【伝蔵荘日誌】

2012年9月24日: 今日の夕食 U.H.

 昨日から一人で嬬恋村の山荘に来ている。4泊5日、つかの間の一人暮らしである。 26歳で結婚するまで親元で暮らし、その後単身赴任も一切無かった。 また45歳のときに群馬県吾妻郡嬬恋村に山荘を造ったが、家内がどこに行ってもオサンドンを厭わぬ質だったから、「一人暮らし」は一人で山荘に来た時の模擬的な機会しかない。

 話は変わるが、私は“我が国の統計的現実”に逆らって、やがて家内を看取り、幾ばくかの一人暮らしを経て冥土に行くと心に決めている。 もちろんどうなるか知れたものではないのだが、「我が手で家内を看取ること」が妻への愛の究極の証であると、ずっと心に決めてきた。 そのために日頃の生活における様々な節制をしているつもりである。

 「やがて一人になる」という設定において、一人でも生活が出来る下地を作らなければならない。 これまで身の回りのことの多くはほぼ自前でやってきたから、概ね違和感はない。 世の中にはパンツや下着、スーツやネクタイ、靴の購入まで連れ合いの世話になり、さらには帰宅時・入浴時などに着ているものの着脱まで、連れ合いの世話になっている旦那がいるようである。 私はすべてを自分で計らい、そう言う意味では根っから自立して暮らしてきた。 ただ初手から専業主婦であった妻のもとで、炊事、洗濯などの家事をする機会はほとんど無いまま40余年を過ごしてきた。

 しかし私は長男で女の姉弟もいなかったので、小学2、3年生頃だったが母親が病気がちで、床に伏している母親の指示を受けて夕食の支度をし、父親の帰宅を待った期間が数年あった。 また学生時代に運動部の合宿の場で炊事当番をさせられた経験がある。 これにはおまけがあって、上級生になれば当然下級生が炊事をやってくれるのだが、まずいものを食べたくない一心から、3年、4年時にも敢えて料理作りを買って出たのである。 そのおかげで予算の範囲内で10人分位の食材を買ってきて、手際よく美味しい総菜を作る経験を積んだ。 ということで、やろうと思えば食事の支度が出来るのだが、日常はその機会がないのだ。 したがって山荘でのつかの間の一人暮らしが、貴重な炊事練習の機会なのである。

 さて今回のつかの間の「一人暮らし」である。 山荘に来るときは、中軽井沢の「スーパーつるや」で買い出しをして浅間山麓・峰の茶屋へ登ってくる。 ここは嘗て小諸の八百屋から発展した地元資本の店であるが、中軽井沢の店のほか、長野県内に10数店舗を持っている。 首都圏の紀伊国屋、明治屋、成城石井にひけをとらない品揃えを誇っている。 滞在期間を考え、数日間の献立案配を考えて買い物をする。 寒い時期には当然煮炊きをするが、暑い時期には極力煮炊きをしないでもすむような献立を考える。 なおメニューを豊富にする観点から、出来合の総菜なども上手に利用する。初日には刺身などの生ものを配し、日持ちのしないポテトサラダなどを購入する。

 2日目、3日目のために日持ちがするきんぴらゴボウなどの煮物や、漬け物などの加工食品を。 一回位は肉や野菜、キノコなどを使った炒め物などを交えるが・・・。 今回、朝、晩各4日分の食材、果物などで約5千円の買い物をした。 一回の夕食に千円弱。 専業主婦の目から見れば結構贅沢な買い物だが、外食をした場合と比べればまずまず割安であり、酒の肴になるという嗜好を満たし、かつ栄養バランスも考慮の対象となっている。  さて今日の夕食である。今年はいまだに残暑厳しき状態なので、煮炊きを省く設定をした。 その献立は、

1.スモークサーモンとオニオンスライス、レモン添え

2.トマトを中心とした鶏肉と野菜サラダ
  鶏肉はスーパーで買ってきた蒲焼き風に焼いてタレを掛けたものでサラダに合うもの
  野菜は(水で曝した)タマネギ、何種かの葉もの、キュウリ、
 (甘味付けに)完熟パイナップル。
  これらを市販のドレッシングで和えて、スライスしたトマトをあしらった。

3.(スーパーで買ってきた)きんぴらゴボウ
  日持ちがするし、ゴボウは食物繊維が豊富である

4.(同様の)キャベツ、にんじんなどの漬け物
  市販の漬け物は塩分が強いので、これに生食用の竹輪を添えた。

 夕食時には、まず350MLの缶ビールで始めて、次いで日本酒約一合、もしくはワイン2杯位をたしなむが、本日はビールと軽めの赤ワインを楽しんだ。  明日は名湯・草津の日帰り温泉に行き、行きつけの蕎麦屋で名物の幅広インゲンの天ぷらとざる蕎麦を頂こう! そして茶房「グーテライゼ」に寄り、名物じいさんが入れてくれる拘りのコーヒーを!
 

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