伝蔵荘日誌
             【伝蔵荘日誌】

2013年10月12日: 今年の伝蔵荘のキノコ T.G.

 今年は松茸の当たり年だそうだが、伝蔵荘のキノコも大豊作である。このところ毎年キノコの出来が芳しくなく、伝蔵荘でのキノコ狩りは誰もやらなくなっていたが、今年は小屋の周りにいくらでも生えている。手を伸ばせばいくらでも採れる。伝蔵荘が出来て50年近くになるが、こんな事は初めてである。これは栗茸。栗色をしているからそう呼ぶのだとうちのキノコ通のMa君は言う。正式名は分からない。大量に食べると下痢をすると言うが、少しなら構わないそうである。栗茸なのに、なぜか落葉松の根元に密生している。これが松茸なら軽く10万円ぐらいするだろう。

 これは楢茸。楢の木で育つのだろう。いかにもキノコらしく、切り株に密生している。天然の舞茸は、人知れぬ奥深い山中にこんな風に生えているらしい。天然の舞茸は味と香りが素晴らしく、松茸以上だという。スーパーで売られているやつとは別物である。山中でこれを見つけると、舞い上がって喜ぶところから付いた名だと言う。町のスーパーではまず見かけないが、田舎の農産物直売場などで時々見かける。値段は確かに松茸並みである。まだ食べたことがない。伝蔵荘の庭にも生えないものか。


 採ったキノコをベランダに並べる。いつもの落葉松林の定番、リコボウはこの中に入っていない。とっくに茹でて、大根下ろしと甘味噌和えにしてある。ビールのつまみにとても良く合う。リコボウの正式名はハナイグチ。唐松林だけに生える。伝蔵荘の周りはリコボウだらけである。

 味噌和えの中に栗茸が混じっていて、口に入れると少し苦い。以前、信州育ちでキノコ通のMa君から、栗茸とそっくりな苦栗茸と言うのがあって、食べると苦い。下痢をするから食べない方がいいと言うのを聞いていた。これは苦栗茸じゃないかと糺したら、もう多少酔っぱらっていたMa君が、「俺の目に間違いはない。これは栗茸だ。栗茸も多少は苦みがある。」と自信たっぷりに言うのでそのまま飲み込んだ。食事が終わって2時間ぐらい経ったら、突然猛烈な下痢が始まった。二度ほど下して、腹の中が空っぽになったら治まった。その間、腹痛も不快感もない。ただ下すだけ。ものすごい効き目の下剤である。これで下剤を作ったら売れるのではないか。

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