2013年1月7日: 高齢者にとっての減量を考える GP生 ![]() 大分前のメールでは、体重が少し増えたのを気にしていて、如何したら良いかとの問い合わせがあった。この時は、「食事を朝・昼を重くして、夜は軽めに。アルコールはホドホドに」と返信をした。彼の体脂肪が20%以下なので、敢て特別な減量をする必要は無いと思っていたからだ。 けれど、何らかの減量作戦が裏目に出た感じだ。今回の問い合わせには、以下の様に回答した。 -------------------------------------------------- 体重の減少が体脂肪の低下によるものであれば、目出度しなのですが、高齢者には、そうは問屋が卸してくれません。減量を試みた時食生活が低タンパク食になり、運動量が低下すると、筋肉量が減少して体脂肪が変わらないまま、体重のみが減少する結果になりがちです。これ等の原因と対策は以下の通りです。 ![]() 高齢者に限らず、低タンパク食が続くと、人体は生命活動に必要なタンパク質を、あまり利用しない筋肉から引き抜きます。生きている限り動き続ける心筋のタンパク質は無事ですが、運動をしない筋肉が狙われます。消化酵素やインシュリン等は一日も休まず必要とされます。これ等は、摂取したタンパク質を分解して作られたアミノ酸を主材料として合成されます。共同因子として各種ビタミンやミネラルが必要なことは論を待ちません。 人体の生命活動は2000種を超える酵素により営まれていると言われています。 これ等の基本材料は全てタンパク質です。 食物からの供給が不足すれば、人体が不要と判断したタンパク質を引き抜き、分解して再利用します。 これ等から合成されたタンパク質は謂わば古材です。古材だけで建てた家は、欠陥住宅になりかねません。身体を削られたうえに、出来た酵素が欠陥品では浮かばれませんね。人体に新品のタンパク質を供給することが、健康への必要条件です。 ![]() 問題は肉に付随する飽和脂肪酸にもあるようです。飽和脂肪酸の摂取の多い人は、乳ガンや前立腺ガンが多いとの報告もあります。 高齢者にとって、飽和脂肪酸の過剰摂取は血流を妨げ、内臓脂肪の増加を促します。不飽和脂肪酸が少なく、飽和脂肪酸の多い食事を続けると、細胞膜の流動性が低下したり、微小ホルモンの産生に影響が出たりで、いづれにしても、良いことはあまりありません。脂肪抜きで牛・豚肉を食することは難しいですね。霜降り牛に至ってはお手上げです。 ガン患者のタンパク源は鶏卵・鶏肉・魚を主体にしている様です。 ![]() それに、年寄りはアッサリ食を好むようになるので、タンパク量は不足しがちです。 70歳を過ぎて元気に健康を維持できるか否かは、高齢期の食生活の良否が決定的意味を持っています。 いずれにしても、質を兼ね備えたタンパク質を毎日、必要量摂取することは並大抵のことでは有りません。 更に、各種ビタミンやミネラルが不足すれば、折角摂取したタンパク質は利用されず、肝臓に負担をかけた挙句に捨てられてしまいます。 父親が人工透析をしていた時には、タンパク価を毎食計算していました。 利用されない過剰タンパクは腎臓にも負担をかけます。 ![]() 通常、市販のタンパク質パウダーには各種ビタミンやミネラルが配合されています。 スポーツ選手が筋肉強化や筋肉維持の為に利用していますが、独り暮らしの高齢者の栄養補完宿品として最適です。 色々な種類のものが売られていますから、内容物をよく吟味し、自分の目的に合った物を選択する必要があります。但し、プロテインの質は「プロテインスコアー」ではなく、「アミノ酸スコア―」で表示されています。これ等の違いは、先の「栄養成分表」に詳しく解説されていますので参考にしてください。 もし、諸対策を実行して、それでも減量が続くとすれば、重大な病気が隠れている恐れがあります。 その場合には、病院でガン検査を含め、調べてもらう必要があるでしょう。 心配のし過ぎかもしれませんが。 ------------------------------------------------------- スポーツジムに来ている高齢者男性諸氏には、肥満体が少ないようだ。 定期的にジムに通うくらいだから、食生活を含む生活習慣に気を使っているのだろう。自分はSa君と比べたら、遥かに肥満体だ。体脂肪率は30前後、BMIも20台の半ばを遥かに上回っている。 身長も若い時から2センチも縮んだ。背骨の椎間板の圧縮の結果だ。 自分の体重が減少しないのは、寝酒のせいだ。この悪習は意思の力が弱く治せない。 2ヶ月間悪習を止め、此の間、毎日一時間水中歩行をすれば、2キロ減量できるのは証明済みだ。 新しい年から再度挑戦するつもりだ。 ![]() 若い時と違って、過度の運動は人体の関節に過大な負荷をかける結果となり、歩行不能、車椅子の生活に直結する結果になりがちだ。 自分の友人は、スポーツジムのエアロバイクに凝り、70歳を過ぎて若い人と張り合った結果、膝の関節を致命的に痛めてしまった。 幸い手術を免れたが、長時間の歩行には耐えられなくなっている。 気持ちは若くても、身体がついていかないのが高齢者だ。 自分の父親は60歳を過ぎてからの無理がたたり、生来の身体的弱点である腎臓を侵され、生涯、人工透析に頼らざるを得なくなった。 元来、丈夫であった身体に対する過信の結果だ。 気持ちは若くても、高齢者の体力は年齢と共に減衰曲線を描いていく。身の丈に合った運動の継続が、必要とされる所以でもある。暴走老人の気味がある自分は、事にあたって、自重、自重と何時も言い聞かせている。 |