【伝蔵荘日誌】

2012年6月30日: 永田町の田舎芝居見物 T.G.

 最近伝蔵荘日誌の筆が進まない。 少し前までは世間の出来事にいちいち感心したり腹が立ったりして、その勢いで書いたものだが、最近はそう言う気が起こらない。  老化現象で、感性が薄れたのだろうか。 そう言えば最近物欲もなくなった。 特段欲しいものがない。 買い物も面倒である。 これは良くない兆候だ。

 親友のGP生君はもっぱら身の回りのことを書く。 当方は時事問題や読書について書く。 ここしばらくあまり本を読まないし、政治経済にも関心が向かない。 永田町は相も変わらぬどさ廻りの田舎芝居だし、役人は煮ても焼いても食えぬ三百代言だし、企業経営者は去勢された鶏ばかりだし、新聞テレビはくだらぬワイドショーに明け暮れているし。 もうどうでもいい、勝手にやってろ、と言う気分である。

 まあそうは言わずに、永田町の田舎芝居を覗いてみる。 あの野田というのはいったい馬鹿なのか利口なのか。 坂本竜馬の西郷隆盛評のように、馬鹿なら大馬鹿で、利口なら大利口か。 まあ大利口はあり得ぬだろうが。 賛否はともかく、消費税増税は一つの立派な政治見識ではある。 必ずしも間違いではない。 でも彼は野党時代は消費税反対だったはずだ。  「消費税上げてもシロアリに食われるだけだから反対だ。」などと息巻いていた。 それも見識ではある。 自分も大いに賛成だ。 民主が政権を取って、鳩山や菅の下で財務大臣やってたときも黙っていた。 それが瓢箪から駒で、ある日突然自分が総理になったら、気が狂ったように消費税を言い出した。 まだシロアリを一匹も退治していないのに。 それも「政治生命をかける」などと臭いせりふで絶叫している。 こいつ気でも触れたのか、と思わぬでもない。

 まあ何と言っても一国の首相だから「気が触れた」は失礼とは思うが、脈絡も突拍子もないことは確かだ。 君子はなぜ豹変したのか。 もともと増税論者だったが、来る日のために包み隠して、ひっそり爪を研いでいたのか。 そうだとしたらかなりのワルだ。 そう言うあざといインチキ手品をやるようでは一国の総理の資格はない。 まあそれほどのワルとも思えぬが。

 首相になった途端、なんかの拍子に突然目覚めてそう思うようになったのか。 そう言うことは世の中ままある。 小生にもあった。 そうだとしたら、何で目が覚めたのか、ちゃんと説明するのが筋だ。 これこれこういう理由で気が変わったと。 でもそう言う話は彼の口から一度も聞いたことがない。 ただただやみくもに消費税である。 ほかのことは何もやらずに馬鹿の一つ覚えである。 おかげで15兆円の復興予算の半分が消化できていない。 消費税以外、震災復興も何もやっていない証拠である。 民主伝統の実に愚かな総理大臣だ。

 馬鹿の思いつきだから説明しようがないのか。 陣笠のときは分からなかったが、首相になったらある朝突然、 社会保障と財政再建に金が要る。 国にはもう金がない。 だから消費税だと、三段論法で閃いたのか。 言っていることは間違いではないから、かなり好意的な見方ではある。 でも財務大臣やってた男が、ある日突然、真反対のことを言い出すことではない。 お粗末である。 不自然に過ぎる。 やはり単なる馬鹿なのか。 単なるおっちょこちょいなのか。 松下政経塾にはこの程度しかおらんのか。

 そう言う風に可能性を排除していくと、残るは世に言われる財務省の洗脳である。 これしか思いつかない。 財務官僚は税金取って使うのが唯一生き甲斐の動物だから、大いにあり得る。 人間耳元で百ぺん言われると嘘もホントになる。 首相になる前は財務大臣だった。 大臣室で口の上手い財務官僚に毎日ご進講されて、空中浮揚状態になったのだろう。 「社会保障と税の一体化」のパブロフ犬状態になったのだろう。 多少知能が高くてもこういうことが起きるのは、オウムが証明している。 なんの不思議もない。

 これは野田ばかりではない。 自民党も同じだ。 谷垣なんかもともと消費税増税論者の筆頭である。 野田と同じく財務大臣やってたときに洗脳された。 そのほかにもパブロフ犬はたくさんいる。 民主にも自民にもいる。 いないのは共産党ぐらいだ。 あれは別の宗派のパブロフ犬だから。 マスコミも洗脳されている。 洗脳と言うより脅迫されている。 消費税反対などと書いたら、税務調査入れるぞと脅されている。 朝日をはじめ、新聞テレビはどこも真っ赤かだから、一発で効いた。 もうどの新聞も消費税に楯突くような社説は書かない。 NHKをはじめどこのキャスターも言わない。 消費増税の大合唱、反対と書くのは赤旗ぐらいだ。 外から見たら日本中が消費税賛成に見えるだろう。

 今回の永田町田舎芝居で、最たる三文役者は谷垣だ。 もともと根っからの消費税増税論者だが、自分が政権取った後はやりづらい。 選挙で負ける。 だから今の内にバカ野田をおだててやらせてしまえ。 やらせた後は解散だ。 いつの間にか肝心の社会保障一体化がどこかへ消えてしまったが、そんなこたぁーどうでもいい。 野田や鳩山は三歩歩くと言ったことを忘れる猿だから、と姑息な算段。 それが民自公合意である。 公はもともと消費税などどうでもいい。 自分が不利になる選挙制度に変えさせない、それしか頭にない。 それで野田に取り入った。 不誠実極まる呉越同舟である。 ところがどっこい、舟に乗り込んだ途端、野田は解散する気がなくなった。 任期いっぱい務めると言い出した。 詐欺というか、三歩男、15分男の面目躍如である。 トラストミーの鳩山以来、民主伝統のやり口である。 振り込め詐欺と同じで、こういうのは騙す方も悪いが、騙される方がもっと悪い。 要するに野田より谷垣の方が馬鹿だと言うことだ。 こんなアホが総裁やってるようでは、自民もお終いだ。

 もう一人の三文役者は小沢だ。 いつまでたっても自分の出番がないので、痺れを切らして勝手にのこのこ舞台に出てきた。 それも法案採決直前に。 「消費税の前にやることがある」などと利いた風なこと言って。 自分が幹事長だったときには何もやらなかったくせに。 よく言うよ。 与党幹事長は首相に次ぐ日本最高権力者だよ。 今頃になって言うなよ。 今頃そんなこと言っても、証文の出し遅れだよ。 三文役者のクソ演技と嘲笑われるだけだよ。 三度目起訴の被告人だし、連れ合いにみっともない手紙ばらされてカッコつかないし。 ここで一発かまさなければ俺の未来はないと焦ったのだろうが。 離党も覚悟で反対などと威勢のいいこと言っていたくせに、政治見識など皆無だが、日教組伝統の寝技足技だけはお得意の輿石爺さんに抱きつかれたら、途端にへなへなと腰砕け状態。 離党の旗を降ろすだろうな。 これが悪ガキ小沢の末路だろうな。

 でもあの手紙、中身はホントらしいが、出方が不自然だよね。 1年以上前の手紙がなぜ今頃出てくるの。 それも小沢の最後の悪あがきを止める絶好のタイミングで。 いくらなんでもおかしいよね。 偶然ってことはあり得ないよね。 財務省の秘密手帳にはいろんな奴のスキャンダルリストがあるらしい。 時期を見て潰したい奴を狙って表へ出す。 今までにたくさんの政治家や評論家がこれで潰された。 安部も福田も麻生も。 中には痴漢にでっち上げられた評論家もいる。 鳩山、菅は勝手にずっこけたが、小沢も、消費税が駄目だとおそらく野田も。 新聞もテレビも。 泣く子も黙る国税庁が子分だし、怖いもの無しだ。 小泉は潰されなかったが、あれはお互いヤクザだからその手が効かなかった。 日本は財務省の天領、好き勝手に出来る。 消費税は上がるし、借金はますます増え続ける。 近いうちにギリシャになりそうだ。 アーヤダヤダ。 永田町の猿芝居と言い、自民にも民主にもろくな奴が残っていないし。 日本の夜明けは遠いな。 もしかするともう朝は来ないかもな。
 

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