の画面で暗証番号盗む」
 いわゆるフィッシング詐欺の記事である。これがトップニュースとは、さすが株屋の新聞だ。フィッシングとは魚釣りの意である。見え見えの針に引っかかる愚かなな魚の話である。偽画面を表示して、ID、パスワードを入れさせる。半プロがやるネット証券では少なく、メガバンクの素人ネットバンキング被害がほとんどだという。オレオレ詐欺の被害者はご老人達だが、ネットバンキングをやるのは働き盛りの壮年だろうに。インターネットが怪しげな魑魅魍魎の世界だと言うことを知らない。知っていて引っかかるのは単なる馬鹿だ。

 公平を期すために毎日新聞。この新聞は普段は読む気が起こらない。グダグダと愚にもつかぬ記事ばかり書くからである。朝日と同じく潰れる寸前の新聞だ。「特集ワイド:W杯開幕直前、盛り上がるのはデモやスト どうしたブラジル」
 これが日本の三大新聞のトップニュースと言うから呆れる。記事内容は読まずとも分かる。見出し以上の内容はない。ブラジルの人達は、ワールドカップに使う金があれば医療や教育や貧困対策に廻せとお怒りだという。後進国の貧乏人は、金は天下の回りものと言うことが分からない。オリンピックやワールドカップの経済効果が、回り回って彼らを潤すという経済原理が分かっていない。貧乏な国がいつまでたっても貧乏な理由である。

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