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2013年3月23日: サイバー攻撃とコピー大国韓国の行方 T.G.

 さる20日、韓国がいずこからのサイバー攻撃を受け、大騒ぎになった。金融機関、放送局、などのパソコンやサーバーが一斉にダウン、銀行のATMが一時使用不能になり、KBSなど放送局の業務用パソコンが動かなくなったという。使用不能になったパソコン、サーバーは3万2千台に達したと言うから穏やかでない。南北の緊張高まる今、韓国政府はさっそく北朝鮮による攻撃だと言い出している。しかし、攻撃目標が軍や政府機関でなく、銀行、放送局だけというのは何となくおかしい。違和感がある。はたして北朝鮮がそんなところを攻撃の第一目標にするものだろうか。

 このサイバーアタックをつぶさに見ると、他にもおかしな点がいくつかある。ダウンしたサーバーやパソコンは非正規のWindowsマシン、いわゆる海賊版のWindowsに限られていて、Macや正規品のWindowsパソコンには被害が及んでいないことだ。そのことは、韓国はもちろん、なぜか日本のNHKや民放、新聞など、大手マスコミはは一切報道を伏せているが、インターネットマスコミでは話題になっていて、記事もたくさん出ている。

 その一つ、IT専門誌の日経ITProによれば、サイバー攻撃の状況を次のように説明している。

 パソコンを使っている人なら誰でも知っているが、Windowsにはバグ(不良箇所)とセキュリティホールが沢山あり、マイクロソフトが毎日しらみつぶしに修正している。それをWindows Updateと言うサービス機能でインターネットを通じて一斉配布している。このサービスはきちんと金を払って購入した正規版Windowsしか受けられない。ところが韓国には、いわゆる非正規の海賊版Windowsがたくさん出回っていて、そのサービスを受けることが出来ないのだと言う。海賊版ユーザである銀行や企業や官庁は、やむを得ず自前のアップデートサービスをしている。マイクロソフトが発表したアップデートをいち早くコピーし、それを自前のサーバで配下の非正規、海賊版パソコンにサービスしているのだという。

 今回の攻撃ウイルスはこの海賊版アップデートサーバーが狙われたらしい。そんなところへウイルスを仕込めば、水源地に病原菌をばらまいたのと同じある。たちどころに数多くの海賊版パソコンが汚染される。効果絶大、ハッカーの目の付け所が秀逸である。

 Windows UpdateはWindowsのコア部分を書き換えるサービスだから、これにウイルスを仕込んだら効果てきめん。究極のサイバー攻撃である。日本で話題になっている遠隔操作ウイルスなんて、これに較べたら可愛いものだ。このウイルスはWindows制御の中核であるMBRという基本部分を破壊し、ハードディスクの内容を全滅させるものだという。修復にはWindowsの再インストールとデータファイル修復という至極面倒な作業が必要である。攻撃されたKBSでは500台のパソコンが破壊されたと言うから、気の遠くなるような修復作業だろう。復旧に数日かかると言うが、無理もない。

 それにしても今回の攻撃だけで3万2千台ものパソコン、サーバーが破壊されたというのは尋常ではない。おそらく韓国にはその何十倍もの海賊版Windowsパソコンが存在するのだろう。役所や企業を含め、社会がそれで成り立っているのだろう。日本では低価格のDSP版Windowsでも1万5千円するが、韓国では海賊版が千円で買えるのだという。だから誰も正規版を買わない。アメリカ商務省は韓国に対し、知財権違反での提訴も視野に入れているという。

 聯合ニュースによれば、韓国軍はマイクロソフトから約2100億ウォン(141億円)のソフト使用料を要求されているが、あまりに高額で支払えていないという。韓国軍が使用している21万台のWindows機はすべて自前アップデートサーバーに接続されていると言うから、ほぼ全部が不正コピーの海賊版なのだろう。最も信頼性を要求される軍がこれだから、普通の役所や企業は推して知るべきである。これがITご自慢の韓国の実態なのだと言うから呆れる。知財権など眼中にないコピー大国なのだ。日本も20年ぐらい前までは、企業におけるソフト不正使用が問題になったことがあるが、今はほとんど聞かない。ソフトウエア知財権の理解が進んだからだ。

 ウエブ雑誌の現代ビジネスに、グーグルに関する興味深い記事が載っている。それによれば、グーグルは今一世を風靡しているモバイルOSアンドロイドの事業責任者を更迭し、ブラウザOS、Chrome事業に統合するのだという。スマホの覇者iPhoneは、スティーブ・ジョブズ亡き後低落傾向にある。今ではシェア19%に落ちている。それに対してアンドロイド機は70%。iPhoneを押さえてスマホ界のトップシェアに躍り出た。その絶頂期のアンドロイドの責任者更迭劇は腑に落ちない。

 この記事ではその理由をサムスン叩きにあると分析する。サムスンはかねてアップルのiPhone用CPUの下請けをしていた。それを丸ごとコピーし、無償で使えるアンドロイドOSと組み合わせて、iPhone対抗のギャラクシーを売り出した。アップルしてみれば飼い犬に手を噛まれたようなものだ。世界中で知財権侵害の裁判が起きている。ギャラクシーは日本でもドコモが販売している。これが世界的に大当たりし、iPhoneを打ち負かしたが、それが嵩じて今度は宿主のグーグルを脅かしはじめた。液晶テレビのソニー、シャープと同じパターンである。アップル潰しが目的だったグーグルは、増長するサムスンにこれ以上塩を送る必要がない。サムスンが飼い主の手を噛む癖犬であることはとっくに承知である。これ以上アンドロイドに注力しても、世界企業グーグルの膝元が脅かされるだけだ。サムスン潰しのためのアンドロイドからの撤退。それが今度の更迭劇の真相だいうのだ。

 それにしても韓国というのはおかしな国だ。日本を追いかけ、汗水垂らして技術を丸ごとコピーし、ソニーやパナソニックやシャープを壊滅させた。にもかかわらず、いまだに独自技術のテレビや半導体は作れていない。作る気もない。アップルとグーグルの基幹技術を丸ごとコピーし、世界のスマホ市場を席巻した。しかしながらギャラクシーのどこを見ても、独自技術は影も形もない。グーグルがサムスン潰しのためにアンドロイド開発から手を引いたら、もうギャラクシーは作れない。サムスンには莫大な金と技術が要るスマホOSは作れないし、作る気もない。ソニー、パナソニックが技術開発をやめたら、もうコピーするお手本はなくなる。液晶テレビもスマホもDRAMも、そこで行き止まりだ。自動車も同じである。 ヒュンダイの車は最初三菱車のコピーで始まったが、今ではトヨタ、ホンダのクソ真似である。並べて置いたら見分けがつかない。ほかの産業も似たようなものだ。この国はいつまでこういうコピー作戦を続けるつもりなのだろうか。

 寄生虫は宿主に依存して生きている。宿主を死なせたら生きながらえられない。宿主を殺すほどに生長する気なら、宿主が生きているうちに自立を計らねばならない。それにはコピーをやめて、独自の研究開発に金と汗をつぎ込む必要がある。しかしながら韓国という国は、いつまでたってもそれに乗り出す気配がない。海賊版パソコン、サーバで国を動かしている様子は異様である。とても知財権を大事にする技術先進国とは思えない。サムスンの戦略を見ていると、すぐに利益につながらない研究開発には金をかけず、もっぱら安い模倣品を作って、販売戦略で売りまくるだけに見える。今回のサイバー攻撃は、そう言うコピー国家の根源的欠陥を巧みに突いた作戦と言える。

 韓国が日本に追いつけ追い越せで頑張る気持ちは分からぬでもないが、大統領就任式で、隣国に千年謝り続けろなどという、異様な女性大統領はさておき、このコピー性根が治らないうちは、この国はいつまでたっても真の先進国にはなれないだろう。

 

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